2011年,神戸の植生学会ですが,今年はエクスカーションにも参加しました.去年,札幌は事前申込みしなかったんで出られなかったんですが.で,山の 草原コースと淡路島の海浜植生コースがあって,ここは日頃見られない海浜植物を見るコースにしました.







 My 新種にであう予感がするんですが,理由は二つ,日頃見ない海に来るということと,西日本のフロラに接するということでしょうか.
ハマスゲ
 まずはこれ,ハマスゲ.カヤツリグサ科です.スゲではなく,カヤツリグサの方.
ハマスゲ
 アゼガヤツリをスマートにした印象ですね,ハマスゲ.

 海岸なんですが,小高い丘があって,照葉樹林です.で,林床はコシダ,タイミンタチバナ,トベラ...など.
モッコク
 こちら,モッコク.ツバキ科.庭木によく使われますが,これは自然のものです.
ヒメユズリハ
 それから,これも暖温帯の海沿いに出ます,ヒメユズリハ.ユズリハ科ユズリハ属.
ヒメユズリハ
 写真のように裏は白いです.ユズリハよりも葉のサイズが小さいため,葉身が短い分,葉柄が相対的に長く見えます.
イヌガシ
 こちら,イヌガシ.カシ,と名前がついていますが,クスノキ科.写真は葉の裏からとっています.三行脈があり,裏が粉を吹いたように白いですね.

 クロバイでいいでしょうか.シロバイに似ますが,シロバイはほぼ葉柄がないように見え,側脈が主脈に対し60度ほどの角度.クロバイの方は明らかに葉柄があり,主脈に対し側脈が80度ほど.ということで,いいですよね,クロバイで.
タイミンタチバナ
 タイミンタチバナ.ヤブコウジ科タイミンタチバナ属.右下の葉の対生の樹木はネズミモチ.暖温帯ですねぇ.
ネズミノオ
 草本は,ネズミノオ.イネ科ネズミノオ属.ちょっと写真が変ですが,写真右上が根元側.写真を取るとき,穂の先を左手で引っ張ったので,こんな写真にな りました.文字通り,穂の姿をねずみの尻尾にたとえてのネーミング.
タチスズメノヒエ
 皆さんがわいのわいのと集まっているんですが,外来種,タチスズメノヒエだそうな.なにそれ,はじめて.
 スズメノヒエと違って,小穂が下に垂れません.
タチスズメノヒエ
 My 新種です,タチスズメノヒエ.外来種ですが.タネの落ちた小穂は非常にざらつきます.
ハマゼリ
 これも新種です.ハマゼリだそうな.セリ科ハマゼリ属.花はほぼ終わって実になっています.
ハマゼリ
 左の写真では葉の形がよくわかりませんから,例によって,手を入れて撮影.ちぎってはダメです.
ハマエンドウ
 こちらは佐渡ヶ島でも見ました,ハマエンドウ.さすがに花はありません.花は初夏,かな.
ハマボウ
 うわ,初めて見た,ハマボウ.花も咲いてるし.アオイ科フヨウ属.たしかにフヨウだ.
ハマボウ
 ハマボウ,黄色く紅葉します.クマツヅラ科のハマゴウのことをハマボウと呼ぶことがあるので,紛らわしい.
ハマボウ
 脈の走り方,葉の裏の白さが印象的です,ハマボウ.黄葉します.
ハマサジ
 何これ?聞けばハマサジだとのこと.イソマツ科イソマツ属.何だ,イソマツって?
ハマサジ
 近づいてみてみましょう.ロゼットですね.葉がサジ状なので,ハマサジ,ですかね.後半で花の写真があります.おあずけ.
ハママツナ
 ハママツナ.アカザ科オカヒジキ属.これも新種です.
ハママツナ
 大きめの石の上に倒れていたものがあったので,これ幸いと写真を取ります.背景がシンプルな方が,葉のつき方などの特徴がよくわかります.左のは生態写 真.
カワラヨモギ
 カワラヨモギ.これは信州の礫河川でも見ますね.
マサキ
 マサキ.生垣でよく見ます.松本でも植わっていますので,比較的寒さに強いのかもしれません.さすがに自然分布はありませんが.
ウバメガシ
 こちらも言わずと知れたウバメガシ.海沿いに生育する低木.ブナ科コナラ属.
ケウバメガシ
 で,ウバメガシ...なんですが,毛のあるタイプがあって,ケウバメガシというそうな.初めて知った.学名上は,ウバメガシの品種(forma)になっ ていますね.
ホウライツユクサ
 何これ...ホウライツユクサという外来種だそうな.初見.普通のツユクサは濃い青色の花ですが,これはピンク色ですね.うむむ.
ハマゴウ
 こちらはハマゴウ.クマツヅラ科ハマゴウ属.かろうじて花が咲いていました.対生単葉全縁.海辺のものです.
ギョウギシバ
 浜辺なのでオニシバが出るのではないかといろいろ見ていましたが,こちらは違いました.ギョウギシバでした.これも普通に写真を取ったのではなんだか分 からないので,手を入れています.
ギョウギシバ
 花穂はこんな感じ.ギョウギシバ.イネ科ギョウギシバ属.
ツルボ
 ツルボ.明るい草原の草本.ユリ科ツルボ属.下から順番に花を咲かせていきます.
ウラギク
 ウラギクだそうな.初めて見た.新種.印象としてはホウキギクを大きくした感じの葉.鋸歯はなく,厚めで革質,とまでは行きませんが,つるりとした葉. 残念ながら花には出会えませんでした.
コウボウシバ
 コウボウシバ,だそうな.確かにコウボウムギに比べ,葉は細いですね.
シオクグ
 もはや全然わかりません.周りの先生方に聞いちゃいます.星野先生に教えていただいたかな,シオクグ.
シオクグ
 もうちょっとアップで撮りますが,依然として全然分からない.クグ,というのはカヤツリグサの仲間のこと.潮をかぶる立地にあるカヤツリグサの仲間とい うことでシオクグ.
シオクグ
 シオクグ,穂があればよかったんですが,残念,次回.一応根元と言うか葉鞘を取っておきます.
アイアシ
 こちらも初見,全然分からないんですが,中村幸人先生が教えて下さいました.アイアシだとか.イネ科アイアシ属
アイアシ
 アイアシ,葉の付け根.葉の質は非常にしっかりしていて,葉は垂れずに天を指します.
アイアシ
 で,花は終わってしまいましたが,残骸が残っていました.ケカモノハシの終わった時みたいな小穂ですね,アイアシ.

