どうも,島野です.この連休は,web site の更新に明け暮れることにしました.出かけるのは西友とかメーヤウ(近所のカレーや)ぐらいにします.2007年の3月の終わりは,日本生態学会や研究会 の打ち合わせで愛媛県は松山に行きました.松山城良いですよ.町を見下ろす高台の上にあって,天守閣の窓から海まで見えます.お勧め.
 で,その後,香川大農学部の小林 剛 先生のもと,共同研究を進める...というか,指導を受けるために香川に行きました.で,そのときのあちこちで見たものをお知らせしようと思います.
 まずは,金比羅(こんぴら)さん.「さん」は「山」ではなく「様」の意味で,地元の人は,愛着と尊敬の念を込めて「さん」付けて呼んでいるとのこと.
 小林先生の案内のもと,私の研究室の北川さん,生物・佐藤研究室の片桐君らと,ちょっくら山登りです.




 参道は土産物屋やら,うどん屋やらでにぎわっています.写真の奥の方に山が見えますが,あの上が金比羅さん(神社)です.目的地があんな上とも知らず, 今のうちは元気に進みます.

 土産物屋は相変わらず続くんですが,だんだん階段が多くなってきて,上り坂です.
 「ひょっとして,ずっと登り?」
この写真のあたりは,まだまだ序章です.
シロバナタンポポ
 参道から,ちょっと脇に目を向けます.シロバナタンポポです.西日 本では珍しくないのですが,東日本ではほとんど見ません.とりあえず写真に撮っておきましょう.

 桜が咲き始めた頃でした.美しいですね.
ウラジロガシ
 この地域は開発さえされていなければ常緑広葉樹林照葉樹林)が広がる気候帯です(暖温帯).神社のまわりは開発されてこなかったため,こうした常緑樹が自然の状 態で残っています.
 これはウラジロガシ.カシの仲間の中で,葉の先の方に鋸歯があるの はシラカシと一緒ですが,その名の通り,葉の裏が白いんですね.覚え やすいです.
カナメモチ
 これは,私もしばらく分からずに悩みました.
 なんとカナメモチです.カナメモチが種子から自然に再生しているん ですね.
 私が今まで見てきたカナメモチは,全て植栽で,しかも,若い芽がより赤く目立つように品種改良された,ベニカナメだとか,レッド・ロビンというものでし た.
 野生のカナメモチは初めて.
金比羅さん 本宮
 いやー,金比羅様,建物が立派.屋根は檜皮葺(ひわだぶき,ヒノキの幹の皮をはいで,屋根の材料にするもの)です.
金比羅さん 本宮
 こちらがメインの建物,本宮.中に神様がまつられています.正面から写真を撮らないように,注意書きがされています.
 私はよく知りませんが,神様の本体を写真でとるのは不敬なことなのでしょう.伊勢神宮なんかは,写真さえ撮らせてくれないゾーンがありましたからね.
讃岐富士
 また,展望が良いんですよ.左手に見えるのは,讃岐富士という山. 信州基準考えると,あり得ない形をしています.
イズセンリョウ
 奥社,というのがあるということなので,いってみましょう.そう,何度も来る機会があるとは思えません.
 林床にイズセンリョウを見つけました.うーん,常緑樹林ですね.こ れは低木種なので,そんなに大きくはなりません.
カゴノキ
 なんだこれ,カシじゃないし...
カゴノキ
アップで見ると,見たことがあるような無いような...
カゴノキ
と思ったら,カゴノキでした.なるほど.幹を見ると分かります.樹木 が成長していくと,幹肌が鹿の子模様(かのこもよう)にはがれていくので「カノコ」→「カゴ」ということです.
サカキ
 こちらはサカキ.神社で神主さんが使いますね.葉の縁に鋸歯(ギザギザ)が無いのがサカキ,あるのがヒサカキです.
 枝の先端を見ると,芽が,ヒュッ,と尖って伸びていますね.これが特徴です.
ヤブコウジ
 常緑広葉樹林の林床といえば,このヤブコウジを忘れてはいけません ね.
マンリョウ
 こちらはマンリョウ.お正月,縁起物として飾られたりしますね.も ちろんお金が1万両,という所に引っかけてのことです.
 え,100万両がいい?どうぞ,おすきに.
ニッケイ
 ニッケイです.在来種にヤブニッケイがありますが,こちらは中国原産.どう見分けるかというと,ヤブニッケイの葉の付き方は互生ですが,ニッケイの方 は,対生のように見えます.正確には,対生のように見える互生,何ですが,対生がニッケイ,互生がヤブニッケイ,と覚えておくと良いかもしれません.
イヌビワ
 常緑樹林の中にも落葉樹はあります.
 イヌビワ,です.二次林に良く出たりしますね.ここでは路の脇が明るくて,林冠ギャップの様な役割を果たし,それで(暗いとダメな)落葉広葉樹が分布で きているのでしょう.
ヤブツバキ
 ヤブツバキも暖温帯落葉広葉樹林を代表する種です.植物社会学的には「ヤブツバキクラス」ですから.
 枝ごと落ちてしまっているのは,ちょっとかわいそうですが,風情がありますね.

金比羅さん 奥社
 いやー,つきました.奥社.ここの標高は420mほど.階段で 400m上がったわけではないでしょうが(スタートが0ではないでしょうから),久々に,なまった足腰を使った感じです.
 おなかも締まってくれると良いんですが.
 といった感じで,金比羅参りをすませました.私の目的は社寺林に残されている貴重な自然だったんです が,これを守ってくれているのも金比羅様ですので,ありがたいことです.
 特に,本宮から奥社まではしばらく道のりがあるため,その分広く,森林が守られる結果になったと思います.
 この自然が,長く維持されますように.

小林先生の研究室では,何年か前の学生が,ここ,金比羅さんで調査・研究を行ったとのこと.対象は何だったっけな...ユキモチソウ,だっけか.で,許可 を取れば,車でかなり上まで(本宮の脇) まで出られるので,小林先生も歩いて上がるのは久しぶりだったかもしれません.ご面倒をおかけしました.
 しかし,自分一人だったら,「香川大に行くついでに金比羅さんに行く」という発想はなかったので,提案してくれた片桐君,賛同してくれた北川さん,案内 して頂いた小林先生にお礼申し上げます.

 そんなことで,次回,「訪問,小林プロット」に続きます.

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