こんな所です.奥の水面まで見えるように台が設置されています. 両側は崖で,谷の部分が田んぼです.こちらでは「田切り地形」と言 うんだそうです.関東でいう,谷津や谷戸と似た形ですね.崖の部分は浅間山の噴火で積もった火山灰.それが削れて谷になっています. |
左の写真の奥にあたる場所,下の段には来年の再生を待つビオトープ.今年重機で掘ったようです. 来年が楽しみですね. |
さて,水面を拝見.紫色のコナギの花,やじり型のオモダカが見えますが... あっ,デンジソウ!昔は害草,今は絶滅危惧種. |
ええ,デンジソウです.四つ葉のクローバーじゃありません.すごい勢いで繁茂しています.これじゃ雑草(害草)として嫌われてしまうのも仕方ないかな? これ,デンジソウはシダ植物です. |
水面を眺めながら移動すると... |
ああ,ミズオオバコ.これこれ.実際に見るのは初めてです. 花は全然オオバコなんかに似ていま せんが,沈水している葉の見かけが平行脈で,オオバコに似ています.写真ではちょっと見にくいですね. ちなみに,水面の反射を取り除いて写真を撮るにはPLフィルター(オートフォーカスのカメラ用にはサーキュラーPLフィルター)というのを使うのが本当 なんですが, 新聞紙か何かで影を作ってしまうというのもひとつの手です.今回は,この,新聞紙の方法で. |
オモダカの花も咲いています.葉はとなりにあるやじり型のもの. |
左の写真,花の真ん中がポチッとふくらんでいますが,花が終わった後,この部分がふくらんで実になります.こちらの写真は,大きくなっていっているとこ ろですね. |
紫の花はコナギ.尖っているやや大きな葉がコナギの葉です. まわりに浮いている小さな葉はアオウキクサ.ウキクサは根をまとめて何本も出しますが,アオウキクサは,根が一本.しかし,大きさが全然違うので,小さ さだけでもアオウキクサとわかります. |
ホタルイ.先っぽは草刈りをしたときに切られてしまったんですね. |
こちらはクログワイ.これも草刈りできられてしまいました.クログワイの茎の内部は横断幕が発達する,といわれていますが,おかげさまで非 常に見やすい 標本になってくれました. |
ホタルイとクログワイは花が咲いていれば全然違うことがわかりますし,ホタルイは細く,クログワイは太いので一応見分けられます.が,クログワイの横断 幕を見たので,ホタルイも並べてみましょう. 「採集してもいいですよ」といわれていますので,それぞれ1本ずつとらせて頂き,茎の内面を観察. 上がクログワイ,下がホタルイ.全然違いますね.ちなみに,クログ ワイは茎の中が中空に近いので,千切らなくても茎を圧すと,ペコリとへこみます. |
田んぼの雑草といえば,イヌビエ.一面に生えているので,最初,栽培されているのかと思ってしまいました(^^; イヌビエとケイヌビエは同種の中の変種関係.学名ではEchinochoasa crus-galli と Echinochoasa crus-galli var. aristata です.で,これらに似たのにタイヌビエというのがありますが,これはEchinochoasa oryzaidesとされ,種は別です.タイヌビエは,その名の通り水田に生育するのですが,小穂がほぼ真っ直ぐに立ち,芒(のぎ)がほとんど無いか,あっても短いということで,ここはイヌビエでよいでしょう. |
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去年の花(実)を発見.ウキヤガラですね.1m位の大きさになりま す.特徴的なので,これがあれば見間違えることはないでしょう. |
花柄の先には,小穂が1つの所や,こうやって3つの所などがあります. |
カヤツリグサの仲間なので,茎の断面は三角形.写真は葉の付け根で す. |
葉の断面は,緩やかなM字型. |
葉の裏面です.しかし,きっちりとした折れ目がないので,裏から見ると断面はV字型(こちらから見るとW字型ではなく山形)に見えます. 葉の縁はざらつくので,触るときは注意. |
バッタですね.何ですか?ショウリョウバッタ?下が雌で,上に載っ ているのが雄ですよね. |
トウキョウダルマガエルでしょうか.トウキョウダルマガエルは,ト ノサマガエルに似ていながら背中の黒い斑点がそれぞれ独立し(トノサマガエルはつながる),後ろ足が後ろ橋が短いことが特徴と言われています. うーむ. |
タデが咲いています.ヤナギタデかボントクタデですが,両種は非常に似ています.葉を一枚拝借して,噛んでみましょう. ・うわ,からい!→ヤナギタデ ・うーん,普通.→ボントクタデ. |
