2014年6月.長野県植物研究会は,飯綱の県の研究所で発表会,翌日は黒姫山麓を歩く,という事になりました.

京都大学の東先生にお越しいただき,長野県内でオオバセンキュウとされているものには,ヒュウガセンキュウが混じっているという衝撃の事実の発表.

  これは本物のオオバセンキュウ.岐阜件は飛騨丹生川のもの.

 長野県内でオオバセンキュウとされてきたもの.佐久は八千穂産で,実はヒュウガセンキュウ.参りました.今度からより良く見ます.

 後は上野さんのオンタケネコノメソウのお話や...

 県の大塚さんのお話とか...

 中山会長の植物紹介シリーズなど.
 みな様,勉強させていただきました.
翌日,黒姫山麓の歩道を行きます.

タニウツギの咲く頃.


緑も鮮やかです.

  藤田プロによれば,これ,オクヤマザサとのこと.茎の上部で枝分かれして,クマイザサとチシマザサの中間型とか.雑種起源ですかね.ちなみにクマイザサは 枝の中 程で枝分かれするとか.

 ガンクビソウですね.成長すると結構大きくなります.
 花はヤブタバコがちょっと似ますが,ヤブタバコは上に向かった茎から水平に枝を広げて花をつけますので,そうした樹形(?)が見られれば間違えません.

 キクバドコロ.大きいですね.日本海側だからでしょうか.

 キクバドコロはカエデドコロと似ますが,カエデドコロは葉柄の基部に一対(二本)の棘状の突起があるので,それがあればカエデドコロ,なければキクバド コロ.あ,この写真じゃ分かりませんが.

 ホソバシケシダとのこと.特徴と言われると困るんですが,この写真の個体は,結構典型的でなないかと思います.

 ホソバシケシダの葉の裏.一回羽状複葉といえばいいかな.イワデンダ科なので,なるほどという感じですね.

  ミズタビラコでした.遠くから見て,一瞬,タチカメバソウかと思ったんですが.タチカメバソウの花は白いですが,こちらはやや青いですね.どちらもムラサ キ科の近縁種.

 キクザキイチゲ.さすがに花は終わっています.

 ミゾシダ.軸に茶色い毛を密生します.

ユキツバキですね.ツバキ(ヤブツバキ)に似ますが,葉を太陽に透かすと,葉脈が透けてみえます.これがユキツバキ.ただ,両者の雑種のユキバタツバキと いうのもあるので,注意しないといけませんね.ユキツバキは葉柄に毛があるんですが,ユキバタツバキはヤブツバキと同様無毛とのこと.これもそうかも.き ちんと見なかった.

 サトメシダ.分布は人里.山にはオゼサトメシダというのがあって,葉の表面や軸に毛があるんだとか.

サトメシダの葉の裏.

 アブラチャンなんですが,日本海側に分布する毛のあるものをケアブラチャンとするんだそうな.変種.

 たしかに,葉脈上に毛が見えます.ケアブラチャン.

  ハンショウヅルか,トリガタハンショウヅル.花で見分けます.ハンショウヅルは花に赤紫色が入りますが,トリガタハンショウヅルは淡黄色.ちなみに花びら のようにみえるのは実際には萼片ですね.また花の時期に.秋かな.

 ササバギンラン.長い葉をササの葉に例えています.

  チョウジザクラ.倒卵形で重鋸歯,葉先は尾状に伸びます.日本海側にはオクチョウジザクラという変種があるというんですが...

 チョウジザクラは写真のように毛が多い,オクチョウジザクラは毛が少ないということで見分けられるんだそうな.うーむ,今まで変種まで分けてなかった な.

  オオバクロモジですね.これも雪国分布.長い毛があるのはウスゲクロモジ(ミヤマクロモジ)ですね.

 ヒロハテンナンショウ.日本海側分布.茎の途中から出ている白いのが花.花の位置が低いです.似たヒトツバテンナンショウは花の先端が葉よりも上に出ま す.

 コシノカンアオイですね.「コシノ」というのは「越しの」で、「越」は越前,越中,越後の越で,福井,富山,新潟のことで,日本海側のことですね、

  アキギリかキバナアキギリか?黄花かな.ただのアキギリは紫色の花,キバナアキギリは名前のとおり黄色い花です.

 コミネカエデですね.対生単葉切れ込み鋸歯.ミネカエデは亜高山帯,コミネカエデは山地帯.

 ハナイカダ.花は葉の主脈途中につきますので,葉脈がそこまで太いんですよね.

コチャルメルソウ.

  これは初見,ムラサキマユミ.常緑です.日本海側分布で,長野県でも準絶滅危惧だっけかな.

ケナシヤブデマリですね.日本海側分布.ヤブデマリは太平洋側で毛が多い.

 ケナシヤブデマリは毛が全くないわけではないですが,少ないですね.

  タニタデ

  画面中央の白い花,ヒロハコンロンソウです.すいません,50mmマクロしか持って行かなかったんで.

  左はカラクサイヌワラビ,右は ヤマイタチシダです.この写真はわかりづらいですよね.

  カラクサイヌワラビです.羽片の柄がはっきりしているのが特徴だとか.

