カラスノゴマ狂想曲

UPDATE: 2008年11月10日

植生学会で農工大に行ったんです.


 農工大に行ったんです.神代植物公園のあとに.で,いろいろな先生方と会い,農工大の福嶋先生のお誘いで行きつけらしいそば屋さんで飲むことになりまし た.10人以上ですから,そば屋ジャックです.で,飲みながら,いい話から,たわいもない話まで,いろいろ出たんですね.
「で,何処どこにはカラスノゴマなんかが出るんだよ」
私「カラスノゴマ?何ですかそれ.聞いたこともない」
吉川先生(農工大)「カラスノゴマなら,うちのキャンパス内にもありますよ」
私「えー,それはぜひ見たいなあ」といったものの,飲んでいるのですぐ忘れてしまうため,そば屋の箸袋か何かに「カラスノゴマ」と書いて財布にしまいまし た.なんかの呪文みたいですね.

 翌日.大会発表前半は会場に張り付き.一通り見てホッとしているときに,「そういえば,カラスノゴマ」と思いだしたんです.こんな 時に持つべきものは友人です.飯田市の美術博物館にいる蛭間博士は学部から博士課程までこのキャンパスで過ごした農工大の達人です.会場の中や外をぶらぶ らしていると,いました,蛭間君.
「ああ,蛭間君,どうも.ね,時間があったら,キャンパスに生えてるカラスノゴマ,案内してほしいんだけど」
「あ,島野さん,いいっすよ」
「ok,助かります.うちの学生の清水さん来てるから,ちょっと呼んでくる」
で,清水さん合流.
「いや楽しみだなあ」と私.
「初めて聞きます,カラスノゴマ」と清水さん.
先頭を歩いていた蛭間君が立ち止まります.「キツネノマゴ?」
「いやいや」と手を振る私「キツネノマゴなら,さすがに俺だって分かるよ」


キツネノマゴ

(キツネノマゴは,これ.神代植物公園で)

「えっ,何でしたっけ?」
「何いってるの,カラスノゴマ」
「カラスノゴマ...」と蛭間君は固まってしまいました(笑).「カラスノゴマって,何でしたっけ...」
「嫌だなあ,林床の草本植物が専門の蛭間博士がカラスノゴマ分からないなんて」私もカラスノゴマ,分からないんですが,こういうときに「博士」とかつけ ちゃって,ちょっと嫌みですね(笑).
 ちょうど書籍販売コーナーを佐久間書店さんが出しています.
「蛭間君,ど忘れだと思うけど,図鑑で確認する手もあるよ」
私がそういうと,蛭間君は書籍販売コーナーにいって,本の中身を確認する風な手つきでカラスノゴマの写真を探します.なかなか戻ってきません.手強いんでしょうか(笑).しばらくして戻ってきました.
「いや,あんな植物知りません」
「え,蛭間君,農工大長いんだし,専門家だし,知らないっていうのはまずいんじゃないの?(笑)」
「そうだ,結構珍し目の植物が生えているところがあって,そこかも知れません.いってみませんか?」
「いいね,いってみよう」と私.
「お願いします」と清水さん.

農工大の顔とも言える,正門から入って正面の建物の所に来ます.「エーと,ここにはですね,島野さん....あ,これこれトキホコリ.珍しいで しょ」
「あー,トキホコリだ,本当.写真撮るよ,俺」

トキホコリ

トキホコリとは,イラクサ科ウワバミソウ属で,ウワバミソウの子供みたいな印象の植物.葉の付け根にぽっこりしているのは花の部分.
それから,それほど珍しくはないですが,ハエドクソウが咲いていました.

ハエドクソウ
ハエドクソウ
ハエドクソウ

「と,こんなところでいかがでしょうか」
「うーん,ま,トキホコリはトキホコリでありがとう.しかしカラスノゴマ...」
「イヤー,すみません」

 と言うことで出直し.大会事務局に用があってお邪魔していると,吉川先生が戻ってきました.
 「あ,吉川君,時間があれば,昨日の,カラスノゴマ,教えてほしいんだけど」
「イヤーすみません,自分がここ,離れるわけにはいかないんで...そうだ,知ってる学生に案内させますよ」
「いやあ,それはありがたい」と言うことで,ご案内頂きました.千葉中央博の大野先生も一緒.
 それに先立ち,大会事務局で私が今回の蛭間君の話をすると,
「蛭間君は,農工,長かったんじゃないの(笑)?」と岐阜大の津田先生.
「長いばっかりで,まったく(笑)」と大野先生.で,やっとご対面.

