で,2011年長野県植物研究会秋大会の二日目です.


 この日は,林道ぶらぶら歩き.

 で,まずはイワシモツケ.低木でバラ科.メギを小さくしたような葉 をつけます.

 トダシバ!これ,いろいろな表情を見せます.迷いますよね.道脇に いろいろ出てきたので,ちょっと,トダシバを見ていきましょう.

 毛の多いタイプと少ないタイプがあるようですが,これはそんなに毛深くありません.葉耳のヘリに長毛.

トダシバ,穂の貧弱なタイプ.

 これも同様に貧弱.

 こちらのトダシバは花穂が比較的ゴージャスな感じですね.

 あ,これこれ,トダシバ,小花が紫色のやつ.上四つの花は,花の時期が終わりかかって,茶色くなっている,というのもあります.

 以上トダシバでした.

 似たのを2種.まずはこれ,オオアブラススキ.花穂は立ちます.油 薄は花穂の横枝が垂れます.で葉の中心に白い筋があるのが見えます ね.

 一方こちらは,ミヤマアブラススキ葉の中央に筋がありません.生育している形も,こちら,ミヤマアブラススキの方 が斜面から斜めに生えている感じがし ます.

 ヨツバハギ.別名ナンテンハギ.マメ科です.これ,偶数羽状複葉で 小葉は4枚です.で,ヨツバハギという名前.

 一方こちらはエビラフジ.写真の葉は,一枚小葉が取れてしまってい ますが,こちらも偶数羽状複葉.ヨツバハギの小葉に比べると葉の先が鋭くとがっていま すね.あと,シワがある感じ

 これも雪国植物,マルバマンサクです.葉が丸いというか,マンサク に比べ横に広い感じ.

 マルバマンサクです.この写真ではちょっとわかりづらいですが,側脈が交互になっていますので,葉の基部は片っぽは心形にふくらみ,片方はV字型(片方 なのでVの字になりませんが)になります.

 ヤマブキショウマですね.

 ツリガネニンジン.葉は基本4輪生.写真で全体を撮ろうとすると各 部分が小さくなってしまいますし,各部分をとると全体が入りません.大きめの草本は写 真が難しいです.もっと大きい木本なら葉だけや枝先の写真でいいんですが.

 何だこのでかいオオバコ,と思ったら,外来種のセイヨウオオバコが 日本に入ってきているらしい.藤田プロの情報.

 こちらは可憐,シナノナデシコ.以前上高地で見たことがあったか な.

 うん,このイメージです,ナンブアザミ.下の葉は写っていません が,羽状に切れ込んでいます.日当たりがいいので背も高く,花もたくさん付いています. 前日,林内で見たのとは,全然表情が違います.

 タムラソウ.キク科.花はちょっとアザミに似ていますね.「ズバリ アザミの仲間」ではないんですが.葉は上から下まで,羽状に切れ込み互生.

 カヤツリグサ科発見.カワラスガナでした.イガガヤツリと似ている んですが...

 藤田プロが見分け方を伝授してくれました.花穂の中の小穂の形.左がイガガヤツリ で小穂が尖っている,と.一方右の絵はカワラスガナで幅広とか.なるほ ど.藤田プロ,ありがとうございます.

 こちらはワレモコウ,いいですね.

 普通にミヤコグサだと思っていたんですが,違った.セイヨウミヤコグサだ とか.どこが違うのかというと,こちら,セイヨウミヤコグサは萼(がく)に毛が 有るんだとか.なるほどね.

 あ,これ,上越の調査で出てくるやつ,クロバナノヒキオコシ.シソ 科.

 花が咲いていてくれました,クロバナノヒキオコシ.黒花といいますが,濃い紫色です.シソ科ですから,葉は対生で茎の断面が四角.

 ツルウメモドキなんですが,脈が裏側に浮き出ます.で,オニツルウメモドキと なるわけですね.

 カワラハハコが出てきました.礫地なので.

 こちらも礫河原によく出る植物,左はカワラニガナ.黄色い花が咲い ています.右はカワラハハコ.小さいですけど.

 カワラマツバですが,花が黄色い.で,キバナカワラマツバ

 お,イネ科.チョウセンガヤツリ.全体に白っぽいんですが...  葉や茎が白っぽい

 アップで見ると,特に茎が白いですね,チョウセンガヤツリ.

 もう少しチョウセンガヤツリを見ましょう.葉の基部の縁にやや長めの毛があります.

 葉耳,葉舌は発達しません.以上チョウセンガヤツリでした.

