遠山川の深掘れ地形−長野県南信濃村 2001/6/1
≪遠山川,南信濃村≫


≪みどころ≫
5月の新聞記事に,長野県南信濃村を流れる遠山川では,増水のたびに河床が深く侵食され(深掘れ現象),橋脚が露出するなどの問題が生じていると報じられた.深掘れ現象は,あちこちの河川でみられ,問題となっている.そこで遠山川の深掘れ地形を見学・調査しにいった.

≪参加者≫
池中・犬塚・佐藤・田原

≪参考≫
・畠山貴光(2000)女鳥羽川に見られる深掘れの形成過程と発達条件.信大理学部物質循環学科地球システム解析講座H12年度卒業論文.
・池田宏(1998)第2章:軟岩と河川地形−デブリ・コントロールの見方−.地形工学セミナー2:水辺環境の保全と地形学.日本地形学連合編.古今書院.

図1.深掘れしたと思われる地点の橋(上流から撮影)
図2.図1の橋を下流側から撮影.橋脚直下にブロックが積まれ,その下流側は深さ2mほどの“深掘れ”した流路となっていた.右岸(川向こう側)のコンクリ堤下部は,ある高さから下は白っぽい色をした新鮮な玉石とコンクリートが露出しており,上部の黒っぽい風化した面と対照的.この白っぽい新鮮な部分は,深掘れ以前は恐らく河床の堆積物に覆われていたのだろう.レベル測量した結果,下部の白っぽい部分の上限の高さは,砂岩側にみられる低位の河岸段丘の上面レベルと一致していたことからも,深掘れ以前はこの高さまで河床が発達していたという仮説が支持される.この段丘面から最深部までは少なくとも3.5mの比高があった.
図3.上記の橋脚のようす.橋脚下部は真新しいコンクリートで補強されていた.
図4.河床は大礫がごろごろ.それに深掘れ後に投入されたとおもわれる巨礫群が点在していた.
図5.河床にみられた転石.層構造とそれを切る断層がきれい!
図6.さらに上流にさかのぼると(上村へぬける国道沿い),深掘れのためこけたと思われる橋の工事が行われていた.河床には,基盤岩がかなり露出していた(写真左の左岸周辺)