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信州大学自然科学館

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信州大学自然科学館

化学展示品

信州大学自然科学館では化学に関する標本展示も行なっています.以下に展示品のリストと解説を記します.

名称
画像
解説
元素標本
旧制松本高等学校(大正8年から昭和24年)で利用された もの。ドイツ、メルク社製。標本の中にはかつて元素とみなされていたジジムが収められている。ジジムはネオジムとプラセオジムの混合物であると記されてい る。ネオジムとプラセオジムの分離が難しかった時代の標本である。また、単体のフッ素はガラスと反応するので、代わりにフッ化カルシウムの固体がガラス管 に収められている。注釈はドイツ語で書かれている。元素記号の表ではヨウ素に対しJが使われている。ドイツから化学を学んだ時代が思い起こされる
合成染料標本
旧制松本高等学校(大正8年から昭和24年)で使われたもの(製造元不明)。天然染料に替わる合成染料は英国のパーキンが発明したモーブが有名であるが、合成染料の研究と製造はドイツで発展した。天然染料にはない、さまざまな色調と60年以上たった今でも経年変化しない安定した発色が特徴である。
分子模型
分子の立体構造(形)を理解するための模型。左がエタン分 子、右がエチレン分子。黒い球が炭素原子、水色の球が水素原子を表し、棒はこれらの原子間の結合を表す。球と棒を組みかえることで様々な分子を組み立てる ことができる。緑と青のプレートはエチレン分子のπ結合を作っている電子が入っているp軌道を表している。
キップの装置
水素等の気体を発生させるための装置。例えば水素ガスを発 生させる場合は、中央(下から2段目)の容器に亜鉛を入れ、上段の容器から希塩酸を流し込む。亜鉛と希塩酸が触れると、水素ガスが発生し、コックから取り 出すことができる。また、コックを閉じると気体の発生が止まる仕組みになっている。
洗気瓶
キップの装置等で発生させた気体を洗浄するための器具。例 えば亜鉛と塩酸から発生させた水素ガスにはわずかに塩化水素を含むので、瓶内に入れた水に気体を通すことで塩化水素を水に溶かして取り除くことができる。 また、湿気を含むガスを乾燥させたいときは、濃硫酸などの乾燥剤に通す。
合成反応装置
いくつかのガラス器具を組み合わせてつくられた合成反応を 行うための実験装置。三口丸底フラスコの各口に還流冷却器、攪拌棒、滴下ろうとが取り付けられている。フラスコに入れた原料の溶液を加熱攪拌しながら、別 の薬品を滴下ろうとから少しずつ加えて反応を行うことができる。このような装置を使って、これまでに多くの新規物質が創り出された。
分液ロート
水溶液中に含まれる有機化合物を抽出、分離するための装 置。容器内に有機物を含む水溶液と抽出溶媒(有機溶媒)を入れ、コックを閉じて振り混ぜる。静置後、水層と有機層が二層に分かれたら、下のコックから一方 の層を取り出すことができる。
減圧蒸留装置
液体の沸点が減圧下では低下することを利用して、高沸点の 液体を蒸留、精製するための装置。液体を左下の梨型フラスコに入れ、真空ポンプ等を使って装置内を減圧にしてフラスコを加熱する。気化した気体は中央の冷 却管で冷やされて液体に戻り、右の受けフラスコに溜まる。
クロマトグラフ管
混合物試料の各成分を分離するための器具。管内にシリカゲ ル等の吸着剤を詰め、上部から混合試料を溶媒とともに流す。試料が吸着剤を通過する際に、成分ごとに吸着力が異なるため、異なる速さで流下し、分離され る。分離された各成分は下のコックから出てくる。
融点測定管
固体試料の融点を測定するための装置。フラスコ状の容器内 には油が入れてあり、容器の横に突き出た枝部から、測定試料を詰めた細いガラス管を挿入する。油をゆっくりと加熱しながら試料が融解する様子を観察し、上 から差し込んだ温度計で融解温度(融点)をはかる。
直示天秤
試料の質量を0.0001 g (0.1 mg) 単位まで精密にはかることができる天秤。試料の質量に応じて内蔵された分銅を切り替えることができ、試料を試料皿に載せてつまみを操作するだけで試料の質 量が前面のパネルにデジタル表示される。
光電比色計(フィルター光度計)
溶液の濃度を測る機器。信州大学文理学部(昭和24年から 41年)および理学部化学科(昭和41年から現在に至る)で使われた。昭和36年日立製作所製。溶液の濃度が濃いほど、透過光が暗くなることを利用して濃 度を測定する。電球の光をフィルターで単色にし、 この単色光を試料溶液に透過させると著しい吸光がおこる。透過光を光電管で受け電流に変換し検流計に光の透過度を表示する仕組み。調べたい化学物質を微量 に含む溶液があれば、これに試薬を添加して発色させ、その吸光光度をこの機器で調べると濃度が分かる。代表的微量分析法の一つ。公害が社会問題になってき た当時が思い起こされる。