以下は,「授業科目内容紹介」(シラバス)に書いた内容を転載したものである.

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I)  地震学

II)  地球システム学II(旧講義名:地殻科学)

III) 地学概論II

IV) 環境問題のしくみ

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I) 地震学(選択)3年生対象)

1.授業の狙い:

 地震とは何か.地震はどのような過程を経て発生するのか.地震現象を様々な視点から学習する.とくに,地震発生の仕組みについて理解を深める.

2.授業の概要

 震源に働く力と断層運動とはどんな関係があるのか,地震は岩盤の破壊現象であるが,岩盤の破壊はどのようにして発生し,進展するのか,活断層と地震発生との関係はどうか,活断層の調査・探査はどうするのか,地震予知は可能か,また,長野県の活断層は大地震を発生させる可能性はあるのか,について学習する.

3.成績評価の方法

 毎時間講義後に小テストを行い,その成績で評価する.期末試験は行わない.小テストは,次の講義時間までに採点し返却するので,学習に役立てて欲しい.

4.授業計画

 第1-2週:活断層概論?活断層とは何か,地震と活断層の関係?

 第3-4週:活断層の活動の繰り返しと変位の累積

 第5-6週:地震を起こす原動力

 第7-8週:応力・ひずみ・破壊

 第9-10週:断層の脆性すべりと塑性変形

 第11-12週:地震波から見た断層運動

 第13週: 地震の発生と地下流体

 第14週:地震予知

 第15週:長野県の活断層と地震

5.教科書:「地震と火山」安藤・他著,東海大学出版会(2500円)

 参考書地震と断層島崎・松田編,東京大学出版会(3400円)

地震ボルト著,松田・渡辺訳,古今書院(3500円)

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II)地球システム学II(旧講義名:地殻科学)
          (必修)
(2年生対象)

1授業の狙い

 地球の固体部分をとりあげたとき,最も人間の生活に関わりが深く,地球環境にも大きな影響を与えているのは,いうまでもなく地球浅部である.この講義では,地表からおよそ深さ100km程度までの部分について基礎から学習する.

2.授業の概要

 地球表層部の主要構成物質である火成岩・変成岩の生成についてまず学習する.そのために必要な鉱物の相平衡について学習する.それらを基礎にして地球表層部がどのようにして形成され変化してきたか,その過程を理解する.必要な基礎的知識(主として地球科学・地球物理学・地球化学)の習得にも力を入れる.

3.成績評価の方法

 毎時間講義後に小テストを行い,その成績で評価する.期末試験は行わない.小テストは,次の講義時間までに採点し返却するので,学習に役立てて欲しい.

4.授業計画

1-3週:地殻を構成する物質?鉱物学・岩石学概論?

4-6週:鉱物の相平衡 ?火成岩・変成岩が作られる過程?

7-8週:海洋性地殻の形成と進化?マントルから玄武岩が作られる過程?

9-10週:大陸性地殻の形成と進化?プレートの沈み込み帯で起きていることー

11-12週:地殻の内部を探るー物理探査法?

13-15週:日本の現在の地殻変動?地震・火山活動?

5.教科書:なし

 参考書(1)はじめて出会う岩石学,山崎貞治著,共立出版(1500円)

(2)グローバルテクトニクス,杉村新著,東大出版会(3800円).

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III)地学概論II (選択)(1年生対象

1.授業の狙い

 地学概論Iで学んだ地球の歴史を基礎にして,この講義では現在の地球の姿を学習する.地学概論IIIを履修することによって,地球科学の全般をカバーすることになる

2.授業の概要

 次の3つの点の理解に重点をおいて授業を進める(i)地球の内部構造(その成因,それぞれの層の特徴など).(ii)地球内部の活動とそれによって生じる現象(地球磁場,マントル対流,プレート運動,地震発生,地殻変動など),(iii)海洋と大気.(なお,火山活動は地学概論Iで学ぶ)

3.成績評価の方法

 毎時間実施する小テストの合計点(ただし,2/3以上の出席は単位取得の必要条件).期末試験はしない

4.履修上の注意

 指定した教科書には基本的なことだけしか書かれていないので,講義ではこれをもとに,さらに発展した内容を述べる.高校で地学を学習してない学生は,この教科書をこの講義のキーワードのチェックに使ってほしい.地学概論Iを履修していることが望ましいが,未履修であっても受講できる

5.授業計画

1週 地球の形(1): 地球の自転,コリオリ力,潮汐力と地球の変形

2週 地球の形(2): 精密な地球の測量,地殻変動

3週 地球上の重力: 重力が意味すること

4週 地震(1): 地震の発生機構

5週 地震(2): 地震波観測から分かること

6週 地震(3): 世界と日本の大地震と災害

7週 地球内部の構造と組成(1): 地殻

8週 地球内部の構造と組成(2): マントル

9週 地球内部の構造と組成(3): 地球中心核と地球電磁気

10週 地球の熱と温度(1): 地殻熱流量,マントル対流

11週 地球の熱と温度(2): プレートテクトニクス.

12週 大気の構造: 地球温暖化,オゾン層破壊

13週 大気の大循環: 風系,台風,酸性雨

14週 海水の流れ:深層海流,エルニーニョ

15週 地球環境と資源

6.教科書:地球科学ハンドブック力武常次聖文社(971

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IV) 環境問題のしくみ(花里孝幸先生と共同で開講

1. 授業のねらい

現在、様々な環境問題が生じており、その問題の解決が重要な課題となっている。講義では、環境問題のしくみとそれが生じる社会的背景を理解し、今後の社会のあり方、自らの生き方について考える基礎をしっかりと学習する。

2. 授業の概要

身近な環境問題から地球規模の環境問題まで、具体例を挙げながら、その原因、しくみ、対策を社会的背景とともに解説し、問題解決のための社会のあり方について考察する。

3. 成績評価の方法

主として期末の試験により成績評価を行う。適宜行うレポート、ミニテストなどの成績も参考資料とする。また、出席状況も成績評価の資料とする。

4. 履修上の注意

 環境問題を理解するには、単に講義を聴くだけでなく、日常の生活で環境に敏感になり、疑問を持つことが大切である。受け身で終わらせないようにしてほしい。

5. 授業計画

1週:地球環境の成立(塚原)

2週:富栄養化

3週:オゾン層破壊

4週:放射能汚染

5週:資源・エネルギー問題

6週:土壌喪失と砂漠化

7週:有害化学物質汚染

8週:温暖化

9週:人口増・食糧問題

10週:酸性雨

11週:熱帯林破壊

12週:移入種による生態系撹乱

13週:水辺の環境改変

14週:自然環境保護・維持のための活動

6. 教科書 環境科学の基礎 御代川貴久夫著 培風館 2000

参考書 なし
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