海シリーズ.今年,2013年は4年生のH田君が地元,石川県の海岸植物とその生育環境をテーマに研究をしてくれています.で,一通り植物の調査が済んだ あと,不安なので環境調査の手伝いに行って きました.レベル測量とか,なかなか一人だと大変なので.そんなことで,能登半島をぐるりと回りながら,海岸に 出る植物,主に海浜植物を見ていきます.


前日まで台風.ただ,ホテルもとってあるし,回復傾向ではあるので,松本を出発.台風の影響で,麻績あたりで高速道路は通行止め.長野まで下道.で,上越 の日本海.荒れています.この日は金沢で宿泊.

翌日.台風一過,気持よく晴れました.

金沢近くの海岸.内灘って言ったかな.結構良い海岸です.
カワラケツメイ
 海岸に行く前に,道端の植物. カワラケツメイ.クサネムに似ていますが,クサネムは茎が中空で押すと潰れるのに対し,こちらは中実で,茎は潰れません.
ハマニガナ
ハマニガナ.しっかり咲いていました.
コウボウシバ
コウボウシバですね.コウボウムギに比べて葉が細い.葉の幅は半分とか1/3とかですかね.穂が付いていると,ゴツさが全然違います.
ビロードテンツキ
ビロードテンツキ.これも海浜に出ます.写真の個体は砂だらけ(笑).
オニシバ
オニシバです.穂がついていないと,同じく海岸で見るギョウギシバにちょっとにます.が,こちらは圧倒的に茎が太い.それと,穂がついていれば見間違える ことはありませんね.
カワラヨモギ
カワラヨモギ.砂礫に出る植物ですが,海岸にも出ますね.



そんな感じで,いくつかの地点で環境調査をしていきます.調査地の,その時の水面からの比高,汀線からの距離.これらは時間で変わりますので,
こうし たサイトを参照に補正していきます.

後は砂を採取して,粒径だとか.

こんな作業をしながら,移動.

休憩.海辺の恋人たちを目で追うH田くん.

まあいいじゃない.人は人,自分は自分(笑).
ハタガヤ
うん,ハタガヤですね.現場ではすぐに名前が出てこなかった.
ハタガヤ
ハタガヤのアップ.畑に出る,という意味でハタとついていますが,海岸で見ます.

オカヒジキ
オカヒジキですね.下手に触ると痛い.
ハマヒルガオ
ハマヒルガオ.おなじみ.
ハマエンドウ
ハマエンドウ.マメ科.
ハマゴウ
ハマゴウもかろうじて咲いていました.時期はもうすぐ終わりです.
チガヤ
海浜に面した土手のようなところで,イネ科が繁茂.最初なんだろう,と思っていたのですが,チガヤだった.信州ではチガヤは田んぼの畦に出るものなので, イメージが合わなかったんですが,見ていくと,海沿いによく出ます,これ.
 穂のある個体で気づきました.

海はいいですね.
ウンラン
さて,ウンラン.花がないと「なんだこれ」という感じもありますが...
ウンラン
花があればウンランとわかるでしょう.ええと,ゴマノハグサ科でいいのかな.最近色々科とか属と可変わっちゃって,自信ない.

千里浜(ちりはま)というところ.どうも観光名所らしい.砂で創られたオブジェ.ファミコンですね(笑).
ベニシジミ
  ベニシジミがオトコヨモギに止まっていました.ベニシジミ,食草はギシギシなどとのこと.
ケカモノハシ
イネ科.ケカモノハシですね.
ケカモノハシ
毛がふさふさです,ケカモノハシ.
ギョウギシバ
ギョウギシバ.先ほどのオニシバと比べると,やはり違いますね.

この日も暮れかかります.志賀町は富来付近.H田くん,働きます.

 貝が夕日に照らされます. もう少しやりますか?

イガオナモミでした.
ケイヌビエ
水田雑草ですが,海の近くでも見ました.ケイヌビエ.
オニハマダイコン
これ,外来種で,オニハマダイコンというんだそうです.私も知らなくて,H田くんに調べてもらった.海辺に出ます.
ハマアカザ
ハマアカザ.

いや,よく働きました.今日はもう良いんじゃないでしょうか.







ということで,宿に帰ります.

