担当講義科目 *2008年度

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授業科目: 環境計測学U Environmental Chemistry U
単位:    2
対象:    修士1年
教官名:   福島和夫

 水圏(水・堆積物)を対象とした化学分析−ガスクロマトグラフィー,イオンクロマトグラフィーほかの機器分析−の実際とデータ解析法・化学分析に基づく環境解析や,微量成分の分離分析法の方法論について講義する.受講する個々の大学院生の研究テーマに則して,参考となる化学分析の文献を演習方式で紹介する.


授業科目: 地球システム学 I Fundamental system analysis of the earth I
開講期:   前
曜日・時限: 木・1
学年:    2
単位:    2
教官名:   福島和夫

1.
授業の狙い:
 自然界における物質の運動や変化の方向は,対象が生物の介在する現象であっても,また生物が直接関わらないような地球表層または地殻内部のような高温・高圧条件下での現象であっても,それらを物理的・化学的な現象として理解し,説明することが可能である.物理化学の基本的な法則を理解することは,将来的な予測,自然界で対象とすべき研究課題の設定にもつながる.

2.
授業の概要:
 本講義では,物理化学の基礎を理解することを目的として,地球化学の概説から出発し,化学反応や物理的変化を制御する重要な法則である熱力学の基礎を中心に解説する.自然界における物質循環の法則性を理解することが目的であるため,数式での抽象的な理解にとどめるのではなく,演習問題を通じて,できる限り具体的な数値を入れた計算結果と対照しながら理解することを目指す.

3.
成績評価の方法:
 中間にレポート形式で演習問題を1-2回,および期末に筆記試験を実施する。

4.
履修上の注意:
 2001年度以前の化学循環学の内容と重複するので,化学循環学を履修済みの学生は,受講しても単位は得られない

5.
授業計画:
1-2
.宇宙・地球・地殻の元素組成,主要元素の分布・循環.
3
.周期律表と元素の化学的性質・同位体.
4
.化学反応速度論.
5-7
.熱力学の第一法則とエンタルピ−.
8-10
.熱力学の第二法則とエントロピ−.
11
.自由エネルギ−と物理・化学平衡
13-14
.演習問題.
15
.期末試験

6.
教科書:
 参考書:はじめての化学熱力学,菅 宏,岩波書店


授業科目: 元素循環論 (Environmental Geochemistry)
開講期:   前
曜日・時限: 金・1
学年:    3,4
単位:    2
教官名:   福島和夫

1. 授業のねらい
 地球という物質系は,生命の誕生とともに特有の進化を遂げてきた。その足跡は,形として残された化石だけでなく,堆積物中に残された生物由来の有機化合物の記録からたどることができる。熱的・微生物的に不安定な有機化合物が,堆積物内で受ける地質学的時間にわたる変化(続成作用)を評価することは決して容易なことではないが,これは石炭・石油など化石燃料が形成される重要なプロセスであり,また地球の過去を解き明かす鍵となるような「分子化石=化学化石」の意義を明確にするためには不可欠なことである。この講義ではC,N,Sの循環に重点を置く有機地球化学について概説する。

2. 授業の概要
 生物を構成する有機化合物の大部分は,生物の死後速やかに無機化し,二酸化炭素・メタンとなって地球表層での物質循環を支えている。しかし,そのごく一部は長時間にわたる熱などの作用を受けて著しく変性しながらも堆積物中に残り,化石燃料や堆積当初の生物生息環境を反映した分子化石として活用することができる。現生の湖沼や海洋堆積物に分布する有機化合物の意義および,それらの変化に及ぼす地球化学的な諸因子について学習する。

3. 授業計画
1. 宇宙および地殻の元素の分布と生元素
2. 主要元素の地球化学的循環:無機地球化学概論
3. 環境および堆積物中での有機物のマクロな変化 初期続成作用T:分解
4. 環境および堆積物中での有機物のマクロな変化 初期続成作用U:腐植化
5. 堆積物中での有機物のマクロな変化 後期続成作用:化石燃料の起源と生成過程
6. 生物有機化学の基礎
7. 有機地球化学の方法(クロマトグラフィと質量分析)
8. 環境中に存在する有機化合物とその意味T:炭化水素類
9. 環境中に存在する有機化合物とその意味U:官能基を有する化合物
10. 起源・水温など環境指標性有機化合物(バイオマーカー)
11. 化学分類学の試み
12. 特異環境の有機地球化学T:無酸素水塊
13. 特異環境の有機地球化学U:無機酸性水塊
14. 溶存高分子量有機物
15. 期末試験

(4) 成績評価の方法
 レポートと期末試験の成績に出席点を加味して評価
  
(5) 履修上の注意
 とくになし

(6) 質問・相談への対応
 B606の研究室で随時受けるが,なるべく全体に返すためにメイルで寄せられることが望ましい

(7) 参考書
   日本地球化学会編 地球化学講座 第1卷 地球化学概説 培風館 (2005)
   日本地球化学会編 地球化学講座 第4卷 有機地球化学 培風館 (2004)


授業科目: 環境保全論 (Environmental Conservation)
開講期:   後期
曜日・時限: 木・1
学年:     2
単位:     2
教官名:   福島和夫

1. 授業のねらい
 「環境の保全」とは何か,をあらためて問い直し,将来的な指針を見出す。いくつかの具体的な環境問題の事例を取り上げ,「保全」の考え方と環境「価値」評価の手法,環境アセスメントや環境ISOなど,法的・技術的な手法にも触れる。ニュースやマスコミで取り上げられる事柄に材料をもとめ,最新の統計値などを基にして,問題の探求を促したい。テーマの性格上,一方向の講義だけでなく,双方向の対話を通した議論を重視したい。

2. 授業の概要
 「地球環境論」では,主として地球規模の環境問題を取り扱うのに対して,この授業では,日常的な生活の各場面で直面する問題を材料とする。とくに社会的に取り組まれている保全策の論理(誰から何を,誰のために,またどのように守るのか)について考えることと,環境政策(アセスメントほかミチゲーションなど)の仕組みを学ぶ。可能な限り映像情報を活用する。

3. 授業計画
1. 現代社会と環境問題
2. 環境問題の図式化
3. 公害問題から環境問題へ−わが国の歩み
4. 自然保護と環境保全
5. 自然と人間社会の強制のために−環境アセスメント制度の仕組み
6. 環境基本法・環境基本計画
7. 国際条約・協定−ワシントン条約から京都議定書−
8. 民間のアプローチーBaldez原則から環境マネジメントシステム考案へ
9. 廃棄物問題の現状
10. 地域住民・消費者の取り組み
11. 生産事業者・行政の取り組み
12. 科学・技術における倫理
13. MitigationとRemediation
14. 未来社会の展望
15. 期末試験

(4) 成績評価の方法
 レポートと期末試験の成績に出席点を加味して評価
  
(5) 履修上の注意
 とくになし

(6) 質問・相談への対応
 B606の研究室で随時受けるが,なるべく全体に返すためにメイルで送られることが望ましい

(7) 参考書
 応用倫理学講義 2. 環境 丸山徳次編著 岩波書店 (2004)
 自然保護を問いなおす-環境倫理とネットワーク 鬼頭秀一著 筑摩新書 (1996)
 環境倫理学のすすめ 加藤尚武著 丸善ライブラリ− (1991)
 環境アセスメント 原科幸彦著 放送大学教育振興会 (2000)
 生命の未来 E.O.Wilson著 山下篤子訳 角川書店 (2003)


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