今回の京都行きなんですが,八坂神社とか,祇園とかいろいろ行ったんですが,やっぱりですね,来ちゃうんですね,植物園.

 京都府立植物園,10年以上も前に来たことあるんですが,あのころはフィルムカメラ時代で,何でもかんでも写真を撮りまくる,っていう時代ではありませ んでした. ですので植物の写真なんて,当時,全然無いんですよ.今はデジカメなので枚数を気にしないでドンドンとれます.あ,デジカメのバッテリーを充電し忘れて青 くなりま したが,駐車場側の入り口に近い食堂・売店で単三アルカリ電池を買えたのでokでした.

 私のこのときのカメラ,ペンタックスK100Dなんですが,日頃は単三型の充電池(三洋のエネループ)を使っていて,いざというとき,単三アルカリ乾電 池4本で200枚以上撮影できるので,非常に助かっています,うっかりものの私としては.専用充電池しか使えないデジカメは,フィールドに出たときは,怖 いですね.こんな事も私がペンタックスの一眼レフを使う理由です.バッテリーグリップとか持っていても,重いし,そういう「いざ」と言うときには持ってあ るいていな いんですよ,「いざ」というときですから(^^)



ここ,非常に広いです.神代植物園もですが.なので時間の制約がある私としては,見所を絞らないといけません.

 ここが神代植物園と大きく違うのは,日本の自然を再現した「植物生態園」というゾーンがあって,各気候帯の植生帯ごとに特徴的な植物を見ることができ ます.

それがここと,筑波の植物園の良いところ.

ここね.
 自然の中で見るのと,植わっているものを見るのはやはり違うんですが,自然の中で見慣れぬ植物とであったとき,やはり見ておくのは大きな参考になりま す.あと,記録ね.

 で,このゾーンは自然っぽく再現されています.フランス式庭園(サンク・ガーデンといいます)何かが園内にある一方で.
シリブカガシ
シリブカガシです.
 実はこれは生態園の部分のものではありませんが.常緑のカシですが,アカガシやシラカシのいる常緑のコナラ属ではなくマテバシイ属です.
シリブカガシ
 暖温帯のものですが,関東はマテバシイしかなく,このシリブカガシはありません.分布は西日本ですね.
 葉の裏は,なんて言うんでしょう,銀色に光るようなイメージです.
ツクバネガシ
ツクバネガシです.これはブナ科コナラ属.葉の先端の方 に鋸歯があります.といってもシラカシなどとは違い,葉の先の方がふくらんで丸い印象ですので,間 違えないでしょう.
ツクバネガシ
ツクバネガシの葉の付け根はこんな感じです.
シマモクセイ
シマモクセイというんだそうです.見たことも聞いたこと もありませんでした.モクセイ科モクセイ属.ということで対生です.単葉,全縁.
シマモクセイ
シマモクセイの葉の基部は赤紫色になって,ちょっとモッコクっぽいですね.
ツガ
ツガです.ツガ科ツガ属.信州に多いコメツガは標高 1700m以上の岩場など.これは,岩場や尾根地に生育しますが,暖温帯上部,500mから 700-800mくらいまでのところに分布.(20091028修正)
 見分け方は,ツガは写真のように実が枝の先からカクッと曲がって付きます(垂れます)が,コメツガはもっと小さい実が,枝の先にまっすぐつきます(もっ とも斜めに枝がしなりますが).
ツクシイヌツゲ
ツクシイヌツゲ.モチノキ科モチノキ属.イヌツゲの変種 とのこと.どう違うんでしょうか.物の本によると葉が薄く,果柄がふつうのイヌツゲより長いんだと か.それと葉柄,葉身もイヌツゲより長いそうです.比べてみないと分かりませんね.
 分布は,四国,九州南部だそうです.
トキワマンサク
トキワマンサクです.自生は少ないらしいです.高尾山の 薬王院にも植わっていました.
トキワマンサク
トキワマンサクは,マンサク科トキワマンサク属.茎,葉に毛があり,触るとざらつきます.
コモチシダ
うわ,コモチシダ
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !
コモチシダ
コモチシダはですね,ご存じのように葉の表面に無性芽をつけて,これで繁殖します.これが子持ち,の名の由来.
コモチシダ
 「うわ,なんか生えて来ちゃったんですけど」みたいな.
コモチシダ
 裏はこんなです.シシガシラ科コモチシダ属.信州にはもちろんありません.暖温帯ものですね.
カギカズラ
こちら,カギカズラというんだそうです.アカネ科.
カギカズラ
 葉の付け根の部分にカギ状の付属体がつきます.これで他の植物に引っかかるんでしょうか.托葉が付いているのが見えますので,托葉とは別なんでしょう ね.
ノシラン
ノシランだそうです.これも初めて見ました.何だろう, このヤブランの巨大化した奴...と思って調べたら,ノシラン.「そんな植物No,知らん」と覚えました(笑).ユリ科ジャノヒゲ属.
ミヤギノハギ
ミヤギノハギ.マメ科ハギ属.写真のように葉がとがるの が普通のようですが,ネット上ではそうでない写真もあふれています.うーむ.
 ハギの仲間は皆,枝が立ち上がりますが,ミヤギノハギはこのように垂れるのも普通のようです.

