地球上の水循環に伴う物質循環を研究しています。水循環というのは、海から蒸発した水蒸気が雪や雨となって地上に降り注ぎ、川となって流れて海に戻り、また蒸発するという繰り返しのことです。こうして循環する水は、いろいろな物質も一緒に運んでいます。気水圏研究室では、水循環とそれに伴う化学物質の循環について研究しています。
具体的な研究テーマは、大気中の化学物質が降水にとりこまれる機構や河川水の化学物質濃度が形成される機構について研究しています。また、積雪中での化学物質の移動機構についても研究しています。これらは酸性降水問題や融雪水の酸性化(acid shock)問題に関連しています。研究対象地域はわが国の高山地域や寒冷積雪地のみならず、北米や南極でも研究を行っています。さらには、都市気候、局地風などの小地域での大気循環についても研究しています。最近は、山の自然環境に興味があり、それを考える基礎となる気象観測データが、日本の高標高地域では蓄積されていないことを懸念しています。そこで、中部山岳地域の12カ所で気象観測を行っています。
信州大学のまわりには豊かな自然がたくさんあり、研究対象が無尽蔵にあります。3000m級の高山にもアプローチしやすいという地の利があり、その特性を生かした研究をどんどんやりたいと張り切っています。また、山の自然環境に関する研究を研究室全員で取り組んでいます。