2014年12月は最初の週末の全国的な大雪から始まり、徳島県の山間部では集落が孤立し、犠牲者が出る災害となった。次の週末も日本海側地方で大雪となり、停電による列車の立ち往生や運休などが相次いだ。17日から18日にかけては二つ玉低気圧が猛烈に発達し、全国的に航空便の欠航や列車の運休、自動車の立ち往生など多くの交通傷害が発生した。除雪作業中の死亡事故も、高齢者を中心に発生した。
2014年12月の大雪などの極端現象(異常気象)は、地球温暖化との絡みで議論されることが多い。この大雪や寒冬・暖冬などが地球規模での気候変動と関連することは理解しやすいが、様々な分野での最近の変化傾向を議論する際に、短絡的に温暖化と結びつけようとする風潮が見受けられるが、如何なものだろうか。最近では、長野県のリンゴが甘くなったのは温暖化によるとの報に接した時は、思わず首を捻ってしまった。測定結果では、確かにリンゴの甘みが年ごとに増していることを示している。しかし、長野気象台での観測によると、1889年から2013年までの年平均気温の上昇率は、1.13℃/100年に過ぎない。リンゴの甘み成分は、気候変動にそんなに敏感なのだろうか。また、気候の年々変動の大きさとリンゴの甘みの変動は対応するのだろうかとも考えてしまう。甘いリンゴを好む消費者の嗜好に応えようとしているリンゴ農家の努力によって、年々甘くなっていると考える方が素直なのではないだろうか。
(「雪氷」77巻1号より その1)