平成20年度植物生態学ゼミ
農学部森林科学科1年 宮本隆志
野山に遊びに行く時と言うのはそこらへん に生えている植物の用途が分かるとより有意義に楽しくすごすことができると思います。今回はその中でも最もシンプルな“食べる事が可能”な植物を中心に調 査をしてきました。調査場所は浅間温泉と美鈴湖までの山の中です。快晴の空の下、色々な美味しい面白い植物に出会う事ができたと思います。一部、私が以前 に撮った写真でい面白いものも使用しています。


ユキノシタ Saxifraga stolonifera
ユキノシタ科ユキノシタ属の植物です。
花真っ盛りでした。ここの花はちょっと山菜として葉を天ぷらやおひたしにして食べます。そこそこ美味しいです。
(2008.6.28.sat浅間)



ノカンゾウHemerocallis fulva var. longituba
ユリ科ワスレナグサ属の植物です。
もしかしたらヤブカンゾウかもしれませんが私は花を見ないことにはわかりません。ヤブの方は八重咲きです。甘草の名の通り甘みがあって食べれます。美味し いです。ユリ科なので花が綺麗らしいです。見た記憶はありません。
(2008.6.28.sat浅間)

アケビAkebia quinata
アケビ科アケビ属の植物です。
属名がAkebiaって和名のままで驚きました。周知の事と思いま すが食べれます。秋になったら採りに行こうと思います。
(2008.6.28.sat浅間)


ミツバアケビAkebia trifoliata
同じくアケビ科アケビ属の植物です。
名の通り葉が三枚です。種名にもtri-とありますねやっぱり秋に なったら採りに行こうと思っています。花がなかったのが気になりますが・・・。
(2008.6.28.sat浅間)


ホタルブクロCampanula punctata Lam.
キキョウ科ホタルブクロ属の植物です。
あちらこちらで咲いていたので一応。・・・・・・食べれないんです、綺麗で すけど残念です。蛍を閉じ込めて見たことはないです。
(2008.6.28.sat浅間)

ヘビイチゴDuchesnea chrysantha
バラ亜科ヘビイチゴ属の植物です。
イチゴの癖に食べれません。食べても死にませんが美味しくないです。今回も懲りずに食べてみました。味もなかったです。

(2008.6.28.sat浅間)

ミヤマニガイチゴRubus microphyllus var. subcrataegifolius
バラ科キイチゴ属の植物です。学名長いなぁ・・・。
食べれます。甘いんですが名前の通り少し苦い部分があります。山腹の開けた所とかによくあります。ニガイチゴと言うのもありますがそれより深山に生えま す。
(2008.6.28.sat浅間)

モミジイチゴRubus palmatus var. coptophyllus
バラ科キイチゴ属の植物です。
ナガバモミジイチゴの変種です。ナガバがモミジイチゴの変種ではないんですね・・・。普通に甘くて美味しいです。けど、沢沿いに生えているのは水っぽくて あまり美味しくなりません。車道沿いとかによく生えてました。いわゆ るキイチゴです。
(2008.6.28.sat浅間)

蜂の巣
イチゴを採ろうとしたら蜂の巣があることに気付きました。
危なく手を突っ込んでしまうところでした。
アシナガバチ、恐らくですがセグロアシナガバチではないかと・・・。
セグロアシナガバチPolistes jadwigae 一応スズメバチ科です。
こいつの蜂の子は食べられるのでしょうか・・・?
(2008.6.28.sat浅間)

オニグルミJuglans ailanthifolia
クルミ科クルミ属の植物です。
美味しいですが実は秋です。また行きます。サワグルミとかノグルミとかもありますがそいつらは食べられません。というか実の形がクルミじゃなくなります。
(2008.6.28.sat浅間)

ヤマブキKerria japonica
バラ科ヤマブキ属の植物です。
花期はとっくに終わっていたのですが一輪だけ何故か咲いていたので写真に撮りました。食べれるかは知りませんがたぶん食べ ません。
(2008.6.28.sat浅間)