風情がありますね.
ムベ
ムベです.アケビ科ムベ属.アケビの仲間,ふつうは落葉 ですよね?これは常緑.掌状複葉.葉がテカテカです.ムベはツルですが,観葉植物のカポックに似て ますね(笑).
ムベ
 多分,ムベの若い個体.で三枚なのだと思います.
カリガネソウ
 ああ,良いですね,カリガネソウ.クマツヅラ科カリガネソウ属.こ ちらに来る前,教育学部の井田先生に長野県内でカリガネソウを見たことがある,って自 慢されていたところです(笑).見られて良かった.
 花のバックを暗い部分にして,形,色が引き立つようにして撮影しました.
カリガネソウ
 葉は対生.茎の断面は四角.アキチョウジと同じシソ科にされる場合もあるようです.茎の断面が四角い感じは納得.
イナカギク
イナカギク,だそうです.花もないし...はあ,そうで すかといったところ.ま,記録だけはしておきましょう.
イナカギク
 イナカギクの葉は,やや三行脈が目立ちますかね.それと,鋸歯が鋭く,葉の先の方へ向かっています.
 キク科シオン属.
コバノミツバツツジ
コバノミツバツツジ.ツツジ科ツツジ属.
 ミツバツツジ,と名前が付いていますが,トウゴクとか,サイゴクとは全然違う雰囲気.別物.
コバノミツバツツジ
コバノミツバツツジ,葉柄は長くないですね.ミツバツツジは長いですが.で,裏面脈上に,茶色い伏せた毛が見られます.
シモバシラ
シモバシラです.シソ科シモバシラ属.なんて説明したら 良いんでしょうね.例の話ですか?
シモバシラ
 花期はもう少し先.
 テンニンソウは茎が立ち上がりますが,テンニンソウは茎が横に伸びる感じ.花の感じはやや似ています.
ハマビワ
 ハマビワ.以前宮崎の青島で見ました.ビワに見えないこともないで すが.
ハマビワ
 例によって葉の裏は茶色い毛がびっちり.ビワと間違えることはないですね.クスノキ科ハマビワ属.
ナツフジ
ナツフジ.フジやヤマフジとどう違うかというと,豆果の さやに毛がない.フジやヤマフジは確かにありますね.
 葉の毛は,フジもナツフジも,始めあって夏にはとれてしまうということなので,葉の毛では見分けられませんね.
 フジ,ヤマフジはマメ科フジ属,ナツフジはマメ科ナツフジ属.
キクタニギク
キクタニギク,だそうです.札が立っていたんです が...あってますよね?名前も初めて聞きました.
 花はなかったんですが,かなり細かく切れ込む葉が特徴的です.物の本によると5深裂だそうで.もちろん,キク科キク属.
カノコユリ
カノコユリ.ユリ科ユリ属.こちらは立ち姿.
カノコユリ
 カノコユリ,葉はこんな感じ.
カノコユリ
カノコユリ.別個体ですが,こちらは花が咲いていまし た.見事ですね.しかし,花で覚えてしまうと,葉を見ないので,花の写真は最後に.
ミツデカエデ
ミツデカエデ.カエデ科です.なので対生.三出複葉です ね,これ.メグスリノキも三出複葉のカエデ科ですが,メグスリノキの方はこんな目立った鋸歯が無 く,葉の裏に毛が密生します.
コアカソ
コアカソ.コアカソかクサコアカソかを見分けるのには, 鋸歯の数.コアカソは葉の片側に鋸歯が10個程度まで.対してクサコアカソは10-20個
 よく「コアカソは木化するから違いが分かる」といいますが,小さい個体ではなかなか分かりません.
コアカソ
 なのですが,このコアカソは,高さ2m位あり(もっとかも),茎がばっちり木化していました.こんなのは私も初めて見ました.
セイシカ
