植物生態学ゼミレポート

09F1010J
伊藤諒介


イヌノフグリ
Veronica didyma var. lilacina (ゴマノハグサ科 クワガタソウ属)
野原、畑や道端に生えている越年草。日本の在来種。開花時期は2〜4月。
卵型で荒い鋸歯を持ち、10〜20pほどに育ち、桃色の花を咲かせる。
以前はごく普通に見られたがオオイヌノフグリが繁殖するようになってから希少種としての扱いを受けるようになる。
名前の由来は実の形が犬の陰嚢(ふぐり)に似ていることから。

オオイヌノフグリ
Veronica persica Poir. (ゴマノハグサ科 クワガタソウ属)
イヌノフグリ同様に野原、畑や道端に生えている越年草。西アジア、中近東原産(ヨーロッパ原産とも)の外来種。開花時期は2〜4月。
卵型で荒い鋸歯の葉を持ち、イヌノフグリによく似ていて10〜40pほどにも育ち青色の花を咲かせる。花弁は4枚、雄蕊は2本。
日当たりの良いところに生えた個体は花が目立ち、日陰に生えた個体は葉が大きく、花よりも葉が目立つようになる傾向がある。
1880〜90年頃に帰化したとされる。
通常は青色の花を咲かせるが、稀に白色の花を咲かせるものがあり、「シロバナオオイヌノフグリ」と呼ばれる。
しかし大抵は農薬の影響により白くなっているだけのものもありややこしい。
※イヌノフグリとオ オイヌノフグリの見分け方
イヌノフグリ:桃色の小さな花をつけ、実はハート形で丸みを帯びる。
オオイヌノフグリ:青色の花をつけ、実はハート形であるが先が少しとがる。
タチイヌノフグリ
Veronica arvensis (ゴマノハグサ科 クワガタソウ属)
10〜20p程になるヨーロッパ原産の越年草。開花時期は3〜6月。
対生で葉は卵型の荒い鋸歯、茎は立ちあがる形になり、葉柄はほとんどない。
花はオオイヌノフグリに似て青色(たまに桃色のものもある)だが小さく目立たない。
開花時間が短く、晴天時は御昼前の数時間しか咲いておらず地味な花である。
フラサバソウ
Veronica hederaefolia (ゴマノハグサ科 クワガタソウ属)
野原、畑や道端などでも乾燥した場所に生える傾向がある10〜30p程になるヨーロッパ、アフリカ原産の外来種。別名「ツタバイヌノフグリ」。「イヌノフ グリ」と付いてはいるが、これは葉に5〜7つの鋸歯があることから。
地面を這うように成長し、茎の上部が若干立ち上がりオオイヌノフグリに似た小さな花を咲かせるが、実の形などが異なり、全体に毛が生えているために判別で きる。
※授業では紹介されなかったが、ゴマノハグサ科クワガタソウ属には他にも「コゴメイヌノフグリ」「ムシクサ」など多数の種類が存在する。


カラスノエンドウ
Vicia angustifolia(マメ科ソラマメ属)
互生、羽状複葉の50〜150pになる地中海原産の越年草。開花時期は3〜6月。
植物学的局面では「ヤハズエンドウ」とも。
本州、四国や九州、沖縄などの道端に生えている。
茎の先には3つに別れた巻きひげがあり、これが樹木などに絡みつくことでより上を目指すことができるが。大抵は直立している。
花は薄い紫色。実には5〜10個の種子が入っていて食用にもなる。
花が白いものは「シロバナヤハズエンドウ」と呼ばれる。
ソラマメの仲間でもあり、茎は角ばり、豆のへそが長いのも特徴。

スズメノエンドウ
Vicia hirsuta(マメ科 ソラマメ属)
カラスノエンドウによく似た草。開花時期は4月〜6月。
カラスノエンドウに似てはいるが30〜50pと、カラスノエンドウより小さく咲かせる花は白っぽい紫色。通常は4つ咲かせる。
身には2個の種子がはいっており、短毛が生えているのが違い。
名前の由来はカラスノエンドウの「カラス」に対してそれより小さいことから「スズメ」とついている。