カラスノゴマ
カラスノゴマ
カラスノゴマ
カラスノゴマ

これ,なんとシナノキ科なんです.シナノキ科に草本があるなんてね.で,葉の写真を見て,モロヘイヤを思い出したあなたは,なかなかいい目をしてい ます.モロヘイヤもシナノキ科の草本で,花も似ていますね.属はカラスノゴマがCorchoropsis,カラスノゴマ属,モロヘイヤがCorchorus,ツ ナソ属と違いますが.案内をしてくれた学生の方のお名前を聞くの,忘れちゃいました.ありがとうございます.

 え,これで終わり?蛭間さんの出番はもう無いの?と言う全国の蛭間さんファンの皆さん,安心して下さい.まだあります.
「イヤー蛭間君,吉川君に 聞いて,カラスノゴマのありか,分かっちゃったよ」
「あ,吉川さん,案内してくれたんですか」
「いや,彼は忙しいからって,かわりに学生の方が案内してくれたけど.やっぱり,吉川君にはかなわないのかなあ」
「いやー,吉川さんにはかないません(つД`)」
と言うことで,今度は蛭間君とカラスノゴマを見に行くことになりました.ですが,カメラが手元にないとのこと,車までデジタル一眼レフを取りに行きまし た.そうこうしているうちに鳥と植物の関係に詳しく,私もいろいろアドバイスをもらったりした郡(こおり)さんが合流,みんなで再び見に行きました.

カラスノゴマ
カラスノゴマ

今度は,私は実の部分を探して写真を撮ることに.種子がおさまる鞘の部分は,モロヘイヤと似てますね,やはり.で,カラスノゴマとはこの中の種子の ことでしょうから,せっかくのチャンスです,むいて写真を撮っておきましょう.こんな感じ.熟すと黒くなるんでしょうか.私の親指のツメと比べて,その小 ささが分かると思います.ストロボを焚いたので,バックは真っ黒になってしまいました.


ではお礼に,と蛭間君がキャンパスの中を再び案内してくれました.蛭間君は夕刻行われた,明日のエクスカーションの説明会に出るために,途中で抜け てしまいましたが,農場見物です.そこで見たものをいくつか.

サトイモ

サトイモ.暗いので手ぶれしてしまって面目ないです.


クログワイ

クログワイ,ですよね.なんだろ,生えて来ちゃったのかな.

ニンジン

ニンジンです.普段葉は見ませんよね.これを野山で見たら,セントウソウ,とか言っちゃうのかな(笑)

ゴボウ

ゴボウ.キク科ゴボウ属.でアザミに似た花を咲かせます.

クコ

クコ.花が咲いています.これを見る前に,ピラカンサがあって,遠くから見た私が「あ,クコだね」と言ったら,郡さんはしっかり「いえ,ピラカンサ の方ですよ」とバッチリ.もうまわりが優秀な方ばかりなので,勉強させて頂くばかりです.
ハイ.

ソバ

栽培用のソバが逃げ出して花壇に生えています.蛭間君は,なんとか,って品種名をカタカナでいっていたのですが,私は忘れてしまいました.

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 さて,夜は大國魂神社の会館で懇親会.私は下田路子先生と初めてゆっくりお話をさせて頂きました.内の研究室で水田に出る植物をやっている北川さんの話な んかもして.
 私は通風持ち&血糖値高め,と言うことで食事も飲み物もおさえていましたが,やっぱり蛭間君と二次会に行くことに. 清水さんはイケメンで知られる宮崎の伊藤先生の写真を 一生懸命撮っていましたね(笑).


で,蛭間さんの「いつもの店」へ.



と,今回はこんなところで. | トップへ戻る