昆虫の付属肢形成における基本プランの解明
新モデル生物カブラハバチ Athalia rosae を用いた発生学的アプローチ

  地球上で最も繁栄し、かつ人間に一番身近な存在である昆虫。しかし、その昆虫がどのようなプロセスを経て多様性を獲得するに到ったのかはあまり知られていない。昆虫はその長い進化の歴史の中で「肢」の働きや形を多種多様に変化させてきた。それではその肢とはどのようにして形が造られるのか?さらには、、昆虫のもつ肢は歩くための肢だけではなく、頭部にある顎も肢が形や働きを特殊化させたものであるといわれている。さらには、飛ぶための翅ももともとは肢だったのではないかともいわれている。このように、昆虫は肢で歩き、肢で食べ、肢で飛んでいる(かもしれない)。だから肢造りの基本プランを解明することは昆虫がどのように今の多様性を獲得するに到ったのかを解明する糸口になるかもしれない。
 カブラハバチは近年、実験モデル生物として非常に有用な特徴を備えていることで注目を集めている。そこで、そのカブラハバチを用いて肢造りの基本プランを解明したい。