この日は南信州植物・植生調査会の活動で天龍村を訪れることになりました.2013年4月のことです.



一旦,下條村の道の駅に集合.





道の駅にて.私,鳥とか昆虫の撮影用に,Canon sx50 hsというデジカメを手に入れたんです.ズームでの望遠に強い.

 35mmフィルムカメラ換算で1200mmまで光学ズーム可能.撮像素子は小さいので暗い時にはノイズが出ますが,明るければ結構映ります.写真はツ バメ.額と喉が赤いのが特徴です.

天龍村,愛知県都の県境まで行きます.隣は愛知県豊根村.ここ,県道一号線なんだそうですね.

  植物を見ていきます.まずは,ミヤマハコベ.茎に一列の毛があることが特徴.

 花弁は5枚.深く切れ込みます.花柱は三本.

 キュウリグサ.ムラサキ科ですね.

 こちらはムラサキケマン.花は終わりかけ.ウスバシロチョウの食草ですね.ケシ科.

 コバノヒノキシダ.葉の形がヒノキに似ているということでのネーミングですね.

 こちらも同じくコバノヒノキシダ.

 クサイチゴですね.花が咲いていました.バライチゴとちょっと似ていますが,バライチゴは葉が長細いんですが,こちらは少し丸っこい.

 それから,こちら,クサイチゴは羽軸に腺毛があります.似たバライチゴは腺毛がありません.こんなところが違い.


 こちらはタチネコノメ.花は終わって実になっていました.

横から見るとこんなです.タチネコノメ.葉は互生します.ハナネコノメやコガネネコノメ何かと違い,毛がモジャモジャということはありません.

 こちらのシダは,キヨタキシダ.なんと説明したらいいんでしょうか.こんな形.う返答編の間が開いていて,まばらな印象.

羽片のアップ.

 さらに小羽片を見てみましょう.裏からですが,こんなかんじ.ソーラスは,今見えている小羽片の脈にそって,ハの字につきます.以上,キヨタキシダでし た.

 オニタビラコはまだロゼットでした.

 イヌシダでいいですか?ちょっと違うかな.



 初見.ミカワチャルメルソウだそうです.私は初めてですが,こちらの地域ではこれが当たり前とのこと.コチャルメルなんかと比べると花茎が高い.

 ちょっとアップにしてみましたが,これでもよくわありませんね.ミカワチャルメルソウ.

 なんだこれ...と思っていたところ,蛭間くんが「ガクウツギがか,コガクウツギでしょ」とのこと.どっちなの?と聞くと,ちょっと...という返事.
 一般にはコガクウツギは鋸歯が荒く,ガクウツギは鋸歯が細かいとか言います.後は花序がガクウツギで大きく,コガクウツギで小さいとか.うーむ,並べて 見られたら一番いいんですが.

 ウラシマソウ.この写真じゃよくわかりませんね.一応,仏炎苞も写っていて,花序の先から出る糸状の付属体も写っています.ですが,背景と色が一緒なの でわかりにくいですよね.暖温帯のものです.

 イワタバコ.花は夏.写真のように崖の岩場によくついています.周りの小さく丸い葉はマメヅタ.
 煙草の葉を知っていると,なるほど,ちょっと似ている,となりますが,煙草の葉を栽培している畑も,今,あんまり見ませよね.

 お,スミレですね...何でしょうか.
蛭間くん「コミヤマスミレですね」
私「そーなんだ」 地元の人にはかないません.

 別個体.コミヤマスミレ.

更に別個体のコミヤマスミレ.残念ながら花は終わっていました.

  ニッコウネコノメ です.葯(やく)は茶色.葯とは雄しべ(本当は雄蘂(ゆうずい)という難しい言葉で呼ばれます)の先の,花粉が入っている袋の部分.ここが茶色いんです ね.

 似ていますが,こちらはタチネコノメ.こちらは葯が黄色いです.

 蛭間くんがアマヅルだと言うんですが.私には確信が持てません.しかし彼が言うのなら,まあ,そうなんでしょう.ブドウ科で,サンカクヅルに似た葉に成 長します.

 こちらはコアカソ.アカソ,コアカソ,クサコアカソと似たものがありますが,茎が木化して木本なのはコアカソだけ.

 アカメガシワですね.文字通り芽が赤い.陽樹ですので,展葉時期は遅め.

 アサダ.ヨグソミネバリなんかに似ていますが,毛がふさふさ.あと樹皮も皮状に剥がれたりするので,見分けられます.

 ヤブニンジン.毛が多いのでわかります.セリ科.

 ずいぶん山奥まで来ました.ま,県境ですからね.

 県職の八幡さん.熱心に記録をとって頂いています.いつもありがとうございます.