タラノキAralia elata
ウコギ科タラノキ属の植物です。
新芽を天ぷらにすると非常に美味しいです。ただ、この時期は棘だらけの枝を張り巡らすので藪を歩いていて非常に鬱陶しかったです。あと、タラの芽栽培地に つき採取禁止という看板があったり。採る時は十分に気をつけておいたほうがいいです。
(2008.6.28.sat浅間)


ヒノキ科の植物の芽生え?
こんな写真を以前植物図鑑で見たことがあったので見ることができて良かった です。何の芽かはちょっと分かりませんでした林床を見ると意外とこんな感じで芽生えを迎えている植物がたくさんありました。これを撮った日は雨が降ってい たので芽も濡れています。
(2008.6.22.sun伊那)



ギンリョウソウMonotropastrum humile
イチヤクソウ科ギンリョウソウ属の植物です。
木の根っこに寄生するキノコに寄生して育つ変な奴です。つまり木が光合成で作った栄養を掠め取っているキノコから栄養を掠め取っているわけです。だから葉 緑体もなく、白いです。こんなんでも一応ツツジの親戚です。(ツツジ目)こんな感じで菌類から栄養を得る植物を腐生植物といいます。
(2008.6.21.sat手良沢)

セイヨウタンポポTaraxacum officinale
キク科タンポポ属の植物・・・の帯化奇形です。4月に見つけました。探して みるとさちらこちらにあります。本などで読んだ事はあっても地元(関西)では見たことすらなかったのですが・・・。紫外線とかの影響でしょうか?私が見た 限りなのですが在来タンポポでの 発生は見ませんでした。あ、忘れてましたが食用可だそうです。食べた事はありません。
(2008.4.25.fri大村)
変なキノコ達
植物を探しにいっている間に色々なキノコたちも見ました。
植物ではないのですがついでに紹介させてもらいます。
・・・意外と面白いと思います。どうでしょう?

カメムシタケの仲間の子実体
掘ったら下にカメムシがついているんですけど・・・。写真を撮り忘れまし た、すみません。バッカク菌科冬虫夏草属のキノコです。ちなみに下にはキンカメムシの仲間がついてました。
(2008.6.21.sat手良沢)


セミタケの仲間の子実体
掘ったら下に蝉の幼虫がいました。一見ただのキ ノコなので相当驚きました。詳しい仲間に聞くとキアシオオセミタケとのことです。どうやって見 分けるのかすら分かりません。スギ林で見
つけました。北の方の寒い地域に多いそうです。
(2008.6.28.sat浅間)

セミタケの仲間の子実体
掘ったら出てきた部分です。完全に菌糸にやられて いるのが分かると思います。ヒグラシの幼虫でしょうか?
(2008.6.28.sat浅間)


キクラゲAuricularia auricula-judae
キクラゲ科キクラゲ属のキノコです。
知ってのとおり食べれます。太陽にかざしておくとあっと
いう間に水気が抜けて乾燥木耳のできあがりです。
(2008.6.28.sat浅間)

アミガサタケorchella esculenta(L.:Fr.)Pers. var. esculenta
アミガサタケ科アミガサタケ属のキノコです。
日本では外見から避けられていますが、フランス料理ではモレルと呼ばれちゃんとした食用のキノコです。ちなみに大学の敷地内の芝生で採取しました。
(2008.4.27.sun松本キャンパス)

アミガサタケorchella esculenta(L.:Fr.)Pers. var. esculenta
そして料理に挑戦してみました。普通に美味しくできたので来年も挑戦してみ ることにします。ちなみに生のまま食べると毒なのでしっかり加熱調理する必要があります。あしからず。
(2008.4.27.sun松本キャンパス)