翌日も晴れ.
ハマニンニク
H田くん自身は,今回は基本的に植物を見ません.環境調査.私が植物の確認.こちら,ハマニンニクですね.
グンバイヒルガオ
ああ,はじめてみました.グンバイヒルガオ.葉の形が軍配型です.あの,相撲の行司さんが持っているやつね.温かいところの植物なので,見たことありませ んでした.
 奥はハマヒルガオですね.
スナビキソウ
スナビキソウですね.右で埋もれているのがハマニガナ.奥はハマヒルガオ,右奥がハマエンドウ.
ケカモノハシ
ケカモノハシの葉は,先ほどのハマニンニクのシャープなはに比べると柔かい感じで,毛が生えています.
ハマニンニク ケカモノハシ
左がハマニンニク.右の穂が付いているのがケカモノハシ.

空青くして海青し.
ヨシ オギ
  海浜の切れ目.奥の背の高い者はオギ.手前のちょっと背の低いのはヨシ.
ツルヨシ
あとですね,ツルヨシなんかも見ますね.

で,これまた移動.珠洲市は鉢ヶ崎海岸.
ハマニンニク
綺麗にゾーネーションができていますね.帯状分布.真ん中はハマニンニクです.
オヒシバ
後はオヒシバ.メヒシバに比べ穂がごつい.
オヒシバ
茎の下方もしっかりしています.
ハマボウフウ
レッド・リストに載るハマボウフウが出るんですが...
ハマボウフウ キアゲハ
  これはセリ科ですので,セリ科を食そうとするキアゲハの幼虫がいました.素晴らしい.

最後はここ.巌門.岩場の海岸植物を見ます.
ツリガネニンジン
ですが,その前に.駐車場脇のツリガネニンジン.
ヤマイ
ヤマイですよね.苞が長く伸びます.

 何だろ,アゼガヤツリ?ちゃんと見なかった.H田くんの調査地でもないので...
 そういうことではイカンのですが.

ここは礫です.
ハマアカザ
ハマアカザですね.
メノマンネングサ
メノマンネングサ.

貝も分かったら楽しいかも.
ハマエノコロ
ハマエノコロ.他のエノコログサの仲間に比べると,穂がころっとしていますね.
ツルボ
ツルボ.明るいところに出ます.
ハマボッス
あとはハマボッス.これも砂場ではなく岩場とかに出ますね.
キリンソウ
同じく岩場に出ます,キリンソウ.ベンケイソウ科.

  うーん,私,この手の苦手なんですよね.今まで海岸できちんと調査したことがないので,経験不足.ヤブマオかメヤブマオだとは思うんですが...基部が切 形ならメヤブマオ,円形ならヤブマオとか言うんですが...

こちらはツボクサ.






そんなことで,ひと通りの調査が終わりました.後は砂の分析と,パソコンでのデータ整理ですね.
気多大社
おまけ.気多大社.能登国一宮.
気多大社
H田くんはおみくじを引きますが,「今思っている人はやめておくのが吉」とか何とか(笑).
奥山田
で,石川県と富山県の県境.日本の棚田百選の「奥山田」というところ.
奥山田
文字通り,山の奥の田んぼ.水の張っている季節だったらさぞかし美しかったでしょう.
倶利伽羅
  倶利伽羅(くりから)というところなんですが,八大龍王様がお祀りされていて,堀田くんは帰省のご挨拶.

  その庭.うーん,わからん.イネ科キビ属まではいいと思うんですが,キビ自身は葉と葉鞘が有毛なはず.これは無毛なんですよね.
倶利伽羅
その近所,倶利伽羅不動寺.有名らしいです.すいません,土地勘がなくて.
倶利伽羅
  ここ倶利伽羅は,源氏と平家が戦った有名な場所.源義仲 (木曽義仲)が平家を追っていって,平家軍は自分たちが逃げる先が崖になっていると走らず,奈落の底へ.
倶利伽羅
  その時義仲はウシ一頭の角に2本の松明をつけて大勢が追ってくるように思わせたとか.あ,夜の話です.
 ここに落ちたら,たしかに厳しい.なくなった皆さんが天の高いところへ帰れますように.



帰りは東海北陸道.飛騨高山を経由します.H田君は飛騨牛の串焼きを食べてご満悦.
 私は印傳の財布が古くなったので,同じ(ような)タイプのものを買い求めました.







野外データはみんな揃いました.後は分析,よろしく.
いい卒業研究が仕上がることを確信しています.

では!

「キルヒアイス,海はいい.海は」(ラインハルト風に読んで下さい.あ,銀河英雄伝説ね.わかると思うけど)


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