 カジカエデ.久々に見ました.伝統的にはカエデ科なんですが,最近のAPG分類では,トチノキ科とともにムクロジ科に編入されています.そんなバカな!

 コウライテンナンショウですね.マムシグサの仲間(テンナンショウ属)ですが,これは仏炎苞の部分が白と緑のストライプ.茎の部分はマムシ模様ですね.

 マルバウツギ.対生で無柄に近い葉をつけ,葉の表面は触るとざらつきます.

 おお,ウラジロがでますか.暖温帯のものです.

 こちらはオクマワラビ.

 先ほどのガクウツギかコガクウツギのやつですが,萼がでてました.

 アップたとこんな感じです.

 オオバタネツケバナですね.羽状複葉ですが,側小葉に比べると,頂小葉が著しく大きいです.これがタネツケバナとの違い.

 こちらのオオバタネツケバナ.ね,頂小葉,大きいでしょ.

 コゴメウツギですね.関東にいた時にはよく見ました.

 あ,タチネコノメ.葯が黄色くて,苞葉の鋸歯も丸っこいですね.いや,鋸歯じゃなくて,切れ込みかな?

太田さん(旦那さんの方)はコケにお詳しいんです.で,教わりました,ジンガサゴケ.名前の由来は見ての通り,雌器床の形が陣笠型.

 ミミナグサですね.外来のオランダミミナグサは茎が緑色のことが多いんですが,こちら,在来のミミナグサは茎や萼が赤紫のことが多いです.
 オランダミミナグサでは,花弁(花びら)は萼から飛び出しているんですが,これは同じくらいの長さ.

 こちらも蘚苔類(いわゆるコケ植物).キンシゴケの仲間だそうです.キンゴケsp.確かに遠くから見ると金色に光っているように見えます.

 これも雪の少ない地方ですね.ウスゲタマブキ.

 マメヅタ.栄養葉(光合成をするのがお仕事)は丸く,胞子葉は細長いです.今胞子が見えているのは,葉の裏側です.

フユイチゴ.葉の先は尖ります.コバノフユイチゴの場合は,別名マルバフユイチゴというように,葉の先が尖りません.

 あ,また出ました,ミカワチャルメルソウ.

 場所は三十三観音,のところ.

こんな感じです.岩肌を削ってあって,そこに仏様が鎮座されていらっしゃいます.

マルバスミレ.丸葉といいますが,それほど丸くありません.アオイスミレとかのほうが丸いですね.で,マルバスミレ,花弁は白く,やや丸め.側弁は有毛 だったり無毛だったりするとか.花柱はカマキリの顔のようかな.

マルバスミレの花,こんな感じですね.この個体について言えば側弁の毛はなさそう.

葉の裏には,脈状を中心に目立つ長めの白毛.以上マルバスミレでした.

 タチキランソウです.キランソウに比べると,上弁2つが非常に短い.で,花の中がむき出しの感じ.長野県内では南の方はタチキランソウが多いですね.

 ヤマルリソウ.ムラサキ科.花の形そのものはキュウリグサやハナイバナなんかと同じような形ですが,花のサイズは圧倒的に大きいですね.と言ってもヤマ ルリソウですから,巨大な花をつけるわけではありません(笑).

クマシデ.展葉したてですね.重鋸歯で側脈数がイヌシデ,アカシデに比べ多い.ま,葉が細長いんですが.

フサザクラ.山の渓谷のガレたところに生育します.

ニワトコ.対生,奇数羽状複葉,鋸歯.

  ゆべしの里,冬祭りの里なんだそうです,このへん.軒を借りてお弁当を食べました.

 山間(やまあい)の里です.

 集落の郷社でしょうか.大森山諏訪社にお参りしました.

 あ,ヘラシダがありますね.山間に来ましたが,暖温帯の植物です.やや湿ったところか.

 こちらも暖温帯のシダ,ハカタシダ.ヘラシダとハカタシダだけ写真がはっきりしませんが,他の写真を撮ったPENTAX K-r ではなく,CANON sx50 hsです.撮像素子が小さいので,晴れてる時は綺麗に映りますが,ちょっと暗くなると画像は厳しいです.あと,デジタルズームしちゃった時とか.

 これまた場所を変えて,ツルカコソウのある場所を案内していただきました.私も初見です.
 ツルカコソウ,葉は対生,奇数羽状複葉,鋸歯.で頂小葉が非常に大きいですね.

 こちら,ツルカコソウのロゼットと走出枝(そうしゅつし.ランナー).茎葉(けいよう)とはずいぶん違いますね.

 帰りは蛭間くん行きつけの飯田のお蕎麦屋さんで,つまんで飲んで,蕎麦で締めました.充実した一日でした.大地に,自然に,そして皆さんに感謝.




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