初日は信州松本から伊勢に辿りつくのでいっぱい.外宮にだけ参拝しました.で,翌日,伊雑宮(いざわのみや). |
屋根の千木(ちぎ),鰹木(かつおぎ)が光っています. |
伊雑宮のもり.参道から外れて入ってはいけません.林床はホソバカナワラビが 覆います. |
まずはこちら,ナナミノキ(ナナメノキ).アオハダの仲間で常緑. |
こちらはなんでしょう.ヤマモガシかなあ,と思ったりするんですが.いや,ヤマモガシも観たことないので. |
遠目に見るとバリバリノキに似ていますが,バリバリノキは葉の縁が波打つものの,全縁で鋸歯がありません.こちらは鋸歯があります.で,ヤマモガシかと 思うんですがヤマモガシの鋸歯って,図鑑で見るともっと激しいんですよね.ひょっとしてホルトノキとか...?分かりません.教えてください. |
伊雑宮を少し南に下ると小高い丘が森に覆われています.こういうのはだいたい神社.で,アプローチすると地元の氏神様にあたる磯部神社というところに到 着.道はすごく狭くて,知らない人が車で行こうとすると大変だと思いますが. |
境内はこんな感じ.先ずはご挨拶ということでお参り.お願いとかはしません. ここ,小高い丘の中腹にある感じですので,周りは山の斜面に囲まれています.で,そこに出てくる植物を見ましょう. |
これは伊勢・志摩で何度か見ています,ミミズバイ.ほぼ全縁です が,たまに鋸歯があります. |
こちらはバクチノキ.カンザブロウノキにも似ますが,葉身の葉柄近く に腺点があります.で,バラ科,バクチノキ. |
こちらはシダ.葉はちょっと欠けてしまっていますが,フモトシダ. 山の中腹にあってもフモトシダ.ま,麓(ふもと)ですけど. |
胞子嚢が確認できました.葉のヘリの方にまとまっていますね.フモトシダ,暖温帯のものですが,信州でも天龍など,南部には分布しているようです. |
別のシダ.なんか,隙間があいてしまっているように見えるんですが,これが正常だそうです,アマクサシダ.アマクサとは九州の天草地方のことでしょう か.暖温帯のシダですね. |
タイミンタチバナですね.葉柄,というか葉の付け根が赤紫ですが, 葉は細長いのでモッコクと間違えることはありません(笑). |
ハナミョウガですね.葉にはビロード状の毛があって,触るとサワサ ワです.ぜひ触ってください. |
キジノオシダ.これも暖温帯のシダですね.以前京都の蔵馬−貴船 コースを歩いたレポートで紹介しました. |
ウラジロ.大型のシダです.葉は左右二つに分かれるの で,一度覚えたら間違いません. |
こちらはコシダ.五出複葉というか鳥足状です.これも間違いません ね. |
ヒイラギ.なんと野生です.すごいですね. |
こちらも野生のマンリョウ. |
で,磯部神社と同じ森を共有する神社がありまして,佐美長神社という神社があります.こちらは伊勢神宮の摂社.確か.お宮の作りも伊勢神宮のお宮の作り に準じています.こちらの敷地も,お参りをした後,見せていただきました. |
ヒメイタビですね.写真で分かるように全縁の葉に混じって,鋸歯の ある葉があります.これが特徴. |
カクレミノ.通常,三裂するものが多いですが,ここでは五裂してい ますね. |
で,磯辺をあとにして,籠原宮を目指すべく南伊勢町方面から海沿いのみちをアプローチ.で途中から県道を北上.これが,一車線で道が狭く,ガー ドレールもない,狭くて急な道.名前は県道ですが,これはもう,林道.泣きそうになりながら対向車が来ないことを祈って走りました. この写真の辺はいい道ですが(笑). |
ですが,My新種にも出会えました.シタキソウ.ツルで対生.松本 に帰ってからいろいろ調べても,とっかかりがなくて全然分からなかったのですが,ネッ ト情報でようやく辿りつきました. |
マルバフユイチゴで良いですね.普通のフユイチゴは葉の先がとがり ますが,これはとがらないのでマルバフユイチゴとかコバノフユイチゴと呼ばれていま す.フユイチゴ,とは,常緑のイチゴの意味.ちゃんとバラ科で,イチゴらしい実をつけます. |
シダです.タチシノブ.美しいですね.これも暖温帯のもので,松本 では見られません.ホウライシダ科タチシノブ属です. |