 イワオトギリなんですが,シナノオトギリと似てますよね.で,区別 点を教わりました. 萼に黒点あり シナノオトギリはない

イワオトギリは,これ,萼に黒点があります.列状に並ん でいますね.シナノオトギリは,萼に黒点がないということです.今度 シナノオトギリでチェックして みよう.

 葉は例によって裏に黒点があります.みんなあるので区別点にはなりません(泣).

あ,ミヤマアオイ.丸くて小さい葉.花は春なのでこの季節は見られま せんね.

マルバアオダモ.葉が丸くないじゃないか,と言いたい気 持ちはわかります.マルバって,葉が丸いのではなく,鋸歯がない状態を事を行っています.ただのアオダモは鋸歯があって,目立ちます.

 イケマですね.実がなっていました.

 林道なので,イネ科が色々出て生きて勉強になります.こちら,ネズミガヤ

 ノギが目立ちますね,ネズミガヤ.

 こちらは,ネズミガヤの葉.

 こちらは別,カリヤスです.すすきの穂を少なくした印象.花をアッ プで見ると,ススキはノギがありますが,カリヤスにはありません.あとで二種を並べてあるので比べてください.

 ユキグニミツバです.

 裏面脈上に,密な茶色い毛が.ユキグニミツバ.

 エチゴキジムシロです.シロバナノヘビイチゴのように大きく側小葉 があります.

 シロバナノヘビイチゴは3出複葉ですが,こちら,エゾノキジムシロは羽状複葉で す.

 ミヤマママコナです.ママコナは苞に鋸歯がありますが,こちらは苞に鋸歯なし,といった違いがあります.

 クロバナノヒキオコシ.おっきな個体がありました.花つきも見事ですね.

 先にも見ました,ミヤマアブラススキ.茎は斜めになっていることが 多い

 タムシバですね.日本海型のブナ林なんかにちょくちょく顔を出しま す.コブシの仲間.ちょっと,写真じゃわかりづらいですね.

 ミヤマカワラハンノキ.タニガワハンノキやヤハズハンノキは葉の先 が凹んだりしますが,これはへこまず,ちょん,と飛び出ています.

 こちらも.ミヤマカワラハンノキ

 カヤツリグサ科はヒメクグ.まあるいのが一個.

 ヒメシラスゲでいいですかね.これもカヤツリグサ科ですが,スゲの 方ですね.全体に色が薄い.

 裏はやや白い.

 葉鞘が褐色で目立つ...とかにならず,下まで緑色.

 イネ科.みんなでちょっと迷ったけど,結局,オオクサキビ.千曲川 なんかで見るオオクサキビは1mとかあって大きいんですが,これは20cmくらいで 迷った.背が低くても,ちゃんと繁殖サイズなんですね.外来種です.

 在来のヌカキビにちょっと似ますが,ヌカキビは花序の枝が下に垂れ下がります. こっちは垂れ下がりません.

 ツリバナの仲間ですが,ヒロハツリバナ実が4数性です.オオツリバナは5数性

 シシウドなんですが,北陸の人はこれをエゾニュウと呼ぶとか.藤田 プロ情報でした.

 藤田プロがマダイオウノダイオウの見分け方を教えてくれました.いや,蛭間くんがマダイオウの話をし てて,そういう流れになったんですが.実の形.左みたいに広いのがマダイオウ,細いのがノダイオウ.

  チョウは,サカハチチョウです.タテハチョウ科.羽の白い模様がこの 写真でも,漢字の「八」に見えますね.長がうえを向いていると,この文字が逆さに見えるので,「サカハチ」です.食草はコアカソ等.

 外来種,コヌカグサ.英名はレッドトップ.花序は,節が何段かあって,そこから放射状に枝を出して身をつけ ます.

 あ,またトダシバ.写真,とっときますか.

 さて,ススキとカリヤスですが,こちらはススキ,ノギがあります.

 で,こちらがカリヤス.ノギがないですね.こんな事で見分けられま す.

 イネ科シリーズ(笑).ササガヤです.花序はこんな.

 葉耳の部分に白い長毛.

 これもササガヤです.茎にも列状に毛がありますね.

 エチゴキジムシロ,再び.

 ヒメヤシャブシ.日本海型分布.多雪地.実が4つばかり付いている のがわかります.これが特徴.ヤシャブシは2-3個.太平洋側のオオバヤシャブシは1 個

 そんなことで林道をあとにしました.色々出てきてお腹いっぱい.

 自分が調査や実習で出かけるところは,どうしても場所が限られてしまうので,こうやって,自分のいかないところへ連れて行ってもらえるって,大変ありが たいことですね.案内していただいた皆さん,ありがとうございます.


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