化石を利用して,過去の地球の環境を調べる研究をしています.


特に専門は貝形虫(Ostracoda)です.
貝形虫は甲殻類の一分類群で,二枚の石灰質の殻を持っています.この殻が化石として地層中に保存されます.
淡水や海水に生息し,過去の地球環境を知るための良いツールとして世界の研究者に用いられています.
貝形虫群集の変化と,石灰質殻の化学分析を組み合わせた研究を行っています.


現在の研究テーマは以下の通りです.

1.中新世~更新世の古環境解析
 堆積岩からなる地層を観察して得られる情報をもとに,過去の地球の環境変動を明らかにすることを目的にしています.地層に含まれている小さな化石の生物群集と殻の化学組成分析を組み合わせた解析を目指しています.特に,280万年前から始まった地球の寒冷化に関する研究がメインです.

2.氷期ー間氷期スケールに対応した海水準変動
 約280万年前から顕著になった氷期ー間氷期サイクルですが,その形成メカニズムやサイクルに対応した古環境変動について,古生物学的視点から解析します.

3.完新世における気候・海洋変動
 完新世(過去10,000年間)は,未来の地球環境を予測する上で重要な情報を多く記録しています.そこで,この時代の気候変動や海洋変動を明らかにすることを目的として,海洋コアや湖沼コアを用いて研究を行います.特に,東アジアモンスーン変動に興味を持って取り組んでいます.

4.貝形虫化石を用いたタフォノミー
 小さな化石がどのような過程を経て化石として堆積したのか,を明らかにしています.

おまけ
5.長野県内で発見した哺乳類動物化石
 うっかり発見してしまった大型化石の記載学的研究も合わせてやっています.大型化石は専門ではないので,前途多難です.