なんだこれ,サツキかなんかかなあ...と思って近づいてみると,対生で腺毛がいっぱい.ミヤマウグイスカグラの矮小なものですね. |
ベロッとしたシダがたくさんあったんですが...葉の先が分かれているものを発見.ミ ツデウラボシですね.幼体は三つに別れないといいます.ですから,周りにあるのも,みんなそう. |
なんとか三つに分かれている個体.葉の裏には胞子嚢群が確認できます. |
ということで,分かれていないこっちも同じミツデウラボシ.別れないサイズでも,胞子,付けられるんですね. |
マンリョウ.これは野生です. |
これは分かりません.で,例によって生物の佐藤先生に聞いちゃいます.オオイタチ シダとのこと.うーん,なんとも特徴がありませんね.ヤマイタチシダとかだったら脈のヘコミのはっきりさとか,特徴あるんですが. |
一応胞子は付いていました,オオイタチシダ. |
カンザブロウノキです.ハイノキ科.遠くからみるとバクチノキに似 ますが,博打の木はバラ科で葉の基部に腺点があるのに対し,こちらは腺点はありません. |
シダです.トウゲシバ.これで高さ5cm位だったでしょうか.小さ いです.種内をさらに分けることがあって,分けるとするとヒロハトウゲシバでしょうかね.ホソバトウゲシバは葉がスリムです. |
山越えの県道は,やっと峠.長かった. |
お,オニシバリでいいですね.太平洋側ですし. |
で,やっとこさ籠原宮に到着.どんな植物に出会えるでしょうか. |
きました,My新種,ルリミノキ.アカネ科ルリミノキ属.葉が対生 なのが目を引きます.図鑑を端からめくって分かりました. 今回も常緑樹については「九州野山の花」という図鑑が役に立ちました.この図鑑は,生育地別でその上で分類順になっているので,使いやすいです.写真も いい. |
シロバイですね.ハイノキ科. |
同じ仲間のクロバイと似ていますが,シロバイはほとんど葉柄がないように見えます が,クロバイは明らかに葉柄があります.シロバイのほうがクロキより鋸歯が細かいですね.それからこのシロ バイは,側脈が主脈に対し60度くらいで別れていますが,クロバイは80度近くでかなり開いて側脈が分かれます. |
内宮と同様に川に降りることができます.元々の手水場ですね. |
イズセンリョウですよね.シマイズセンリョウとは花とか実で見分け るようです. イズセンリョウの花弁は黄白で浅裂,シマイズセンリョウの花びらは白で中裂して反り返る,とのこと. 前に外宮で見たのは,花から見てイズセンリョウだろうと思っています.まだツボミだったけど,色から考えて. |
アラカシは関東にも分布します.信州だと飯田の方とか,南側. |
こちらはイチイガシ.アラカシ同様,葉の先の方にだけ鋸歯がありま すが,イチイガシは葉の基部がくさび形でスマート.葉の先端の尾状にとがるところもスマート.アラカシはこれに比べると葉が丸い印象ですね. |
さて,これ,常緑で三行脈ですから,クスノキ科だと推察されます.で,こんなに丸いのはなかなか無いので,図鑑で調べればすぐに分かるはずだと思ったん ですが... ない!平凡社の日本の野生植物木本編,クスノキ科ニッケイ属のところを端から端まで見ても,こんな葉っぱ,出てない! |
で,ネタばらしをすると,これ,テンダイウヤクという中国原産の樹 木で,根が胃薬になるために江戸時代に渡来したものが野生化している,ということでした.クスノキ科ですがクロモジ属ということで見逃しました. 飯田の美術博物館で標本整理の手伝いをしている時,たまたま「葉でわかる樹木」をめくったら出てきた(笑).すごいな,これがカンナガラ(随神,惟神) か! テンダイウヤクさん,撮影のためにちょっとだけめくらせていただきました.すみません. |
...という感じで籠原宮をあとにし,外宮へ再び. |
なんかおっきいミカンがなっています.なんでしょう.野生種ではないので,私には分かりません.内宮でも同じようなミカンを見ましたが. ま,謎解きは今後の楽しみにしておきます. |
内宮にもお参り. |
内宮の風日祈宮(かざひのひのみや)へ渡る橋は,宇治橋同様,遷宮を2013年に控え新しくなっていました.美しい! |
こちらは街中,おはらい町,でしたっけ,で見た光景.これも次の遷宮で使う,白い玉石. |