ナルコユリですね.アマドコロは茎に稜があるんですが,ナルコユリは円筒形.で...

  日本海側にあるナルコユリは,結構大きくなって,ミヤマナルコユリに似ます.が,ナルコユリは脈上に毛・乳頭状突起なんかはないんですが,ミヤマナルコユ リはあるということで見分けることができるそうです.

  ツクバトリカブト.花はないんですが.トリカブトの仲間は茎の毛に注目.これの場合,茎の下部は無毛で上部は屈毛(曲がった毛)ということ.

  ハリスゲの近縁種ですね.不明...かな.

  ヤマテキリスゲ.日本海側の分布です.

 頂小穂は雄性,後は雌性で,立ち上がらずに垂れ下がります.ナルコスゲみたいな感じ.

 根元の方を見ます.茎が白っぽく見えますが,下部は赤紫色.

 葉の断面はM字で裏は白っぽいです.触り心地も柔らかく,痛くないですね.

  別個体のヤマテキリスゲ.日当たりなどが変わると見た印象も変わりますので,写真で記録しておきましょう.小穂の柄が長いので穂が垂れるんですね.

 根元.

  こっちは別のスゲです.ヒメシラスゲ.遠目にはオニスゲを小さくしたような印象で小穂は立つタイプですね.

 ヒメシラスゲも頂小穂は雄性,側小穂は雌性.ツンツンしていますね.

 葉の断面はM字.草質で柔らかいです.

 根元はこんな感じ.以上ヒメシラスゲでした.

  ヤグルマソウの花が咲くと,夏って感じがしますね.

  先ほども出ました,ガンクビソウ の仲間.多分ガンクビソウそのものでいいんだと思いますが.

 ヤブニンジンですか.茎に白毛があります.同じセリ科のシャクが似ますが,実の形を見てみましょう.

 ヤブニンジン,実はこんな感じ.棍棒型で,先が太く,手前が細い.シャクは円筒形の実をつけて,上から下まで太さが変わらない.ヤブジラミは実がラグ ビーボール状です.

  シシウドです.全体を撮ると写真が小さくなってしまうので,葉の一部を撮影.

  シシウドは裏に毛があります.で,毛が無いのはミヤマシシウド.写真には毛がしっかり写っていますね.

  ニガナ.舌状花は5-7枚.普通のニガナよりも舌状花が8-10と数が多いのはハナニガナ.
 シロバナのものはニガナの変種のシロニガナと,ハナニガナの変種のシロバナニガナがあります.舌状花の数は母種に同じ.

  キタマムシグサ.コウライテンナンショウは上の仏炎苞の上部の傘の部分が平らなのに対し,キタマムシグサは山形に尖るといいます.微妙な感じがします が...ま,広義のマムシグサだということは間違いありません.

 ミヤマウズラですね.ランの仲間.

 ギンランです.こちらはササバではない方.葉を上方に畳んでも,花が隠れません.隠れるほど長いとササバギンラン.ここが違い.

 クモキリソウ.ジガバチソウと似ます.が,花がない状態でも,葉が立ち上がること,葉縁がフリル状に波打つことなどでクモキリソウと分かっちゃう,と.
 マイマイガの幼虫.今年(2014年)はこれが大発生.私の印象だと特に北の方で多い感じがします.

 オオマムシグサだそうです.初見.たしかに大きい.

 仏炎苞は紫色と白のストライプで美しいですね.写真は,仏炎苞の先をちょっとめくって撮影しました.

 ヤマモミジです.欠刻状の重鋸歯の切れ込みが大きい.イロハモミジの欠刻状重鋸歯はこれほど切れ込まないです.また,信州では南の方だけにイロハモミジ があることになっています.

 ホウチャクソウ.で,でかい.いろいろな植物で雪の多い日本海側で大きくなる現象が見られますが,これもそうなんでしょう.

  ヤマミゾイチゴツナギ.特徴は,と聞かれると難しいんですが,この,ちょっとなよっとした感じ.

 別個体のヤマミゾイチゴツナギ.イチゴツナギはもっと大きく立ち上がって葉舌が長いのが特徴. ミゾイチゴツナギはそれに似て葉舌が短い.ああと,花がだらりと垂れます.ヤマミゾイチゴツナギはすごく小さくて高さは10cmから15cmくらいの大き さ.

 アケボノシュスランですね.花はまた別の機会に.

 オニシモツケですね.日本海側分布.シモツケソウと違い,側小葉は非常に小さいか,ほとんど無いようにも見えます.

  ハナヒリノキ.で,高地にあって裏が白いものをウスユキハナヒリノキというんだそうな.

 これは普通のハナヒリノキ.一応裏もめくっておきますか.緑色が表面より薄くはなりますが,白い,ってほどではないですね.

  ヤマテキリスゲ,再び.これ,常緑なんだそうですね.常緑で去年の葉が残るのは信州では稀なので,常緑のスゲというのはヤマテキリスゲの大きなヒントと か.

 葉は柔らかく,断面はM字

 葉の裏は白っぽい.

 この個体はあまり小穂が垂れませんね.

ということで,今回も充実した観察会でした.ご指導いただいた皆様に,改めて感謝申し上げます.


トップに戻る