映画「コクリコ坂から」

UPDATE: 2011年9月5日

みてきました

 とあるのブログを見ていたら,映画「コクリコ坂から」を見てきたという記事があったんです.そのブログ,いつもは食べ物とかホラー映画の話ばかり なんですけど(笑).私はテレビなんかもあまり見ないので(NHKのニュースぐらい?),こういう映画があることすら知りませんでした.オッサンか!で, そ うした情報に接しつつ,調べ,見に行こうかと思ったわけです.ええ,見てきました.

 結論からいうと,これ,高校生,大学生といった若者が見てももちろん素晴らしいと感じると思うんですが,それよりも,私は,40,50,60代の 人達にみて欲しいと思います.40代なかばのオッサン初心者としては.

 これですね,時代背景が昭和の横浜.もう少し詳しく言うと東京オリンピックの前年.1963年ですか.私が1967年の生まれですから,私の生ま れる ちょっと前.ですけど,描かれている街の風景(昭和30年代後半)なんかが,私が子供の頃(昭和40年代)に見た景色の再現なんです.

(あ,今この記事を書いているとき に,BGMでなががれているのはマスカーニのカヴァレリア・ルスティカーナ,間奏曲なんですが,いい曲ですね).

 今のようになんでもある生活ではありません.テレビは白黒でしたし,トイレもポットンです.雨の日は臭ったりしました(笑).しかし,みんな日本 が豊かになることを夢見,信じ,働き,それを実現したのが昭和30年代,40年代,50年代だったのではないでしょうか.20年代は戦災からの復興でしょ うか.

 アニメですから絵画的なんですが(笑),当時の情景,風俗が非常にリアルに描かれています.背景として,ですが.むかしはお肉を買いに行けばお肉 屋さんで何を何グラム,とお願いして,木の板を削ったような薄い紙(あれ,なんて言うんでしょうね)にくるんでもらって,紐で縛ってもらいました.映画で は出てきませんでしたが,魚屋さんに行くと大きなオケにシジミが入っていて,頼むと長靴をはいた魚屋の大将がそれをすくって計ってくれましたよね.八百屋 さんもかごが天井から吊るしてあって,そこにつり銭用の小銭が入っていたりして.あ,あと天井から吊るされているハエ取り紙.これは魚屋さんか.

 ま,そこまでは出てきませんが,映画の中ではぽんぽん船(本当にポンポンいう),チンチン電車(本当にチンチンいう),三輪の自動車(トラッ ク),洗濯機の手回し脱水機(ばーちゃん家にあった),足踏みミシン(多分そう.背景に描かれていただけなので,若い人には分からないと思う.これがわか るの はオッサンの特権(笑)),自動車の三角窓.籐を編んだ買い物かご(昔のほうがエコでしたね).それから,むかし,トリス人形の形をした,爪楊枝立て,あ りましたよね.あれが出てきます(笑).さり気なくだけど....というわけで,ストーリーとは別に,あの頃の,元気なころの昭和の日本に出会えます.私も,小学校時代の学級新聞は,ガリ版の原稿を鉄筆でひっかきました.インクの匂いを思い出します.

 ストーリー的には,青春だったり,恋愛だったり,学園モノといっていいかもしれません.今の若者も楽しめます.途中,展開で,むかしの山口百恵と 三浦友和の赤いシリーズのような感じになりますが,大丈夫です(笑).最後はすっきり爽やか.若いっていいなあ.

 これ,もちろんDVDになるでしょうし,テレビで放映されるときが来るでしょう.しかし,背景が,絵画的ながらしっかり描かれているので,ぜひ, 映画館の大きなスクリーンで見ていただきたい.私ももう一回か二回,観に行きたい感じです.大きな画面で見ていると,自分があの頃の街に立っているような 気分になります.若い皆さんはあのストーリーを新しい物語として楽しんでもらえると思いますし,大人の皆さんは,それプラス,あの頃の,自分が育った昭和 の日本とか,その頃の自分を思い出して,色々な鑑賞ができると思います.自分はいくつかの場面で涙を流しました.ありがとう主人公の諸君,そしてまわりを 彩ってくれた諸君,ありがとう昭和.ありがとう日本.私は平成の御代で若い人達に交わりながら生きていきます.これはなかなか大変な仕事ですが,物語の皆 さんに,勇気をもらいました.

 あ,若いみなさんはノスタルジーに浸ることなく,現実をしっかり生きていきましょう(笑).実社会では,コミニュケーションが大事.