 こんな感じの海浜.
ハマアカザ
 ハマアカザだと教えられました.鋸歯がある.しかし,これ,アカザとどう違うのかとこれまで自分で取ったアカザの写真と比べてみたんですが,たしかにこ ちらのほうが葉が厚く,鋸歯の感じも違います ね...普通のアカザは葉が薄いため側脈が凹んだりしてシワになりますが,こちらは葉が厚いためシワがない.

ハマアカザとされる植物を写真で見ると,どれも鋸歯がもっとシャープですね.うーむ.
ホソバハマアカザ
 これは別種.こちらのほうがわかりやすいですね.ホソバハマアカザ.葉が細長く,鋸歯が無いです.
ハマサジ
 先ほどハマサジの大群落,ならびにロゼットを見ましたが,こちらは花をつけています.
ハマサジ
 これが花.
ハマサジ
 花序はこんな感じ.



 中村幸人先生とお弟子さんのIさん.Iさんの高山植生のデータは,半端ないです.
クサスギカズラ
  クサスギカズラ.葉のように見えるのは葉状枝とのこと.クサスギカズラの場合,葉状枝は2-3本で長さは不同.キジカクシっていうのがものすごく似ていま すが,葉状枝は3-6本でほぼ同長とのこと.アスパラガスも同じ属で似ていますが,葉状枝は1本から数本となっていますが,これまで撮りためた写真を見ますと6本ぐらい,ズラーッと葉状枝が生えているものが多い.で,枝分かれが多いように思われます.また調べます.
テリハヘクソカズラ,ハマサオトメカズラ
 ヘクソカズラか...と思いますが,左にあらず.テリハヘクソカズラ,別名ハマサオトメカズラとか.なるほど,葉がクチクラで照っていますね. 
トベラ
 これもよく植えられていますが,ここでは野生.トベラ.実をつけています.

ハママツナの群落.

もう少しアップで.塩性湿地ってことでしょうね.
ハマオモト
 ハマオモトですね.

 そんな事でまたバスで移動.