セイシカ.ツツジ科ツツジ属.見たことも聞いたこともあ りませんでした.沖縄に分布するものらしいです.あ,あと奄美諸島とか(鹿児島県).
 葉の印象はシャクナゲっぽいですね.
ゴモジュ
ゴモジュ.スイカズラ科ガマズミ属.名前も聞いたことあ りませんでした.これも,奄美,沖縄の分布のようです.
 なかなかお目にかかる種ではありませんが,それだけに記録として載せておきましょう.
ツルコウジ
ツルヤブコウジツルコウジとする図鑑もあります.Ardisia pusilla. ヤブコウジと比較すると,茎,葉に褐色の軟毛があり,これが区別の決め手になりそうです.毛だらけ.
イスノキ
イスノキ.これも静岡以西の分布なので,関東ではお目に かかれません.何というか,特徴のない葉ですよね.虫こぶがあると分かるんですけど.
ハクウンボク
ハクウンボク.エゴノキ科.これ,葉柄内芽です.葉柄の 部分を丁寧に向いてあげると,中から冬芽が出てきます.ふつう葉の付け根に芽がありますが,これは 葉柄の中に隠れているものですね.太平洋型の分布です.
オオハンゲ
 オオハンゲ,来ました.サトイモ科ハンゲ属.葉は小葉3枚で一枚.
 名札が無くて,しばらく「なんだっけか」と思っていたんですが,このページを作っているときに,ガブリエル様がそっと「オオハンゲ」って教えてえくれま した(笑).
オオハンゲ
 花だけ見るとカラスビシャクみたいに見えますね.それもそのはず,属まで一緒.カラスビシャクはもっと小さいですが.
オオハンゲ
 全体の姿はこんなです.カラスビシャクを,特に葉っぱをすっごく大きくしたイメージです,オオハンゲ.ありがとうガブリエル様(ご先祖様かも知れません が)
ヒュウガギボウシ
ヒュウガギボウシ,だそうです.オオバギボウシとどう違 うんでしょうか.
 どうも,オオバギボウシは葉の裏の脈状に小突起があるらしいんですが,ヒュウガギボウシには無いらしいです.
 今度,オオバギボウシ,チェックしてみましょう.
サワギキョウ
 これは信州の湿原でも見ますね,サワギキョウ.この花の前で,三脚 にカメラを乗っけて,すっごくねばっているアマチュアカメラマンがいました.ご苦労様 です.
ヒオウギ
ヒオウギです.ヒオウギアヤメ,とか聞きますが,こちらはアヤメ科で もヒオウギ属で別.
 むしろヒオウギの方が見ませんよね.私も植栽しか見たことがないです.
ヒオウギ
 ヒオウギ,葉はこんなです.こんなに薄い葉がよく立つな,と思いますが,ぴっちりと2枚が重なったような作りになっていて,縦に折りたたんだ紙が倒れな いのと同じ作りです.
イシカグマ
イシカグマ.もちろんシダは分かりませんが,札がでてい るので写真を撮って来ました.
イシカグマ
 一応葉の裏も.解説は...カンベンしてください.
ハマゴウ
ハマゴウ.これは暖温帯の海岸で見る木本ですね.これま でに,宮崎,佐渡,西伊豆で見ました.もちろん信州では見ません.ちょうど花の時期でした.
 葉や茎に白い短い毛を生やします.多分,過剰な蒸散から身を守るためでしょう.
ハマゴウ
 ハマゴウ,立ち姿はこんな感じです.
ミツバハマゴウ
 似ていますが,別.ミツバハマゴウ.確かに三出複葉になっています ね.属まで一緒.クマツヅラ科ハマゴウ属.
カワラケツメイ
 こちらはマメ科,カワラケツメイ.クサネムと似ますが,クサネムの 茎が中空なのに対し,こちらは茎がつまっています.
キセワタ
キセワタ.シソ科メハジキ属.同じ属のメハジキは葉が3 裂したりしますが,これは鋸歯はあるものの3裂しません.
