同窓会長あいさつ

「科学の祭典」の開催を心から喜ぶ

毎年、夏が来るとそろそろ「祭典」だと心待ちにする自分がいます。科学・技術のおもしろさをわかりやすく伝える場を、このような形で持ち、大学人と市民・子供たちとが、なごやかに親しみを込めて学びあうことができることは、本当にすばらしいことだと思います。実際、目で見、手を使って考えるというのですから、一人一人の子供たちの将来がどのように開かれていくにせよ、ここでの一日が何かの役に立つにちがいありません。大人にとっても新しい発見をいくつも得る場となりましょう。また、大学で生活する人々にとっても、子供たちの疑問・質問や、あるいは作業や目の輝きから学びとるものは少なくないのではないかと思います。

私自身、毎年参加して、知らなかったことを学び、あるいはいくつかの知識が結びついていく体験をしています。子供たちには存分に楽しんで下さいと伝えたいと思います。

信州大学は理系の学部の数の多い大学です。これは長野県民が戦前、幸せと豊かさを求め地場産業育成に心をくだき、各種の高等教育機関を創ってくれたことの反映です。

また、長野県民は旧制高校の設立にも、多大な労力と資金を投じてくれ、その土台のもとに人文、経済、理学の三つの学部が誕生しています。信州大学は地域の人々の理解と励ましを受けて存在していることを、あらためて考えています。

今回の取り組みは、県民・市民と大学の結びつきをさらに強める力になると思います。

子供たちの理科離れが言われはじめて久しいのですが、その中でも全国の様々な取り組みや働きかけが実を結び、「そうでもないのでは」と思えることがいくつもみうけられます。科学に関するテレビ番組がいくつかあります。あまり良い時間帯での放映ではないのですが、「いつも見ている」という子どもはわずかずつかも知れませんが、着実に増えています。今回のこの取り組みも、そうした事実に貢献しているにちがいありません。

いそがしい中、準備を重ねてみえた皆さん、当日来校される方々に対応される皆さん、その苦労に謝意と敬意を表します。

信州大学理学部同窓会長
森 淳