■ 文部科学省  社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム

「自然環境診断マイスター養成」の概要


  1.事業の名称 
    自然環境診断マイスター養成

  2.事業の趣旨
    自然環境の「判別・生物多様性・保全策・防災対策」の能力を培い,自然環境教育・行政・事業に対し具体案を提言できる「自然環境診断マイスター」を育成します。修士・博士課程レベルの基幹実習を通して,自然現象の本質理解と多様な問題を解決するための強い意欲をもつ人材の養成をめざしています。

  3.事業の内容等

 (1) 対象者
  自然を愛し環境教育・行政・事業に関わる現役教職員,大学または専門学校を卒業した社会人が対象です。大学院生,再チャレンジ(自己再発見)をめざす人も受講できます。

 (2) 教育手段と特徴
  土日に集中開講します。基幹実習(地質・植物・動物・大気・湖沼・遺跡調査法)のダイジェスト版と特別演習・講演を受講し,複雑で多様な山岳自然環境を保全するための新視点を学びます。

 (3) 受講後の期待
  教育現場や自然再生事業,自然保護関連の相談役・指導者・講師として活躍し,信州大学独自に創設した資格「自然環境診断マイスター」が,広く社会に認知されることを目指します。

 (4) コース及び履修方法

      ・開講コース
        平成19年度 第1コース(秋冬の自然環境診断)平成19年10月〜20年1月  終了
        平成20年度 第2コース(春夏の自然環境診断)平成20年5月〜9月 終了
                 第3コース(秋冬の自然環境診断)平成20年10月〜21年3月 終了
        平成21年度 第4コース(春夏の自然環境診断)平成21年5月〜9月 終了

      ・定員 各コース20名

      ・履修 希望するコースの下記の基幹実習等を受講します。 
        基幹実習:15時間(1泊2日) (土・日)×6回(3単位)
        特別演習:2.5時間×2回
        特別講演:2.5時間×4回(1単位)(土)
        発表会:5時間×1回(土)

      ・基幹実習の内容
        基幹実習A (地形・地質調査法) 地形の測量・岩石の見分け方・地層の測定・岩石の年齢
        基幹実習B (植物生態調査法)  森林の構造解析・植物多様性・階層構造・樹形と共存
        基幹実習C (気象・水質調査法) 大気の流れ・水循環の計測・水質分析・雪氷と降水計測
        基幹実習D (湖沼調査法) 透明度計測・植物プランクトン組成・動物プランクトン組成・水質調査
        基幹実習E (動物生態調査法) 大型動物行動追跡・動物多様性・昆虫相共存・水生昆虫構造
        基幹実習F (史跡・遺跡調査法) 発掘方法・地理計測・化石発掘・遺跡同定法
      ・基幹実習の履修方法
        基幹実習A〜F(全6回)は必修であり,1泊2日で実施されます。各実習では,レポート及び調査資料の提出が求められます。

      ・2つの特別演習(グループ学習あり)(一般公開)
        a.自然保護施策演習(環境白書から)
        b.自然再生法演習(新・生物多様性条約など)
      ・4つの特別講演(一般公開)
        c.官公庁からの講演  
        d.長野県庁からの講演
        e.松本市からの講演
        f.他大学からの講演
      ・特別演習・特別講演の履修方法
        特別演習・特別講演のすべてを受講し,演習・講演ごとにレポートを提出します。

      ・発表会
        カリキュラムのまとめとして3つ以上の実習分野を統合した発表を行います。

      ・評価
        評価は,各教科100点満点とし,60点以上が合格。すべて合格すると,「自然環境診断マイスター養成審査委員会」による審査を経て,「自然環境診断マイスター」の資格が授与されます。

 (5) 受講者が身に付けるべき能力(修了資格者)
     このプログラムで目標とする教育成果として,次の事項が設定されています。

      1. 山岳地域の多様な自然環境を判別できる能力
        複数の自然環境での実習(調査法と計測)と蓄積資料の比較研究を通じて学ぶ。異なる地域と異なる調査法から少なくとも36種類の地域特性を判別できる。
      2. 生物多様性と生命連鎖を理解できる能力
        生物の分類と系統を野外で学び,同定力を養い,生態調査法のなかで計測によって生物共存パターンとプロセスを学ぶ。
      3. 地域に応じた自然環境保全策を企画する能力
        演習・講義を通じて,地域特性の明確化を学び,地形や生物多様性の成立過程に配慮した自然再生策を企画できる。
      4. 自然災害を防ぐための工夫ができる能力
        地形成立・自然撹乱・人為撹乱の度合いを,自然環境の判別を生かして読み取る力を養う。演習・講義の中で提示される,過去の災害現場の例や資料を比較検討する。

 (6) 資格認定証
     自然環境診断マイスター養成審査委員会の審議を経て,信州大学長名で「信州大学自然環境診断マイスター」の資格認定証を授与します。