 再び海岸ですが,こっちは砂浜.
ハマヒルガオ
 まずはハマヒルガオ.
ウチワサボテン
 サボテンが生えていました(笑).ウチワサボテン.
コウボウムギ
 こちらはコウボウムギ.先ほどのコウボウシバに比べると葉の幅が広く,触った感じもしっかりしていますね.
ネコノシタ
 ネコノシタ.キク科.ぜひ葉を触ってみましょう.ザラザラして,猫の舌でなめられたような感じです.
アメリカネナシカズラ
 外来種ですが,アメリカネナシカズラ.
ビロードテンツキ
 おっ,来ました,新種の予感.ビロードテンツキ.名前の由来は葉にビロード状の毛があるからとか.この個体はあまり毛はなかったですが.
ビロードテンツキ
 ビロードテンツキ,花をアップで取っておきましょう.
ビロードテンツキ
 ついでに根元の部分とか...
ビロードテンツキ
 葉の写真も取っておきます.ま,葉だけでは同定できませんが.
ケカモノハシ
 来ました.ケカモノハシ.
ケカモノハシ
 近づいてみます.
ケカモノハシ
 結構毛だらけ猫灰だらけ,って,寅さんですね.フサフサ.
ケカモノハシ
 葉鞘の方も毛がふさふさしていますので,写真に取っておきましょう.ケカモノハシでした.
コマツヨイグサ
 こちらは外来,コマツヨイグサ.黄色い花が咲いて,しぼむと赤色(濃いオレンジ色)になります.これも砂浜植物ですね.
ハマゴウ
 砂浜にも出ます,ハマゴウ.こちらは花が終わって実になっていました.
オオフタバムグラ
何じゃこりゃ.オオフタバムグラだとか.外来種.アカネ科オオフタバムグラ属.同じく外来のホソバヒメ ミソハギにちょっと似ていますね.ホソバヒメミソハギはミソハギ科ヒメミソハギ属.他人の空似すぎる!!
ナルトサワギク
 これもmy新種ですが,外来種,ナルトサワギク.淡路島では大変増えているそうです.
ナルトサワギク
 花をアップで.背景がくっきり写っているとごちゃごちゃして見えづらいので,わざとボカすために絞りを開けましたが,ちょっと開けすぎ.花までピンぼけ 風になってしまった.
ナルトサワギク
 サワナルトギク,こちらは葉です.葉柄はほぼなく,葉が茎を抱くようについています.葉の形自体は,いわゆるフランスギクに似ますね.
キツネノカミソリ
 これは,海浜植物ではありませんが,キツネノカミソリ.花の時期に葉はありません.伊豆の海岸沿いの道路でたまに見ますね.
カワラサイコ
 こちらはカワラサイコ.バラ科キジムシロ属.松本でも礫河川で見ます.
ハタガヤ
 うお,新種,ハタガヤ.茎はハリイより細く,マツバイより太いぐらいの感じ.
ハタガヤ
 で,ハリイもマツバイも小穂が一個だけ上につきますが,それがいくつも付いている感じですね,ハタガヤ.ハタガヤのハタは畑の意味のようです.
ヒキヨモギ
 うお,またしても新種.ヒキヨモギだそうな.
ヒキヨモギ
ヒキヨモギは,「ヨモギ」と名前がついていますが,キク科ではなく,ゴマノハグサ科ヒキヨモギ属.写真の個体はもう葉がありませんが,図鑑などで葉を見る と,確かにヨモギっぽい.半寄生植物とのこと.
ハマナデシコ
 おっ,ハマナデシコ.日当たりの良いところのハマナデシコは葉も茎もしっかりしています.
ハマナデシコ
 こちらは葉.対生単葉全縁.つるりとしています.節ごとに90度回転して葉をつけ,なるべく自己被陰が起きにくいようになっていますね.日陰の個体は もっとナヨナヨしています.
ダンチク
 ダンチク!遠目に見てセイコノヨシかと思って藤原道郎先生に聞いたら,ダンチクだった!
ダンチク
 確かにセイコノヨシ(セイタカヨシ)であれば,葉がしっかりしているのでこんなふうに垂れることはありません.ダンチクは葉が垂れますね.
ダンチク
葉の付け根はこんな感じ.葉耳に毛があります.
アゼガヤ
 これも新種.アゼガヤだとか.うーむ.イネ科,難しい.星野先生に教えていただいた.
アツバキミガヨラン
 これは海岸ものというわけではありませんが,しばしば暖かい海岸で見ます.アツバキミガヨラン.

 そんな事で海岸を後にします.
 兵庫の石田先生!もう行きますよー!
淳仁天皇陵
帰り道なんですが,淳仁天皇陵.中には入れませんが,周りの植物を少し.

 これも初見,イヌクグ.東日本にはありませんが,西日本ではポピュラーだとか.確かに,一度見たら忘れない.
アキノタムラソウ
 アキノタムラソウ.やくが外にでない.出るとナツノタムラソウ.
フユノハナワラビ
 それから,フユノハナワラビ.アカハナワラビと似ていますが,アカハナワラビのほうが鋸歯が細かいといいます.
 並べて見られればいいんですが.
ミゾハコベ
  私はアワゴケかと思ったんですが,違った.武田先生によると,ミゾハコベだそうです.ミゾハコベ科. ちなみにミズハコベ(ミゾハコベじゃないよ)とアワゴケはアワゴケ科で,他人の空似.ということで,多分,花を見たらずいぶん違うんでしょうが...
シマトネリコ
 おまけ.高速道路のサービスエリアの庭木.シマトネリコ.うん,確かに,そう言われればそうで,西伊豆のらんの里でも見ていた.
 蛭間くんは例によって,とんでもない種名を出していましたが,武士の情け,書かないでおきましょう(笑).
 そんなことで,西日本の植物,海辺の植物,堪能しました.こんなにMy新種が一日でではのは初めてかも.屋久島に行ったときに匹敵する新種率かもしれな い.恐るべし,淡路島.

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