ミクロの化石−放散虫から年代を知る

チャート・珪質泥岩・泥岩などの岩石には,珪質の骨格(殻)をもった原生動物−放散虫の化石がしばしば含まれています.放散虫の骨格を取り出すためには,それらの岩石をフッ酸(HF)で腐蝕させ,実体顕微鏡下で不溶残渣からピックアップします.さらに走査型電子顕微鏡を用いることによって,骨格の形態や微細な構造を観察することができます.

放散虫の骨格の形態と構造は年代とともに大きく変化するため,放散虫は年代を決定する示準化石としてたいへん重要な役割をはたしています.

左は実体顕微鏡で放散虫化石をピックアップしているところ.

右は走査型電子顕微鏡 (SEM) で放散虫化石を観察しているところ.

光学顕微鏡で見た炭酸マンガンノジュール中の放散虫化石(岐阜県各務原市)

写真の長辺は約2.7mm

梓川流域の美濃帯チャート・珪質泥岩などから産出したペルム紀・三畳紀・ジュラ紀の放散虫化石(長野県安曇村)

スケールは0.1mm.詳細は大塚(1998,安曇村誌自然編)を参照してください.

美濃帯の炭酸マンガンノジュールから産出したジュラ紀中世の放散虫化石(長野県開田村)

詳細は奥村・大塚(1996,信州大学理学部紀要 第31巻)を参照してください.

美濃帯のチャートおよび珪質泥岩から産出したジュラ紀中世〜新世の放散虫化石(長野県木曽福島町)

詳細は首藤・大塚(2001,信州大学理学部紀要 第35巻)を参照してください.

美濃帯の炭酸マンガンノジュールから産出したジュラ紀中世の放散虫化石(岐阜県根尾村)

詳細は小林(1998,信州大学理学部紀要 第33巻)を参照してください.

美濃帯の泥岩から産出した三畳紀新世の放散虫化石(岐阜県春日村)

詳細は鈴木・大塚・八尾(1999,地質学雑誌 第105巻)を参照してください.

秩父帯のシルト岩から産出したジュラ紀中世の放散虫化石(長野県長谷村)

スケールは0.1mm.詳細は金本・大塚(2000,信州大学理学部紀要 第35巻)を参照してください.

アラビア半島のチャートから産出した三畳紀新世の放散虫化石(オマーン,バティナオリストストローム)

スケールは0.1mm.詳細は大塚・梶間・堀(1992,大阪微化石研究会誌特別号 第8号)を参照してください.

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