どうも,島野です.
 イネ科の花粉に泣かされている皆さん,ご機嫌いかがですか.私も苦しいですが,緑を見るのにはいい時期になりました.
 5月の連休にはこの春卒業した皆さんの卒論を,学術雑誌用に編集し,5本投稿したりしました.で,現在8本投稿中.どうなるやら.
 そんなことで出かけられなかった私ですが,連休明け,ゼミの学生諸君と函南,伊豆方面へエクスカーションに出かけました.主要なポイントとしては,
1. 柿田川湧水池と湿生植物
2. 函南原始林(原生林)
3. タケノコ掘り体験(笑)
4. 西伊豆の海岸植物
といったところです.

 そんなことで,おつきあい下さい.

富士山
 例によって快晴.塩尻から甲府南インターまでは100km未満ですので,etcの通勤割引が使えます.半額.甲府南から精進湖に出て,朝霧高原,富士 宮.
 精進湖から見る富士山.千円札に描かれているのがこれです,確か.見事ですね.
柿田川湧水池
 で,柿田川湧水池.今回は時間の節約のため,富士から沼津まで高速 道路を利用.
 富士山にしみこんだ水が,ここでどばどば噴き出しています.砂を巻き上げるので,実際に見ると壮観です.
ヤブジラミ
 ま,そんなことで植物を見ていきます.まずはこれ,ヤブニンジン. 実が放射状に付きます.ヤブジラミ,オヤブジラミなんかと似ますが,それらはもうもっと太い棍棒状の実をつけます.
ヤブジラミ
 名前の由来は,葉がニンジンに似るから.ま,同じセリ科ですからね.
ムクノキ
 ムクノキ.松本では見ませんね.落葉樹ですが,暖温帯のものなので しょう.
ムクノキ
 一番下の側脈からさらに脈が枝分かれするのが特徴.
ヤワラスゲ
 ヤワラスゲ.何処が柔らかいかというと,つかめる脇腹ではありませ ん.茎,葉が全体に柔らかい.
 外見上の特徴は, 一番下の小穂は離れてついて,そこにだけ長柄あ ります.
ヤワラスゲ
 これがそう.ここだけ長い柄がありますが,上に付いている小穂には こんな長い柄はありません.

 これがポイント.
ヤマハンノキ
 ヤマハンノキです.葉の裏に毛があれば,ケヤマハンノキ.変種の違 いですので,種としては同じです.
ヤマハンノキ
 これが裏面.白っぽいですね.
イヌガラシ
  イヌガラシ.スカシタゴボウに似ていますが,実が細 いです.スカシタゴボウは実が棍棒状に太くなります.
ヤブニッケイ
 ヤブニッケイ.対生のように見えて対生ではない...ということ で,亜対生とか疑似対生なんて呼ばれたりします.あとは「互生または対生」とか.

 シナモンはこの仲間.Cinnamomum属.シナ モンの樹皮を乾燥させたシナモンスティックは,独特の甘さや香りがあるので,カプチー ノなんかに使われますね.

 湿地の樹木といえばこれ,ハンノキ
 特徴がなくて,説明しづらいんですが.

 うーむ,カワトンボイトトンボの仲間でしょうが,分かりません.泊まっているのはアオキの葉.
ミシマバイカモ
 バイカモの変種で,ミシマバイカモというのがあります.きっとこれ.特徴は「五葉の浮き葉」という ことですが,ここからでは分かりません.
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イガホオズキ?
 現地でイガホオズキではないかと思ったんですが,イガホオズキ属は葉に鋸歯がないんですね.葉に鋸歯があるのはホオズキ属.ただ,ホオズキ属の鋸歯はもっと激しい.イヌホオズキはナス属か.どちらにしてもナス科には間違いないと思います.
 
コジュズスゲ
 コジュズスゲ.スゲはこの季節しか見分けられませんから,めんどく さくても調べましょう.
コジュズスゲ
 小穂のアップ.ペンタックス50mmマクロのほぼ最大倍率です.左斜め上に伸びているのは小穂でなく苞葉.で,同じ付け根からちょこっと真っ直ぐ伸びて いるのが頂小穂(雄).小さいですね.実になってふくらんでいるのは側小穂で雌.どちらも小さいですね.
コジュズスゲ
 葉も撮影しておきましょう.断面はM字型です.