カスマグサ
Vicia tetrasperma(マメ科 ソラマメ属)
スズメノエンドウやカラスノエンドウに似た草。開花時期は4月〜5月。
大きさは30〜50pだが、花は薄い青色で通常は3つ咲かせ、枝分かれをしない。
また、実には毛が無く、3〜6つの種子が入っているのが特徴。

名前の由来は「カラスノエンドウ」と「スズメノエンドウ」の間(マ)であることから「カスマ」と付いている。

※カラスノエンド ウ、スズメノエンドウ、カスマグサの見分け方(まとめ)。
カラスノエンドウ:他の2つより大きいのが特徴。
スズメノエンドウ:実に短毛が生え、花は白っぽい紫で小葉の先が若干凹んでいる。
カスマグサ:実に短毛はなく、花は薄い青色で小葉の先は尖っている。


カタバミ
Oxalis corniculata(カタバミ科 カタバミ属)
庭や畑、道端など世界中に分布する多年草。開花時期は5月〜8月。
葉は三出複葉で、一枚一枚はハート型で、クローバーに似ているがクローバーとは異なる植物である。
黄色の五弁花を咲かせる、この花は夕方になると閉じて朝開く。
尖った円柱型の実を上向きにつけ、成熟すると触れただけではぜて種子をばら撒く。
ヤマトシジミの幼虫の食草だが、葉はシュウ酸を含み齧るとすっぱい。
変種に「アカカタバミ」「ウスアカカタバミ」などがある。
繁殖が深く根が深いために駆除に困るが、それ故に「家が絶えない」ということで家紋にも使われたりもする。

オッタチカタバミ
Oxalis stricta (カタバミ科 カタバミ属)
道端や荒れ地などで20〜50pほどに生育する北アメリカ原産の多年草。開花時期は4月〜10月。
名前の由来はカタバミが地面を這うように成長するのに対し、オッタチカタバミは直立するように成長する。
花や葉はカタバミに似ているが、花は最初上向きに咲くが、だんだんと下の方を向いて咲くようになる。
※カタバミとオッタ チカタバミの見分け方
カタバミ:茎が地面を這うように成長する。
オッタチカタバミ:茎が直立して成長する。


シロツメクサ
Trifolium repens  (マメ科 シャジクソウ属)
道端や公園などで見られる5〜10pのヨーロッパ原産の多年草。開花時期は4月〜10月。
別名「クローバー」。江戸時代にガラス製品の梱包材として日本に入ってきた。
生命力が強く、人が踏みつけても、刈り取られても地面に這う茎から再生してくる。そのために緑化や牧草としても利用されている。
葉は三小葉で白い輪のような模様があることが多い。葉が4枚のものは「四つ葉のクローバー」として幸せの象徴でもある。(葉は2枚〜18枚ぐらいの間で変 化がある。)
花は集合花で白い、たまに桃色のものもあり「モモイロシロツメクサ」と呼ばれる。
名前の由来は前述した梱包材として、乾燥した本種を詰めたために「詰め草」、そして白い花が咲くことから「白い詰め草」=「シロツメクサ」となっている。

アカツメクサ
Trifolium pratense (マメ科 シャクジソウ属)
河川敷や野原で見られる20〜60pになるヨーロッパ原産の多年草。開花時期は4月〜10月。
別名「レッド・クローバー」。明治にヨーロッパより牧草して輸入されたのが始まり。
花は集合化で赤紫色だが、たまに白色のものもあり「セツカツメクサ」または「シロバナアカツメクサ」とも呼ばれる。
全体的にシロツメクサに似ているが、シロツメクサより大型で全体的に毛深いのが違い。
名前の由来はそのまま「赤い詰め草」ということから。
コメツブツメクサ
Trifolium dubium (マメ科 シャジクソウ属)
河川敷や道端、荒れ地などに生える20〜40pになるヨーロッパ原産の一年草。開花時期は5〜8月。
黄色い集合花で5〜20個の花がボール型についている。
コメツブウマゴヤシやクスダマツメクサなど似た花が多いが、豆果が枯れた花弁に包まれて黄土色になることから見分けられる。




