どうも,島野です. 飯田市美術博物館の学芸員,蛭間君の主催する,南信州植物調査会.例によって南信にでかけました.
 この時は,土曜日に東京農工大の星野先生の御講演が飯田市美術博物館であり,翌日の日曜日,現場に出かけようという趣旨.土曜日の講義は,私も自分の仕 事があったため出かけられなかったんですが,夜の飲み会(蛭間君が星野先生ご夫妻を接待)には参加しました.で,蛭間君のところに泊まり,翌日エクスカー ション(現地視察会)に出発.


 で,蛭間くんの家に車を止めさせてもらってます.私の車のトランクが空いているのは,カメラを取り出したため.前日は飯田の街中でそれなりに飲んで,帰 りのタクシーでコンビニに寄ってもらいワインを購入.で,それを飲みつつも12時すぎには寝ました.大人だから(笑).
 日曜日の朝は,蛭間君が寝ている中,朝5時過ぎには家の周りの野外観察.オレ,偉すぎ(笑).
ネコハギ
 早朝のカメラ散歩.発見しました.ネコハギです.
 茎も葉も毛深いですね.私も実際に見 るのは初めてです.卒業生の堀毛君が新潟で見つけたのを私も写真で見たことあったんですが,実物を見るのは私も初めてです,ネコハギ.
クルマバザクロソウ
 もう一つ私が初めて見た種,外来種ですが,クルマバザクロソウで す.花も咲いていたんですが,なんだか全然わからなくて,「アカネ科かな,だけどアカネ 科なら花びら4枚だよな」と思いながら写真ををったんですが,星野先生ご夫妻に伺うと「クルマバザクロソウ」とわかった次第です.星野先生ご夫妻,ありが とうございます.
 蛭間君じゃわからないんで,助かりました(笑).