スゲひとつ調べるだけで15分ぐらい,みんなでアーだコーだやります.

湿地はスゲがいろいろでマスからね.
ちなみにこのコジュズスゲは,湿ったところ,ということでもないようですが.




 で,2,3歩歩くと,別のスゲを発見してしまいます.

マスクサ
 はい,こちらはマスクサ
マスクサ
 雌小穂に付く苞葉がとても長くて目立ちますね.
マスクサ
  ヤブスゲもこれに似ていますが,ヤブスゲは果実(専門的には,果皮と 種皮が別れない痩果(そうか)と呼ぶものを包んでいる果胞)ひとつひとつを包んでいる雌鱗片が細 く 鋭い三角形です.
 いっぽうこちらのマスクサは,雌鱗片が丸いですね. これがポイン ト.
ヒメゴウソ?
 さてさて,また別のスゲ.
 ゴウソかと思ったんですが...
ヒメゴウソ?
 以前見たゴウソは実がもっと扁平にふくらむんですよ.図鑑でも,やはり扁平(「岡山県スゲ属植物図鑑」これは,詳しいですよ,皆さん).

 それに対して, これはちょっとスマート.ヒメゴウソでしょうか.
 追記(20080611).飯田市美術博物館学芸員の蛭間博士に拡大写真を送ってみてもらったところ,ヒメゴウソでいいので はないか,とのこと.一応(現物の確認ではないですが),お墨付きを頂きました.
ヒヨドリジョウゴ
 ヒヨドリジョウゴ.ナス科の帰化雑草.葉が五つに切れ込んで,毛む くじゃら.
マルバウツギ
 こちらは木本,マルバウツギ.葉は対生でウツギに比べると丸く,そ してざらつきます
 ちょうど花の時期でした.
イヌビワ
 イヌビワ.常緑樹林の中の落葉広葉樹.独特の葉の形をしています ね.写真だと分かりづらいですが,葉の長さは20cmくらいあります.
スダジイ
 常緑広葉樹の王様といえば,これ,スダジイ.鋸歯があるタイプのも のと,無いものがあります.裏面は茶色いのですが,うっすら光ったりして,表現に困り ます.
 西日本に行くと,コジイ,が多くなります.
ヒメユズリハ
 ヒメユズリハ.日本海側にエゾユズリハ,というのがありますね.ヒ メユズリハは太平洋側に分布します.これも葉は大きく,25cmとか,普通.
コナスビ
 コナスビ.こちらは小さな草本です.葉は対生しますが,ハコベの仲 間ではありません.黄色い花が咲きます.

 と,そんなことで柿田川をあとにします.いろいろ楽しませて頂きました.ありがとうございます.
函南原生林
 で,三島方面から国道一号線を箱根峠に向かいます.で,右折.函南原生林に 到着.15年ぶりくらいでしょうか,私としては.
函南原生林
 標高が600-800m位のところで,ちょうど暖温帯常緑広葉樹林と冷温帯の落葉 広葉樹林帯が入れ替わる高さなんです.こういうところが自然に残されて いるのは貴重.
 どうやら個人の持ち物らしいので,道から外れることなく,大事に見学させて頂きます.
イヌガシ
 いきなりイヌガシ.なかなか見ませんが,伊豆半島には多いんです.カシ,と名前が付いていますが,三行脈があるクスノキ科の樹木です.常緑.
アカガシ
 来ました.アカガシ.すごい太さですね.立て看板によると,幹まわりが 5.4mとのこと.
ニワトコ
 ニワトコ.木本で,赤く熟す実はトリに利用されます.
ミヤマシキミ
 ミヤマシキミ.こちらは地面を這うタイプ.
シキミ
 こっちはシキミ.低木ですが,地面を這うタイプではありません.よ くにているイメージがありますが,比べてみるとやっぱり表情が違いますね.迷わないで しょう. 
アオハダ
 アオハダ.モチノキ科の落葉広葉樹.幹肌をはぐと青い(緑色)とい うことでこの名前が付いています.ここで破がしてはダメですよ.
イヌツゲ
 イヌツゲ.我々がよく見るのは公園などで植えられているものです が,これは野生.
ブナ
 そしてブナ.常緑樹の極相構成種と落葉樹の極相構成種が混成してい ます.
コクサギ
 コクサギですね.これは葉の付き方がちょっと変わっていて,互生な んですが,右,左,右,左,ではなく,右,右,左,左,右,右,左,左,とつきます.
 コクサギ型葉序(ようじょ).このコクサギとサルスベリがそうで す.

