集中講義に先立ち、前田 悠 九州大学名誉教授による下記講演会を開催します。
ぜひご来聴下さい。
講演日時:2011年10月27日(木)(10:40~12:10)
講演会場:化学科リフレッシュラウンジ(A棟2F)
講演題目:「泡とイオン」
前田 悠 氏
(九州大学 名誉教授)
対 象:1~4年生、大学院生、教員、一般
泡は私達に馴染み深いものであり、不安定で壊れやすい特徴は、日本人の心情に訴えるものがある(方丈記)。近年話題の、微小泡(マイクロバブル・ナノバブル)の生成には、安定性を向上させることが重要になる。他方、消泡剤の必要性など、不安定化が求められる場合もある。泡の安定性に関与する主役は何といっても界面活性物質と高分子であろう。しかし、本講演では、泡の安定性については脇役である無機イオンの効果を考察する。この問題はイオン溶液の気液界面の問題であり、離液順列や地球の大気・大洋の科学など、幾つかの重要な問題につながっている。20世紀初頭に、イオンは気液界面から反撥されることが見出されて、その後ほぼ一世紀近くこの概念は揺るがなかった。しかし、今世紀初頭になって、気液界面に近づくイオンの存在が指摘されて以来、この分野は注目を集め、ルネッサンスともいうべき状況にある。このような話題を歴史的に概観して紹介したい。
講演内容:1.界面の熱力学、2.塩溶液の負「吸着」と鏡像力効果、3.イオン種特異性、4.「表面選択性」イオン、5.気泡の安定性とイオン、6.水表面の「酸性・塩基性」