 で,8時に飯田市美術博物館に集合,車で乗りあわせて出発,現場にたどり着きます.飯田から1時間ぐらいでしょうか.
ミヤマクマザサ
 さて,星野先生の植物案内ですので,内容はそれなりにマニアック.というか,高等.
 これ,ぱっと見るとミヤコザサのようなんですが,実はミヤマクマザサと のこと.
ミヤマクマザサ
 ミヤコザサと同様,葉の裏には毛があります.だったらミヤコザサと見分けられないですよね?
ミヤマクマザサ
 肩毛もしっかり確認できます.
ミヤマクマザサ
 で,ミヤコザサとミヤマクマザサ,どこが違うかというと,ミヤコザサは基本的に枝分かれしませんが,こちらミヤマクマザサは地上で枝分かれします.これ が ポイント.桿の枝分かれは,1本ではなかなか分からないので,多くの桿を見て,全体として判断すべきでしょうかね.
ヒメノガリヤス
 ええと,イネ科.ノガリヤスの仲間なんですが,ノガリヤスは実の先からノギが出ます.これはノギが出ていないので,ヒメノガリヤスと判断していて良いで すね.
エゾノヨツバムグラ
 エゾノヨツバムグラです.アカネ科.エゾノ,というのは「北海道 の」という意味で,ま,本州で言うと,標高の高いところ,寒いところに出てく る物と理解してい いでしょうか.四輪生で一つ一つの葉は丸っこいのが特徴と見ていいと思います.
タニソバ
 タニソバですね.タデ科です.
 写真で見える葉の部分は先がとがる三角形型ですが,葉柄の部分に良くがあり,これが茎を抱きます.この写真だとわかりませんが,これが特徴.
ミヤマタニソバ
 ミヤマタニソバです.写真がまずくてすみません.タデ科.葉っぱは 三角形の形になるのが特徴です.
ミヤマタニタデ
 一方,こちらはミヤマタニタデです.タデ,という名前が付いていま すが,アカバナ科の植物です.葉の基部は切形もしくはやや心形で,大きな目立つ鋸歯が あります.タデ,と名前が付いていますが,アカバナ科ですので,そこんとこヨロシク.
ミヤマタニタデ
 ミヤマタニタデ.こちらは花のある状態の写真.小さな花ですが,木 漏れ日を受けて,美しいですね.
ミヤマカラマツ
 ミヤマカラマツですね.秋ですので,花は終わって,実になっていま す.画面中央上部で放射状に枝分かれしているのは実の部分で,先端が膨らんでいま す.
 これが分布するのは関東・中部で標高1500m以上の亜高山帯の明るい林道脇とか.
 上高地でよく見ますね.
ヤマカモジグサ
 こちら,イネ科はヤマカモジグサですね.毛深くて,葉は裏面を上に 向けます.茎が斜めになることで葉の裏面が上を向く感じはノガリヤスなんかといっしょ なんですが...
ヤマカモジグサ
 ヤマカモジグサ,実が全然違いますね.こんな感じ.
ヤマカモジグサ
 葉鞘に毛がありますね.で,葉にも毛があります.これがヤマカモジグサの特徴.とにかく毛深い.
ミヤマナツノタムラソウ
 こちら,ミヤマナツノタムラソウ.どこがミヤマナツノタムラソウか というと,花を見ます.で,花は右に...
ミヤマナツノタムラソウ
 はい,ミヤマナツノタムラソウの花.雄しべや雌しべが花びらより先 に出ていますね.アキノタムラソウは出ません.で,ナツノタムラソウなんですが,繊毛 が多いので,ミヤマアツノタムラソウということになりそうです.
テバコモミジガサ
 テバコモミジガサです.キク科.テバコ,というのは,手箱山で見つ かったということで地名なんですが,普通のモミジガサとどう違うかというと...
テバコモミジガサ
 これです.葉の裏.まずは葉の裏に毛がある.それと,主脈,側脈以外にも,もっと細かい脈がキチンと見えます.これがテバコモミジガサ.ただのモミジガ サは毛もないですし,こんな細かい脈模様も見えません.そんなことで見分けてください.
という感じで,山地帯落葉広葉樹林から上がっていって,亜高山帯針葉樹林に突入,という感じ.
ヒロハヘビノボラズ
 ヒロハヘビノボラズだと思います.普通はなかなか見ませんよね.茎 (枝)にトゲがあるのが特徴ですね.これも落葉広葉樹ですが,亜高山帯針葉樹林の開け たところで見たりしますね.


バイカオウレン
 バイカオウレンですね五小葉で一セットの葉.これ,もう, 1500m以上に分布する常緑針葉樹林帯に生育する林床植物ですね.
シラネワラビ
 で,林冠の樹木はいろいろなんですが,林床で優占するシダがシラネワラビ. こちらはブナ林にでるシダなので,標高1500mm未満の標高域に出るj物と 言えましょうか.ですのでこのあたりは二つの気候帯,森林帯の境界域と言えましょう.
シラネワラビ
 「これなんてシダ?」「知らねーよ,こんなワラビ」というでシラネワラビということなんですが,そんなことで覚えてもらっていいんじゃないでしょうか. 私もそれで覚えます(笑)
ゴンゲンスゲ コイトスゲ
 また例によってスゲです.蛭間君は首をウーンとひねっているし,私は全然わからないので,星野先生にうかがいます.で,ゴンゲンスゲ(コイトスゲ)ではないかというご 提案.
ゴンゲンスゲ コイトスゲ
 多分同じ種の実.柱頭が二岐か三岐で判断が大きく変わるんですが,変わるんですが,三岐として理解すると図鑑的にはゴンゲンスゲでよさそう.
ホソバノキソチドリ?
 やや,なんでしょう.怪しい単子葉植物.ですが,地元の詳しい方がいろいろいらして,これはホソバノキソチドリではないかと.ははーん.そうですか.
ホソバノキソチドリ?
 で,もう少し育っている状態のホソバノキソチドリらしい植物.こちらは茎葉です.図鑑だと普通は葉が一枚ということになっているんですが...これは別 物?
ホソバノキソチドリ?
 で,花...はもう終わっているんですが,実の部分.私は確信持てませんが,知っている方の話だとホソバノキソチドリだそうです.実の部分がねじれてい ますね.それと苞葉も実と同じくらいの長さ.