 む,スミレですね.土地勘がないので,難しいです.

 花も終わってしまっていますし.
コチャルメルソウ
 こちらはコチャルメルソウ.チャルメルソウは葉の先がもっと尖っ て,三角形に近い葉ですが,こちら葉の形が丸みを帯びます.
ウワバミソウ
 湿ったところに生えます,ウワバミソウ.うわばみ,とはヘビのこと です.
モミジガサ
 おっ,モミジガサですかね.似たのに,テバコモミジガサ,というの があります.テバコ,とは地名.
 どっちでしょうか?
モミジガサ
  で,裏面を見ると分かります.テバコモミジガサは裏面脈に毛あります. が,こちらはほぼ無毛,
 ということでモミジガサ
タニギキョウ
 タニギキョウで す.Tiny blossom!
 以前お世話になった,白馬 岩岳ヒュッテアルプの白木さんから,タニギキョウの所がイワギキョウって書いてあることをご指摘頂きました.で,訂正.
 いつもチェックして頂いて,ありがとうございます.
 知っている植物って,図鑑などでチェックしないのでうっかりしてしまいます.申し訳ないです.
ニリンソウ
 こちらの白い花はニリンソウです.写真の花は一輪ですが.
イタヤカエデ
 イタヤカエデ前生稚樹.上で林冠ギャップが開けば,どんどん成長していくのでしょう.
エイザンスミレ
 エイザンスミレですね.花は残念ながら終わってしまったようです が.葉は特徴的.ブナ林に出現するスミレです.
カンアオイ
 カンアオイです.この仲間は花を見ないと分類が難しいのですが,花 が咲いていました.
カンアオイ
 こんな感じ.萼片のめくれ方とか,内部のヒダヒダの数とか,地域による分布の違いなんかを見てきますと,カンアオイになりそうです.
アワブキ
 久しぶり.アワブキです.枝を切って,火をつけると,枝の中の水分 が泡になって吹いてくる,ということが名前の由来.ここでは取ってはいけませんよ.
アマチャヅル
 おっ,アマチャヅルですね.ヤブガラシという雑草に似ていますが, アマチャヅルは, 葉は薄く毛がある ,脈腋からツルがでる,といったことで見分けられます.アマチャヅル茶,ってありますが,これでできています.
 ヤブガラシは葉の反対からツルがでます
マメザクラ
 マメザクラです.この地域は多いですね.富士山周辺とか.重鋸歯です.
マメザクラ
 ミヤマザクラと似ていますが,違いはここ,当年枝(今年伸びたばかりの枝).葉柄に毛があるのはマメザクラ,ミヤマザクラとも同じですが,マメザクラは 当年枝が無毛.ミヤマザクラは細かい毛がビッチリ生えています.
ホウチャクソウ
 ホウチャクソウです.ユリ科.枝分かれするのが特徴.
ジロボウエンゴサク
 いいですね,ジロボウエンゴサク.花が少数つきます.信州では見ま せんね.
ヨツバムグラ?キクムグラ?
 ヨツバムグラか,キクムグラといったところでしょうか.葉の先の,短く,キュッと尖ったところ は,キクムグラっぽいですね.ちゃんと調べなかったので, ペンディングにします.
ホソバテンナンショウ
 大きく言えばマムシグサなんですが,これをいろいろ分ける場合があ ります.分けるとすると,これはホソバテンナンショウ 仏炎苞は緑で,葉は細いですね.この地域に多いようです.
アブラチャン
 湿った立地の低木,アブラチャン.いや,わらかそうと思って冗談を 言っているのではありません.
マツカゼソウ
 マツカゼソウですね.ミカン科の草本.


といった感じで,函南原始林(函南原生林)をあとにしました.

さて,渡邉君の実家がこちらで,しかもタケノコの山をもっているとのこと.タケノコをしっかり出荷したりしていると言うことです.

学生諸君の経験値アップのため,お邪魔させて頂きました.

