黒部川:土砂排出による影響−富山県宇奈月(2001/7/1)
≪黒部川,宇奈月周辺≫


≪ひとこと≫
6/21に,出し平ダム・宇奈月ダムからの2年ぶりの土砂排出が終了.その後の河床のようすを見に行こうとおもいます.土砂排出に関しては,富山湾の漁獲の問題など,生態系に与える影響が懸念されています.

≪みどころ≫
・トロッコ電車−フルオープンカー
・“清流”であるはずの黒部川を流れ下る“濁水”
・ダム湖底堆積物が侵食されているようす,段丘地形,内部構造
・河床地形,穿入蛇行と出水時に形成された段丘地形
・車窓からみる谷の形の違いと地質
・宇奈月ダムサイトでみる土砂排出とバックウォーターの動き
・宇奈月温泉
・鱒寿司(富山名物)

≪参加者≫
池中・佐藤・田原・平井・幸田

≪参考≫
・1/20万地質図幅「富山」,「立山」
・7/2読売新聞富山支局記事「黒部川で「連携排砂」未明まで続く」

黒部川.愛本の狭窄部から下流をみたところ
宇奈月温泉駅から先はトロッコ電車にのってゆきます.○○君のアパートの鍵はまだこの電車にのったまま・・・
支流(弥太蔵谷)が右岸(写真右上)から本流(写真下手前)へと合流するところ.河川水の濁り度が全く違っており,そのinterfaceがくっきりとみえています.
標高300m以上になると,沢沿いには残雪がみられます.雪の崖錘地形.表面にはタフォニーに似たabrasionによると考えられる微地形がみられる.
谷地形の特徴その1:開いたV字谷壁が発達した谷.花崗閃緑岩が分布する地帯です.
土砂崩れによる崖錘地形.大きな規模のものしか残っていません.
出し平ダム上流にみられた段丘地形.じつはここ,普段は湖底に沈んでいる場所なんですね.ダムの放水による水位低下よって湖底堆積物が侵食され,みごとな段丘が作られています.岸辺では次々と粒子流が起きており,土砂を供給しています.
谷地形の特徴その2:切り立った急崖の谷壁が発達した谷.とくに東鐘釣・西鐘釣山付近(非〜弱変成の堆積岩が分布)が顕著.
“敵の手に渡った武器”堰堤を流れ下る大礫(丸印中の黒い点).水だけなら侵食力は弱いのですが,そこに礫が加わることによって侵食力は大きくなり,堰堤も破壊されていきます(矢印のところで堰堤は削られて凹んでいる).欅平上流
穿入蛇行した河床のようす.出水時に形成したとおもわれる礫州が段丘化した地形(矢印)がきれい.猿飛小屋から下流みたところ.梅雨の増水時で自然状態でもすこし濁っていましたが,宇奈月ダムより下流の河川水にくらべると明らかに濁りは少なかった.
宇奈月ダムでの排砂放水のようす.
宇奈月ダムでの排砂放水のようす.ものすごい勢いで濁り水を排出していました.
宇奈月ダムbackwater.排水時の様子.上流からくる泥水は明るい色,暗い色の泥水はダム湖底からわき上がってきているようでした.このとき読売新聞の取材班も取材に来ており,翌日の富山版で報道されていました.(私たちも後頭部のみ出演)
朝6時から暗くなるまで・・・この日は良くあそび,良く学びました.