ヒメコマツ
 ヒメコマツだと思います.五葉松の仲間.マツは,一カ所から葉が2 本でるアカマツやクロマツの仲間(マツ科マツ属ニヨウマツ亜属)と,一カ所から葉が5 本でるヒメコマツやチョウセンゴヨウのような五葉松の仲間(マツ科マツ属ゴヨウマツ亜属)があります.
 チョウセンゴヨウは,葉がもっと長いです.アカマツ,クロマツのように.こちらはそれに比べると,葉の長さは半分程度.
ホソバトウゲシバ
 ええとですね,研究室の卒業生,清水さんがこの研究会に,今回も参加してくれているんですが,「シダ・コケ」の図鑑を図書館から借りて持ってきていまし た.なんでそんなことに...と思うと,前回,私が大町の観察会でシダを見ていたことに感化されたというか,時代はシダだと感じたかわかりませんが,
 で,せっかくですので,シダ,コケも見ようかという展開.星野先生,蛭間君ともそういうモードではなかったんですが,こちらはそういうモードにちょっと だけ入りました.
 そんなことで,トウゲシバ.トウゲシバで一括りでもいいと思うんで すが,細かく言うとホソバトウゲシバということで良さそうです(トウ ゲシバの変種).これ,コケのようみ見 えますが,シダ植物です.亜高山帯のものですね.富士山の針葉樹林帯なんかで見ます.


 今この記事を書いているのは,埼玉は飯能のホテルの一室なんですが,部屋でかかる音楽をFM各局の他にBGMというチャンネルを選べます.で,クラッ シックの小品とかが流れたりしているんですが,今流れているBGMが,ユモレスク.いや,どうでもいい話なんですが.

 で,写真はスギゴケの仲間ではないかと思ってとった写真です.確信 はありません.でも,スギゴケとか,オオスギゴケとかこんな感じですね.どなたか教え てください.

 ユモレスクは,私が中学生時代(夢も希望も好きな女の子もいた),放課後の掃除の時間に流れていたので忘れません.今BGMで流れているのは,愛の夢3 番ですけど.リスト.