 猫耳好きの後藤君が,竹林まで猫車を押します(笑).
アカメガシワ
 竹林までの道すがら,アカメガシワを発見.典型的な陽樹,遷移初期 種です.名前の由来は写真の通り,芽,というか,葉,若葉が赤いところから.
ウラシマソウ
 いやー,ウラシマソウです.私もしばらくぶりですね.実の部分から でている長いひもを浦島太郎の釣り竿に見立てています.こっちは雄の花.
ウラシマソウ
 何年もかけて成長して,大きくなると雌になります.こちらは雌.よくぞ育ってくれました.
ウラシマソウ
 ウラシマソウの葉.こんな感じ.

 信州は,マムシグサばっかりですね.

 さて,渡邉君のお爺さまがお手本.いとも簡単そうに掘りますが,みんなやってみるとなかなか難しい.みんな,途中で折ってしまうんですね.ちなみに,タ ケの種類はモウソウチクです.

 ムッシュもトライ.

 ムッシュ,ご満悦.
モウソウチク 地下茎
 地下茎が地上に出ていましたので撮影しました.直径4cmくらいあ りましょうか.立派です.


この日はそんなところで,宿泊先の西伊豆は土肥海岸に向かいます.

夕食無し,朝食付きで3000円台の宿を渡邉君が見つけてくれました.ということで,夜は「玉しげ」さんという割烹料理屋でお刺身などを頂き,焼酎を飲み ま した.飲まない諸君は,このお店一番人気の海鮮丼1500円で大満足.
ハマヒルガオ
 さて,土肥海岸の朝.5:30とかに起きてしまったので,散歩.もう爺なんでしょうか,私.
 一面にハマヒルガオが咲きます.
ハマヒルガオ
 ハマヒルガオ,こんな感じ.佐渡では花は終わっていましたからね.
コマツヨイグサ
 コマツヨイグサです.海岸の砂地に多いですね.花はしぼむと,オレンジ色に変化します.
ツメクサ
 ツメクサ.これも小さい.
コウボウシバ
 コウボウシバです.コウボウムギかと思ったんですが,後に清水さん の指摘でコウボウシバと分かりました.名前は,コウボウムギより小さいから, とか.
トベラ
 海岸の樹木といえばトベラ.ちょうど花が咲いています.
マルバグミ
 これも海岸の樹木,マルバグミ.グミ,ということで葉の裏は真っ 白.
シャリンバイ
 そしてシャリンバイですね.これも海沿いの樹木.
タチチチコグサ
 さて,朝食を済ませて,学生諸君らと本格的に見ていきます.まずは外来雑草ですが,タ チチチコグサ.とあるホテルの脇の庭に.
タチチチコグサ
 こんな感じで立ち上がり,わさわさとしています.
チガヤ
 良く田圃のあぜとか,土手で見ますが,チガヤです.チガヤの葉の特 徴は,葉の縁が赤紫に染まることです.機会があったら見て下さい.
ヒメコバンソウ
 外来種ですが,ヒメコバンソウ.実の形を小判になぞらえています. コバンソウ,という種もありますが,それに比べると,本当に実が小さい.
ヒメコバンソウ
 イネ科を見るときに忘れてはならない葉舌の部分.葉舌とは茎から葉が離れる部分にある膜状の部位.ずいぶん長いですね.
オオニワゼキショウ
  学生に何かと聞かれて,ニワゼキショウ,と答えたんですが,それで図鑑を調べた学生から,「オオニワゼキショウでは?」といわれました.そうなると,My 新種です.
オオニワゼキショウ
 確かにオオニワゼキショウ.外来ですが.ニワゼキショウに比べる と,背は高く「オオ」なのですが,花はむしろ小さいことが分かりました.花びらの色も薄 く,花弁三枚が明らかに小さいですね.
ニワゼキショウ
 こちらは近くで見たニワゼキショウ.ええ,違いますね.
ツルナ
 ツルナです.食べられます.黄色いのは花.
アオノリュウゼツラン
 でかいですねぇ.アオノリュウゼツラン.2m以上あります.
 あれが動いて,捕まえられたり,食べられたりしたら,悪夢ですね.
コモチマンネングサ
 今度は小さい植物,コモチマンネングサ.葉の付け根に芽が出てます ね.あれがムカゴのようになって,別個体として成長して分布を広げる性質を持っていま す.
 ベンケイソウ科で,肉厚ですね.
タチコゴメグサ
 こちらも同じベンケイソウ科,タチコゴメグサ丸っこい葉をお米にたとえています.
タチコゴメグサ
 こちらはタチコゴメグサの花.
ヒルザキツキミソウ
 見たことありませんでした.My新種.マツヨイグサの仲間だろうとということで図鑑を調べてもらうと,「野に咲く花」にでてるんですね.ヒルザキツキミ ソウだそうです.外来で園芸目的のものが逃げ出したようです.