紹介した植物(とキノコ)の(食べに行くときの)データ
ユキノシタ Saxifraga stolonifera
 採取時期:多年草で通年採取が可能
 採取場所:山地・谷などの沢沿い・湿地
 調理法  :天ぷら、おひたしなど
 その他  :薬効もある
ノカンゾウHemerocallis fulva var. longituba
 採取時期:多年草で新芽は12月頃〜5月頃まで
 採取場所:平地や土手、山地など
 調理法  :酢味噌和えがおいしいです
 その他  :ヤブカンゾウも食べれる
アケビAkebia quinata
 採取時期:ツル性植物、落葉樹、新芽は春、実は秋
 採取場所:山林、人里にも多い
 調理法  :新芽はお茶にできる 実は果肉のみを食べる
 その他  :果皮も食べる方法がある
 ミツバアケビAkebia trifoliata
 採取時期:ツル性植物、落葉樹、新芽は春、実は秋
 採取場所:山林、人里にも多い
 調理法  :新芽はお茶にできる 実は果肉のみを食べる
 その他  :アケビとの違いは葉っぱの付き方
ホタルブクロCampanula punctata Lam.
 採取時期: 食べません
 採取場所: 食べません
 調理法  : 食べません
 その他  : 食べません
ヘビイチゴDuchesnea chrysantha
 採取時期: 食べません
 採取場所: 食べません
 調理法  : 食べません
 その他  : 食べません
ミヤマニガイチゴRubus microphyllus var.
 subcrataegifolius
 採取時期:落葉低木・5月6月くらい
 採取場所:山地で攪乱された場所や道路沿い
 調理法  :実をそのまま・ジャム・果実酒などにする
 その他  :実は上向きに着く・少し苦味がある
モミジイチゴRubus palmatus var. coptophyllus
 採取時期:落葉低木・5月6月くらい
 採取場所:山地の道路沿いに多い
 調理法  :実をそのまま・ジャム・果実酒などにする
 その他  :実は下向きにつく
オニグルミJuglans ailanthifolia
 採取時期:落葉樹・秋ごろ
 採取場所:山間の沢沿いによく見られる
 調理法  :普通のクルミと同じ・果肉を食べる
 その他  :ヒメグルミとの違いはごつごつしている事
ヤマブキKerria japonica
 採取時期: 食べません
 採取場所: 食べません
 調理法  : 食べません
 その他  : 食べません
タ ラノキAralia elata
 採取時期:落葉低木・春
 採取場所:日当たりの良い山地
 調理法  :新芽を天ぷらやおひたしにする
 その他  :採取する時は1番芽以外は採らない、枯れる
ギンリョウソウMonotropastrum humile
 採取時期: 食べません
 採取場所: 食べません
 調理法  : 食べません
 その他  : 食べません
セイヨウタンポポTaraxacum officinale
 採取時期:多年草で通年採取が可能
 採取場所:平地・河川敷・公園など
 調理法  :葉っぱをサラダにする(西洋料理)
 その他  :とりあえず、採ったらよく洗った方がいい
キクラゲAuricularia auricula-judae
 採取時期:4月頃から11月頃まで
 採取場所:山地の沢沿い等湿った場所のケヤキ等の倒木上
 調理法  :普通のキクラゲと同じ・中華料理など
 その他  :乾燥させてから使った方がいい
ア ミガサタケorchella esculenta(L.:Fr.)Pers. var. esculenta
 採取時期:春頃?
 採取場所:不明(少なくとも大学構内)
 調理法  :単に茹でるか、炒める・味付けしたほうがいい
 その他  :毒があるので茹でて毒抜きを・意外と美味しい

感想
今回はまずは近場と 言うことで行ってきましたが、町のすぐ近くでも私が地元で見たことの無い植物や滅多に見ることができない植物を見ることができました。私は農学部ですしこ れからもまだまだたくさんいろいろな植物と触れ合うことになると思います。私自身の知識はまだまだですが長野県のあふれる自然環境を生かして学んでいきた いと思います。
参 考文献
葉で分かる樹木625種の検索 馬場多久夫 信濃毎日新聞社
葉による野生植物の検索図鑑 阿部正敏  誠文堂新光社
四季の摘み菜12ヶ月−健康山野草の楽しみ方と料理法 平谷けい子 山 と渓谷社




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