もう,30年も前か.
イワダレゴケ
 イワダレゴケではないかと思いますが,どうでしょう.図鑑で調べて いません.
 むかーし,千葉大の園芸学部にいたとき,後輩にコケに詳しい学生がいて,教 えてもらったりしていました.超不真面目でしたが.でその時に教わったのがこれ,イワダレゴケ.
 これ,葉がベローンって伸びるんですが,伸びた葉の先端近く の途中からまた葉がベローンって伸びます.そんな入れ子構造(カスケード)がこのイワダレゴケの特徴だと思います.
オサバグサ
 シダ植物にシシガシラというのがあって,シダシリーズのつもりで近寄ってみたら,シダではありませんでした.
 これ,オサバグサ.ケシ科でオサバグサ属です.これの生態や分布に ついては千葉中央博物館の大野先生の論文(植生学会誌)が興味深いですね.詳しく知り たい方は,Ciniiに登録された,こちらを どうぞ.
イヌトウバナ
 イヌトウバナです.この写真では分かりづらいですが,萼に長毛があ ります.ないとミヤマトウバナ.ま,ミヤマトウバはこんなに葉が長くないですけど.で も,葉の長さは区切りが付きづらく区別しづらいので,萼の毛の長さで覚えていていいと思います.
シロヨメナ
 シロヨメナです.ヨメナ...と名前についていますが,ノコンギク の変種ですので,これも花に長い冠毛があります.ヨメナは別種で,冠毛がすごく短いので見分けられます.
チョウセンナニワズ
 私,オニシバリかと思ったんです.雪の多い地方に行くとナニワズ,という冬に葉をつけた仲間がいます.佐渡でも見ました.で,こちら,南信は雪も少ない ので,太 平洋側に分布するナニワズかと...
チョウセンナニワズ
 ところがさにあらず,星野先生によるとチョウセンナニワズとのこ と.何でも石灰岩地域に分布するのだとか.私は名前も聞いたことがありませんでした.
 似た仲間を整理すると,このチョウセンナニワズは冬に落葉します.なので葉も薄く 柔らかい感じ.
 ナニワズは冬緑で初夏に落葉します.
 オニシバリも冬緑で初夏に落葉します.なので,オニシ バリもナニワズも常緑のように葉が厚いですが,分布が違うので大丈夫だと思います(ナ ニワズ:日本海側,オニシバリ:太平洋側).
カワラハンノキ
 おっ,カワラハンノキでしょうね.葉の先端がちょこっと凹む.日本海側のミヤマカワラハンノキはもっと凹んで,葉は横広がり.ヤハズハンノキは文字通り矢筈型に凹 みます(V字にへこむ).私はあまり見た経験ないんですが...
 このへんの仲間は,いずれもハンノキ科で根に根粒菌を共生させ,窒素を得ることで,土壌の薄い山岳地域でも有利に生活できるという特徴を持っているはず です.多分.
テングクワガタ
 山を降りて,もう,皆帰るよ,というところで,私が車を止めたあたりでゴマノハグサ科の植物を見つけました.ヤマケイの「野に咲く花」や「山に咲く花」 には出ていません.テングクワガタ.奥原弘人先生の「信州の野草」には出ています.
 花の特徴ですが,合弁で4枚ある花弁はつながっています.で,そのうち,一枚だけが非常に小さい.ここが特徴です.
 葉は対生で,同じくゴマノハグサ科のグンバイヅルのような感じ.
オニルリソウ
 これも「帰ろうか」と言っていたあたりで見た植物,オニルリソウ. サワルリソウ,オニルリソウと比べて,オニルリソウの方が毛深い(毛が長い)ことは何 度か見てきました.
オニルリソウ
 こちら,オニルリソウの花.
オトギリソウ?
 こちらもおまけ.オトギリソウの仲間なのはすぐわかるんですが,その先が難しい.イワオトギリとかだとかっこいいなと思ったんですが,ま,普通のオトギ リソウでしょうか.
オトギリソウ?
 花はこんな感じ.
オトギリソウ?
この仲間はいずれも葉の裏に黒い点があって,特徴的なんですが,みんな同じように見えてよく分かりません.



 ええと,飯能のホテルのBGMですが,ちょくちょく愛の夢3番が流れます.フランツ・リスト.これを聴くと私が大学・学部生時代憧れてた女性を思い 出します.今はどうしているんでしょうか,きっと幸せに成ってくれていることでしょう.よかった,俺なんかが,プロポーズしなくて(笑).いや,憧れてい た女性は大勢いたんですが(笑).
 しかし,リスト,何回流れるんでしょうか.ヘビィ・ローテーションですね.ちなみにAKBのヘビー・ローテイションは,研究室の女子学生が一緒に行っ たカラオケ屋で歌ったりしたんですが,初めて見聞きした,カラオケのPV,私は直視できませんでした(笑).ちょっと立場的にまずい感じが(笑).でも元 気でいい曲なので「年末のライブ,みん なでこれやれば」と言ったら,当の女子学生が「みんなランジェリーで姿で?」というんですが,それはやめて下さい.いい年の大人をからか うのはやめましょう(笑).ええと,南信の植物の話だったんですが,最後はなんの話ですか(笑).

愛の夢3番,キーシンの演奏でど うぞ.
神童と呼ばれたキーシンも,もう40か...

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