土肥海岸はこんな所にしておいて,車で移動.渡邉君の案内で小金崎海岸へ.
トベラ
 野生のトベラが4mぐらいになっていました.日頃,公園で植えられたものしか見ないのでびっくり.
クサスギカズラ
 佐渡でも見ました,クサスギカズラ.佐渡の方では,最初,「オカヒ ジキ」とか誤同定をしていたのですが,修正.アスパラガスに似ていますが,それもそ の はず,同じAsparagas属です.日本語ではクサスギカズラ 属,といいますが.
イソギク
 イソギク.この仲間もいくつかありますが,分布などを勘案すると, イソギクでいいでしょう.
ラセイタソウ
 ラセイタソウ.見た目の通り,がさがさとした葉の手触りです.
ボタンボウフウ
 セリ科.ボタンボウフウです.迫力ありますね.
ボタンボウフウ
 葉はご覧のように2-3回三出複葉.
ボタンボウフウ
 この仲間は,葉の付け根が茎を抱くのはお約束.
ハマエンドウ
 ハマエンドウですね.葉は偶数羽状複葉で葉の先端がツルになって3つに割れます.花と実が両方写ってい て,いい写真ですね.
ハマボッス
 ハマボッス.佐渡でも見ましたね.
スカシユリ
 スカシユリですね.現場で見たときは「多分スカシユリ」といってい たんですが,帰ってからネットで調べると,伊豆のスカシユリは有名のようですね.
ハナニガナ
 舌状花の数からハナニガナ...かと思っていたんですが,上越環境科学センターの山本さんからご連絡ただいて,「オオジシバリでは?」とのこと.あわて て見直すと,舌状花の数は少ないながら,葉の形,それからハナニガナ(シロバナニガナ)は茎が枝分かれするのに,こちらはほとんどない...ということ で,オオジシバリと いうことに訂正させて頂きます.
 うーん,今回は特に修正が多いぞ!
 山本さん,ありがとうございます.で,個人的にはコンパクトデジカメよりマクロレンズや中間リングの付く一眼レフのデジカメをお勧めします.山本さん, プロなんだから.
リンドウ
 何だ,このリンドウみたいなの,といって調べると,リンドウ,海岸 沿いにも分布するんですね.信州にいると高原の草地のものと思ってしまいますが.乾燥 するからか,非常に肉厚でした.