キセワタ
 こんな花.また,シソ科なので,茎の断面は4角形です.
 ちょっと似ているイヌゴマはシソ科イヌゴマ属で別物.イヌゴマは茎に下向きのとげが大きく目立ちますが,キセワタは茎に下向きの毛が密生するものの,ト ゲはないです.
アキカラマツ
アキカラマツ.これは信州でも見ますね.カラマツソウは 羽状複葉の真ん中に托葉状の付属体がありますが,これはありません.
カナクギノキ
 はい,カナクギノキです.クスノキ科クロモジ属.そういわれればク ロモジ属な感じ.分布は静岡以西,ということで信州では木曽方面南部で分布します.
 何度か見ました.
カナクギノキ
 カナクギノキ,冬芽はこんな.
カナクギノキ
 葉の裏が粉を吹いたように白いのがカナクギノキの特徴ですね.粉白色(ふんぱくしょく)といいます.
スズムシバナ
 おっ,スズムシバナ.初めて見ました.分布は近畿以西,四国,九州 だそうです.なんとキツネノマゴ科.で,イセハナビ属.何ですか,イセハナビ属って.
コバノクロウメモドキ
コバノクロウメモドキ,だそうです.初めて聞きました. 確かに葉はクロウメモドキにしたら小さいですね.学名を見ると,コバノクロウメモドキとクロウメモ ドキの二種は,互いに変種関係のようです.
 区別点は...葉の小ささ?
ヤブムラサキ
ヤブムラサキです.ムラサキシキブに似ますが,星状毛が あるために,裏面を中心に非常にふさふさした手触りです.ビロードムラサキ,というのもあるらしい ですが,私は見たことがありません.亜熱帯のもののようです.
オオミスミソウ
オオミスミソウ.佐渡でいう雪割草がこれですね.キンポ ウゲ科のミスミソウ属.葉は常緑で,三つに切れ込んでいます.
 サクラソウ科サクラソウ属のユキワリソウとは別です.
ナラガシワ
ナラガシワです.ミズナラに似ますね.葉身の部分はミズ ナラそっくり.ですが,ミズナラは葉柄が非常に短いのに対し,こちらは葉柄がしっかりあることが確 認できます.
ネコノチチ
ネコノチチ.クロウメモドキ科ネコノチチ属.どういう ネーミングセンスなんでしょうか.
 長枝にたくさんの長倒卵形の葉をつけ,縁の細かい鋸歯を持ちますね.が,一番目立つのはその側脈でしょうか.側脈は,葉の縁に達しています.

 生態植物園内に,水辺の環境を再現した部分もあります.こんなところでは,コウホネやリュウキンカが植わっていました.花の季節では無いですが.
オモダカ
オモダカ.最近,NHKのクローズアップ現代という番組 で,農薬の効かない「スーパー雑草」という事で紹介されたそうです.私は見ていなかったんですが.
 ま,一つのタイプの除草剤ばかり使っていれば,耐性を持つ個体ができて,それが広がるのは全く不思議な事ではありません.
カンガレイ
カンガレイ.水辺のカヤツリグサの仲間では大型のものの 一つです.
カンガレイ
茎の断面は3角形.花序に柄があるとサンカクイですが,こちら,カンガレイは花柄がないのが特徴.

とまあ,挙げればきりがないです.今回もあまり時間が無くて,かなり端折りました.もう少し時間をかけてじっくり回りたいなと思いました.奥が深いです ね,京都府立植物園.

2009年10月25日追記.長野の戸谷さん.県内のいろいろな情報をお教え頂き,ありがとうございます.私が未熟で経験不足なため,いつも勉強になりま す.またよろしくお願いします.

ではまた.

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