ヤブタビラコ
Lapsana humilis (Thunb.) Makino (キク科 ヤブタビラコ属)
あぜ道や、林の淵など少々湿潤な場所に生育する4〜25p程に育つ越年草。開花時期は5〜7月。
黄色い花をつけ、舌状花が20個ほどついている。花後は頭花が下向きに曲がる。
名前の由来は茎が斜め上方向に放射状に広がることから田の面に広がるということで「田平子」、そして藪に生えるために「藪田平子」となっている。

オニタビラコ
Youngia japonica (L.) DC. (キク科 オニタビラコ属)
道端、野原や畑に生える世界に広く分布する20〜100pになる越年草。開花時期はほぼ一年中。
様々な場所で生育するが、痩せ地だと10pほど、栄養分がある土地なら1m程にもなる。
典型的なものは、葉が若干の赤みを帯び、春になると太く、毛の生えた茎を伸ばしその上にタンポポのような花を咲かせる。
上記のものとは別に葉が赤みを帯びず光沢があり、細い茎を複数伸ばすものもある。
種子には冠毛があり、風に乗って散布されるあたりもタンポポに似ている。
オニヤブラビラコ
x Lapsyoungia musashiensis (Hiyama) Hiyama (キク科 オニヤブタビラコ属)
授業では紹介されなかったが、名前の通りヤブタビラコとオニタビラコとの雑種。
コオニタビラコ
Lapsana apogoniides (キク科 ヤブタビラコ属)
授業では紹介されなかったが、名前の通りオニタビラコよりも小さく4〜25p程に成長する。
水田地帯に見られ、「春の七草」の「ホトケノザ」は、この植物のことを指し、若い内の葉は食べられる。
ヤブタビラコに似ているが、舌状花が6〜9個であること、種子の先端に2〜4つの突起があるのが異なるところ。


ハルジョオン(ハルジオン)
Erigeron philadelphicus L. (キク科アズマギク属)
野原や道端、河川敷などで見られる北アメリカ原産の30〜100pになる多年草。開花時期は3月〜7月。
大正時代に園芸用として輸入されるようになり、後に除草剤への耐性をつけ、全国に広がったとされる。
除草剤への耐性の獲得にも見られるように、その適応能力は高く環境に対応して(多年草なのに)1〜2年草として生えていることもある。
それ故に様々なバージョンがあり、通常は花は白いが、花が濃い桃色のものを「ベニバナハルジオン」、無毛の「ケナシハルジオン」、小さい「チャボハルジオ ン」、大きい「オオハルジオン」、舌状花が退化してしまった「ボウズハルジオン」などと呼ばれる様々なものがあるのも特徴。
名前の由来は「紫苑(シオン)」という植物が夏の終わりに咲く紫色の花であり、これが春に咲くことからついた。
別名「貧乏草」。

ヒメジョオン
Erigeron annuus  (L.) Pers.  (キク科 ムカシヨモギ属)
道端や荒れ地、河川敷などに生える北アメリカ原産の80〜150pになる一年草。開花時期は5〜11月。
ハルジョオン同様に繁殖力、適応力が強く世界中に帰化している。日本では1860年頃に観賞用の「柳葉姫菊」の名で輸入されたものが帰化した。
こちらも除草剤への耐性を身につけ、その繁殖力ゆえにハルジョオン同様警戒されている植物でもある。
ちなみに薄紫色の花に見えるものは頭状花序と呼ばれ、小さな花の集まりである。
種子生産力が高く、種子そのものの寿命も35年と長く、そして1個体あたり45000個以上もの種子を生産されているとも言われ、高い繁殖力を持つ。
別名は前述した「柳葉姫菊」と鉄道の線路沿いに広がったことから「鉄道草」とも。
※ハルジョオンとヒ メジョオンの見分け方。
ハルジョオン:つぼみの時下を向いていて、花が大きいが数は少なく、背は低い。茎の真ん中に空洞があり、葉が茎を抱くようにつく。
ヒメジョオン:つぼみの時上を向いていて、花は小さく数が多く、背が高い。茎の真ん中に空洞は無く、葉は茎を抱くようにつかない。