 潮だまりに魚がいます.さすがに分かりません(笑).
ツワブキ
 ツワブキです.フキ(蕗)の仲間で海岸に生育します.葉は肉厚で, 蒸散を抑えるためでしょう,クチクラ層が発達していて,テカテカ光ります.
ツルナ
 ツルナ,再び.
アオスゲ
 アオスゲですね.特徴は...うーん,普通な感じの所.夢中で写真 を撮っていたので,虫がいるのに気が付きませんでした.
ママコノシリヌグイ
 ママコノシリヌグイ.良く,川の水辺で見ますね.茎や葉柄にトゲがありますので,触るときは注意.
コメツブツメクサ
 コメツブツメクサ.マメ科.これも川の土手なんかで見ます.似たの にクスダマツメクサ,がありますが,クスダマツメクサは花が50-60個くらい集 まっ ていますが,こちらのコメツブツメクサはせいぜい5-20個ほ ど.
カモジグサ
 カモジグサ.地味ですが,花の時期を見ないと同定できないので,写 真を撮っておきましょう.
カモジグサ
 このように,芒(のぎ)が非常に長いんです.
カモジグサ
 葉舌は短い方ですね.上に出てきたヒメコバンソウと比べてみて下さ い.
キケマン
 キケマン.信州ではミヤマキケマンという,山のキケマンが主流です が,ここは海岸ですので,キケマンです.茎は下に行けば行くほど太くなります.ケシ 科.
アシタバ
  ハマウドです.アシタバに似ていますが,アシタバの 茎を折ると黄色い汁が出ますが,こちらのハマウドはほとんどでません.
 あ,ここは国立公園ですから,折っちゃダメですよ.
コジュズスゲ
  コジュズスゲです.さっきのアオスゲに似ています が,アオスゲに比べ苞葉が長いのが特徴です.
カラムシ
 さてカラムシです.葉は互生で葉の裏が白いのが特徴.
カラムシ
 これが葉の裏.白くないタイプもあって,そうしたタイプはアオカラムシ,と呼ばれています.葉の裏が緑(アオ)のカラムシ,という意味ですね.
ヤブマオ
 ヤブマオ,でいいでしょうか.こちらは対生.がっちりした印象で す.
ヤブマオ
 葉の裏にはビッチリ短毛が生えています.
タラノキ
 トゲのある樹木を二種.こちらはタラノキ.動物に食べられないよう にトゲがある,と考えられます.
 奇数二回羽状複葉の一部分をアップしています.
 山菜で食べるタラの芽は,これの若芽.
カラスザンショウ
 こっちはカラスザンショウ.こちらは普通の奇数羽状複葉.やはり羽 軸にトゲがあります.
ヤブコウジ
 暖温帯の林床といえばこれ,ヤブコウジ.一見お茶の葉に似ています ね.
オカトラノオ
 分かりますか?オカトラノオ.サクラソウ科.花があれば,皆さん容 易に見分けられますが.
ゴウソ?
 うーん,最初ゴウソじゃないかな,と思ったんですが,上の方ででたヒメゴウソ?と 同じかともおもいます.いずれにしても,雌小穂が垂れる仲間ですよ ね.
 こちらは蛭間博士によると「オタルスゲかも」とのこと.
 もうこのころになる と疲れて,あんまりきちんと写真も撮っておらず,観察していません.今度は拡大写真も撮っておきます.
ホトトギス
  これはホトトギスの茎のアップ.皆さんが「ホトトギス,って鳥だろ う?」と思うのは致し方ありません.植物にもあるんです.で,写真のように茎に上向 きの 毛があるのがホトトギス茎に下向きの毛があるのがヤマホトトギス
オオシマザクラ
  オオシマザクラです.花も大きいが葉も大きい.オオ シ マ,とは伊豆大島のことのはず.伊豆地方と言えば,この桜.葉が大きいですね.
オオシマザクラ
 腺点も大盛り.葉柄と葉の下部の両方にあります.
オオシマザクラ
 托葉.すごく切れ込んでいますね.切れ込んで,その先がまた腺点.
モチノキ
 野生のモチノキを発見.いつもは植栽樹ばかりですからね.
モチノキ
 実が枝分かれしないで付いているのがモチノキの特徴.クロガネモチは,実が房状に枝分かれして付いているので,実を見れば見分けられ ます.

 海を眺めて.

 さて,西伊豆の自然探し,最後は堂ヶ島で海岸地形を見ます.せっかくなので船に乗ります.20分くらいで千円ちょっと.
トンボロ
 堂ヶ島で有名なトンボロ陸繋島です.写真の右側が陸地.左が島.でこれがつながっているのがかすかに見 えますか?潮が満ちると海に没します.トンボロ で有名なのは江ノ島.それから以前紹介した宮崎の青島(こちらをどうぞ宮崎・ 青島に特別天然記念物の亜熱帯性群落を見る)
アカサンゴ
 アカサンゴというそうです.なんだか珍しいとか.ま,ここは10分 おきに観光船がでるところなので,ここで取ろうとする人はいないと思いますが.

 で,ここの観光船のすごいところは,海にある洞窟の中に,船ごと入ってしまうところです.
 映画パイレーツオブカリビアンで,ジョニー・デップが亡霊たちと戦うような所のイメージ.いや,映画の舞台のように広くはないですが.

 天井に穴が空いていて,光が差します.Fantastic!


そんなこんなで,今回のエクスカーションを終了.プランニングで活躍してくれた渡邉君,ご協力頂いたご家族のみな様,ありがとうございました.

もちろん信州の山は素晴らしいんですが,たまには海もいいですね.連休中の研究室ごもりは取り返した気分です.

皆さんもどうぞ.

 海で日焼けして,顔がばばーんと腫れてしまいました.皆さん気をつけて下さい.


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