授業科目 : 地質調査法実習U
英文科目名 : Practical Work in Field GeologyU
履修区分 : 必修
開講期間 : 前期
曜日・時限 : 集不定
授業形態 : 実習
対象年次 : 3
単位数 : 2
教員名 : 吉田 孝紀


【授業のねらい】
 地質科学は,野外における地層や岩石の産状を詳しく観察・記載することを積み重ねて発展してきた.この過程において作成される地質図は,単に地質体の二次元分布を表現したものだけではなく,それぞれの地層・岩石の性格や積み重なり,前後関係,三次元的な広がりを説明するものでなくてはならない.
 この実習では,特定の地域を調査し,地質調査と地質図を作成する作業を通じて,地質体の記載とその成り立ちにいたる時空関係を理解することを目標とする.これには,地質学一般の基礎知識はもちろんであるが,効率的な調査方法の立案,野外における地質体の正確な記載,岩石・地層の関係性の把握,それらの三次元的な分布の推定といった,これまでの知識と技術の総合化が必要である.また,実習全般を通して,調査結果を正確に他者に伝え,議論するコミュニケーション力や,教員,TA, 班員などとの議論を通して,決められた期限内に与えられた課題を十分に達成する計画性と実行力が求められる.

【授業の概要】
 夏期休業中に1週間〜10日間程度の野外での調査実習を行う.実習地域を班(3-4名)毎に調査し,その成果を調査報告書としてまとめ,口頭発表を行う.実習地の地質については事前調査と学習会での発表を課す.それぞれの日程は別途指示する.

【成績評価の方法】
 事前学習会での発表,実習中の態度,実習中の発表,調査後に提出された報告書の内容を別途公開する「評価ポイント」に従って達成度を評価する.達成度が8割以上をA, 7割程度をB, 6割程度をC,6割以下をDとする.

【履修上の注意】
(1)日程や評価方法についてはホームページで公開する.
(2)実習中の車の運転には注意すること.
(3)ヘルメット・腕章:ヘルメットは事故を防ぐ意味で必要.腕章は調査地域内の住民に対する説明上必要.
(4)あいさつと説明:地質調査では他者の所有地に入り込まなくてはならない事も多い.民家の裏や畑の脇の露頭を観察する際や,自家用車の駐車の際には出来る限り所有者や付近の住民に(場合によっては通行人にも)挨拶や声をかけて,調査の目的を説明し,理解を求める必要がある.露頭の破壊は最小限にする.
(5)道路脇の露頭の調査:車両の通行に注意し,その妨げにならないようにする.車両通過時には石を叩かないこと.また,調査による露頭の破壊は最低限にし,路上に岩石破片が散乱しないよう,後片づけを心がける.
(6)沢・谷部での調査:露頭や斜面からの転落や転倒に注意する.堰堤(砂防ダム)が多いため,その通過には細心の注意を要する.また,雷雨などによって落石・崩落・急激な増水が起こり得ることも忘れずに.

【授業計画】
(1)事前学習会:7月,9月(日程未定)
(2)実施場所:別途連絡
(3)実施期間と調査方法:別途連絡.調査地域を10程度の調査区画に区分する.1つの調査区画を1つの班が責任をもって調査する.
(4)調査データは,毎日,整理図に記録する.
(5)毎日,夜間のミーティング(まとめの会)を行う.この際,調査結果を報告する.調査結果は全員で議論し,隣り合う班との情報交換を行って,翌日の調査ルートや調査ポイントを決定する.(翌日の調査ルートを申告し,不測の事態に備えることも必要)
(6)実習フィールドでの調査を終了した後も,薄片作成や調査結果の整理を行って,担当区画の地質図と調査報告書を作成する.
(7)調査結果の提出,各人とも以下の内容を提出すること.
 ◇担当した地域の地質図・断面図・岩相図・柱状図・ルートマップ・調査報告書
 ◇岩石薄片の鏡下観察結果
 ◇上記の提出物は,各人ごとに封筒・ファイルにまとめて提出することが望ましい.
(8)提出期限:11月上旬(講義等の日程等を考えて決める)
(9)発表会:11月下旬〜12月上旬(日程未定)

【質問,相談への対応】
 可能な時間にはいつでも応じる.

【教科書】
なし
【参考書】
別途紹介します.