で,今回はヤナギタデでした.からい! ヤナギタデは花びらの数が4-5枚とのことで,これは5枚のもの.なかなか繊細な花です. |
葉の付け根には茎を覆うような膜,葉鞘(ようしょう)があります が,この先から,短い毛が生えています. ・葉鞘からの毛がない→オオイヌタデ ・葉鞘からの毛が短い→ヤナギタデ ・葉鞘からの毛が長い→イヌタデ,ハナタデ |
葉はこんな感じ.何とも平凡.一応,葉がヤナギの葉の形に似ているというのが名前の由来です.毛はあまりありません.下に出てくるイヌタデは葉にも毛が目 立ちます. |
左がヤナギタデ.花がまばらで花穂が垂れます. 右はイヌタデ.花が密に付き,花穂がたちます. |
イヌタデの葉鞘.縁から葉鞘と同じ長さぐらいの毛がありますね.大きな特徴. |
葉の表面,中脈の上にも毛があって目立ちます. |
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葉は大きいです. |
葉鞘はありますが,そこから毛が伸びていないのが大きな特徴です ね. |
ハナタデです.花はまばらでさっきのヤナギタデに似ています が... |
葉に特徴があります.葉は真ん中が太いのが,先端に向かうに下が,キュッと細くな ります.尾状に尖る,と言いますね,よく. それから,葉の真ん中らへんに黒い斑点がありますね.これも特徴. |
加えて,この葉鞘からの毛の長さ.これも特徴. 以上,タデシリーズ4種でした. |
水辺と言えばこれ,ミゾソバ.これも一応タデ科ですが,これは間違 えませんね.後ろにぼんやり移っている葉の形が,牛の顔を正面から見た形に似ているということで,ウシノヒタイ(牛の額),と言う別名もあります. |
湿った崖なんかに生えていますね.ツリフネソウ. 実は自動散布で,熟した身の入った鞘(さや)を,つんつんと触ると鞘がはじけ,タネがバネではじかれるように遠くへ飛びます. |
タウコギ.ガンクビソウではありませんよ. |
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自分の肩にトンボがとまりました.自分カメラで何とか撮影.一眼レフなので,ノー・ファインダー撮影ですが,奇跡的にとれていました! では,田んぼを離れて,まわりの植物を見ていきましょうか. |
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葉はこんな感じ.今まで見ていたけれど,なんだかわからなくて見過ごしていたような感じがします. |
図鑑によれば,葉の裏に腺点があるとされています.一応ある(見え る)んですが,よく見ないとわかりません. それより,匂いです.メントールの香りが,すっごく爽やか!学生諸 君とみんなで匂いをかいで,大騒ぎです. |
花のアップです. ついでに,葉の表面に毛があることもわかりますね. |
マメ科の花を発見. |
こちらにも.何でしょうか... |
ヤブマメとツルマメは似ているようですが,花の付き方が全然違います.ヤブマメは写 真のように葉の付け根から長い花柄が点いて花をつけますが,ツルマメ は葉の付け根に埋もれるように花をつけます. |
葉は,ヤブマメの小葉が菱形を丸くしたような形ですが,ツルマメは細長い楕円形. |
図鑑によれば,ヤブマメの葉の表面には伏せた毛が生えているとのこと.写真に撮っておきましょう.確かに毛があって...伏せているかどうかはちょっ と,微妙.個体差でしょうか. |
と,一瞬思いますよね.ですが,皆さん思い出して下さい.スギナの場合,葉は葉.で胞子をつけるツクシの部分には葉がなかったはず. ええ,別種なんです.イヌスギナ.こういう姿で正しいんですね. 私も初めて見ました. ...ちなみに,葉っぱに見える部分,厳密には葉ではありません.詳しいことはまた今度. |
アカバナ科.毛むくじゃら.しかも水辺.と言うことでアカバナ,と言うこ
とです.
藤田プロ,いつもお世話になります. |
毛だらけなんですが,腺毛です.すごいですね. |
一方,左の写真はナガミノツルキケマン.レッドデータプランツですが,東信地方では結構見るようですね. 今は花ですが,実がなったときに,実が一列になるのがナガミノツルキケマン,二列になるのがツルケマン,と言われています. 霧ヶ峰で見たことありますが,こんなに立派なのは初めてかも. |
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...と言うようなことで,計2回にわたる観察を終えました. いろいろな出会いがあり,満足. ありがとうございました. 小諸ミズオオバコ保全会議の皆さんに,改めてお礼申し上げます. |