ヨモギ
Artemisia indica var. maximowiczii  (キク科 ヨモギ属)
道端、草地や野原などに生えている50〜120pの多年草。開花時期は9〜10月。
葉がキク科植物の特徴として羽状に分裂しているのが特徴的。
別名「モチグサ」、春の白い繊毛に包まれた新芽を使って草餅を作ることからであり、緑の色を餅につけるのはもちろん、毛によって粘りを出すためでもある。
その他にも茎や葉の裏の白い毛を集めて「もぐさ」を作り、お灸などにも使用されたり、ヨモギ風呂などその使用用途は多岐にわたる。
紫褐色の花を咲かせるが、小さく目立たない。
その他の特徴として「アレロパシー」を発生させる植物でもある。地下茎から他の植物の発芽を抑制する物質を分泌するが、これは自らの種子にも影響してしま う。だが、ヨモギは地下茎で繁殖するので大丈夫と言えば大丈夫である。
名前の由来は諸説あり、よく増えて四方に広がることから「四方草(ヨモギ)」とも、乾燥した葉は御灸としてよく燃えることから「善燃草」などではないかと も言われ

オニノゲシ
Sonchus asper (キク科 ノゲシ属)
道端や荒れ地に生えている50〜100センチ程のヨーロッパ原産の越年生の一年草。開花時期はほぼ一年中。
開花時期については春〜夏にかけてよく咲かせるが、温暖な地域では一年中花を咲かせ、実を結ぶ。
葉は光沢が強く、鋭い棘のある鋸歯がある。
また外見が似ているハルノノゲシと雑種を作り「アイノノゲシ」という。
茶色の腺毛がたくさん生えたものは「ケオニノゲシ」と呼ばれる。
因みにハルノノゲシとの見分け方はオニノノゲシの場合葉が茎を抱くのに対し、ハルノノゲシは葉の基部に耳があるのと、前述した葉に違いがあること。
名前の由来は「芥子」に似ていて更に野に生えることから「野芥子」そして、棘の荒々しい形から「鬼野芥子」。

ナガミヒナゲシ
Papaver dubium L. (ケシ科 ケシ属)
道端、荒れ地や野原に生える20〜60pになる地中海原産の一年草。開花時期3月〜6月。
オレンジ色の4弁花(2枚〜6枚まで変化する。)
強い繁殖力を持ち、発芽率が高く、アスファルトの隙間から生えたようなものであっても立派に花を咲かせる。
実は細長い「さく果」をつけ、中には細かい種子がびっしりと入っている。


マツバギク
Lampranthus spectabilis (ツルナ科 マツバギク属)
園芸用として庭などに植えられていることがある
南アフリカ原産の多年草。開花時期は4月〜8月。
常緑多肉植物であり、その葉は肉厚であるのが特徴的で表面はザラザラしていて、その断面は三角である。
花は紫色で光沢があり、日中は開花しているが夜は閉じている。
これらの特徴のおかげで高温、乾燥に非常に強い。ちなみに花言葉は「忍耐」である。
名前の由来は葉が松の葉に似ていて、花は菊に似ていることから。


ヤエムグラ
Galium spurium var. echinospermon (アカネ科 ヤエムグラ属)
日本各地の道端や畑など水分や栄養分のある場所に生える越年草。
秋から芽生え始めるが冬の内は葉は丸みを帯びている、春になると伸び出し葉の形も細長くなる。
また葉がザラザラしているために衣服になどにくっつく、これは自身の茎だけでは立ち上がれないためにお互い寄り添うためでもある。
花は小さな白色の花で目立たず、実には荒い毛が生える。この実もやはり衣服などにくっつく。

コハコベ
Stellaria media  (ナデシコ科 ハコベ属)
道端や畑、荒れ地などに生育する10〜20pに成長する1〜2年草。開花時期はほぼ一年中。
「春の七草」の「ハコベ」で知られる植物、コハコベの他にはミドリハコベなどもハコベでしてひとくくりにされ食用にされたりする。
茎が若干紫色を帯び、葉の先端がとがりひし形になり、たまに先端に紫色の斑点が見られるのが特徴。
花は白い五弁花だが、1枚の花弁が深く切れ込むために見た目は10枚の花弁があるように見える。