核磁気共鳴測定

nmr2_med_hr


原子核には核スピンがあり,これがゼロでないMn, Coなどの核が磁場の中に置かれると,スピンの大きさによりいくつかのエネルギー準位に分かれます。このエネルギー準位差に等しい高周波磁場を外部から与えると、エネルギーを吸収し共鳴します。これを核磁気共鳴(NMR : Nuclear Magnetic Resonance)といいます。共鳴条件は核種と磁場の強さで決まリますが,原子核の周りの電子の状態に影響を受ける ので周辺の電子の分布や原子の結合状態を知る手がかりになります。

nmr3_med_hr



















測定例

核磁気共鳴における共鳴周波数は、その核の感じている磁場に比例します。右図はCeCo4Bという物質の-269での共鳴周波数の外部磁場依存性です。傾きは原子核によって決まっているので、どの原子核からの信号か区別が付きます。この物質は、6i2cという結晶学的に異なる2つのCo位置を持ちます。同じCoでも核の感じている磁場が異なることがこのグラフからわかります。また、2c位置の信号を見ると、外部磁場を0に外挿した値の共鳴周波数がほとんど0となり、この位置のコバルト原子の磁気モーメントの値が小さいことがわかります。このように、磁化測定では結晶全体の磁石の大きさ(磁化)を見るのに対し、核磁気共鳴では微視的な(原子レベルの)磁石(磁気モーメント)の大きさを見ることが出来ます。



© AMAKO Yasushi, updated 2021/07/14