身 近な植物



             
農学部森林科学科  桐生雄介


ムラサキツメクサ  (マメ科 シャジクソウ属) 多年生草本  ヨーロッパ原産
学名 Trifolium pratense 
茎は直立して高さ70pほどになる。葉は互生し、卵形の3小葉からなる複葉で細かい鋸歯があり、株全体に軟毛がある。  飼料用に日本に持ち込まれたもの が、野外に逸出して野生化している。一般的にはアカツメクサの名で親しまれている。


タチアオイ  (アオイ科 タチアオイ属) 2年生、または多年生草本 中央アジア〜中国原産
学名 Alcea rosea
茎は直立して高さ100〜150pになる二年草または多年草。葉は互生、単葉で葉縁は4〜5裂し鋸歯がある。園芸用に栽培されており、様々な品種がある。 八重咲きの品種もある。下の写真は白色の品種。
時に市街地などで逸出し野生化している。


シロツメクサ  (マメ科 シャジクソウ属) 多年生草本 ヨーロッパ原産
学名 Trifolium repens
茎は地表を這って節から発根して繁殖する。葉は先端の凹む倒心臓形の3小葉からなる複葉で、互生する。縁には細かい鋸歯がある。飼料用作物として日本に入 り各地で野生化している。一般にはクローバと呼ばれる。種小名のrepensは「ほふく性」を意味する。

ハナアオイ  (アオイ科 タチアオイ属)  二年草または多年生草本 中央アジア〜中国原産
学名 Alcea rosea hybridus
上記した種と同じ種だが、園芸種のため様々な花色がある。基本種の花色は
赤桃色とされる。中央アジアを中心に世界に約60種が分布しているが、日本には真の自生はない。乾燥地を好み、株の寿命は短いため短命な多年草とされる。

ヒナゲシ (ケシ科 ケシ属)  一年生草本  地中海沿岸〜西アジア原産
学名 Papaver rhoeas もしくは    Papaver humile
高さ20から50pになり、花茎は10から15p。葉は互生し、羽状に深裂する。花弁は深紅色で基部が黒色になる個体もある。株全体に粗毛がある。乾燥地 を好んで生育して花後に枯死する。花が美しく、園芸用に多数の種類のケシが栽培されるが、多くの種が地中海から西アジア原産であり、類似種が多く判別が難 しい。アヘンが採取できるケシ(ソムニフェルム種)とは違い、ヒナゲシからアヘンは採取できない。花弁の枚数は基本種は4枚だが八重咲きの個体などもあ る。栽培されていたものが逸出して、野生化している。一般的にはポピーとも言われ、学名のPapaverから来ている。日本には、黄色の花を咲かせるチシ マヒナゲシ(P.miyabeanum)、リシリヒナゲシ(P.fauriei)が北海道や利尻島の高山に分布する。
 

ゼニアオイ   (アオイ科 ゼニアオイ属)  一年草または多年生草本  ヨーロッパ原産
学名 Malva sylvestris  var. mauritiana
茎は直立して下部で分岐し、高さ1m程になる。葉は互生、単葉、円形で5〜9に浅裂し、縁には鋸歯がある。長い葉柄が特徴である。花が美しいため鑑賞用に 栽培されるが、種子が逸出して野生化している場所もある。乾燥地や荒地に多く生育する。

アメリカオニアザミ (キク科 アザミ属)  1〜2年生草本  ヨーロッパ原産
学名 Cirsium vulgare
ロゼットを形成し、茎はロゼット葉の中から出て直立し、高さ150p程になる。葉は互生、単葉で羽状に深裂もしくは切れ込み、植物体全体に鋭い棘がある。 また、茎全体に著しいひれがあり、ひれにも棘がある。牧草地では強害雑草として問題になっている。日本には、ノアザミ(C.japonicum)など多く のアザミ属が自生している。アザミ属は北半球を中心に約250種が分布する。

ヤグルマソウ   (キク科 ヤグルマソウ属)  1年生草本  地中海沿岸地域原産
学名 Centaurea cyanus
株全体に白色の綿毛があり、茎は密に分岐して直立して高さ1m程になる。葉は互生、単葉で線形からひ針形、株の基部の葉は羽状に深裂し線形となり、不規則 な鋸歯を有する。野生種は濃青色から青色だが、園芸用に栽培されるため品種改良され、白、桃、赤色などの花色もある。英名は「コーンフラワー」。栽培され ていたものの種子が逸出して空地や荒地、道端で野生化しつつある。南北アメリカやニュージーランドにも帰化している。ヤグルマソウの仲間は旧大陸を中心に 世界に約450種が分布し、特に地中海沿岸からコーカサス地方に多く分布する。日本には真の自生は見られない。

バラモンジン  (キク科 ) 2年生、または多年生草本 地中海沿岸地域原産
学名 Tragopogon porrifolius
茎は太い直根から直立し、高さ70p程になる。葉は互生、単葉、線形で柔らかく、基部は茎を抱く。全体無毛で、春から夏にかけて赤紫色の舌状花からなる頭 状花を着ける。河川敷や日当たりの良い草地に散発的に見られる。北アメリカにも帰化している植物である。

ヨウシュヤマゴボウ  (ヤマゴボウ科 ヤマゴボウ属)    多年生草本 北アメリカ原産

学名 Phytolacca americana
茎は中部で分岐して高さ2mになる。葉は互生、単葉、先端の尖った広楕円形で全縁。
全体無毛で、茎や葉柄は赤紫色を帯びる。花穂は下垂する。日本には在来のヤマゴボウ(P.esculenta)が自生しているが、全体に草姿が小さく、茎 は緑色、花は白色で花穂が立つ。アメリカ、オーストラリア、アジアに広く帰化している。




サボンソウ (ナデシコ科)  多年生草本  ヨーロッパ原産
学名 Saponaria officinalis
全体無毛で分岐して直立し、高さ60程になる。葉は対生、単葉で広楕円形、全縁である。葉柄は無い。花は白色の5弁花。鑑賞用、薬用植物として導入された 植物で、人家付近などで逸出、野生化している。種小名のofficinalisは「薬用になる」の意味。


ムシトリナデシコ   (ナデシコ科 マンテマ属) 1年生草本 南ヨーロッパ原産
学名 Silene armeria
全体無毛で茎は直立して上部で分岐し、高さ70p程になる。葉は対生、単葉、楕円形で無柄。
茎の節間に粘液を分泌する。鑑賞用に導入されたが、各地で逸出野生化している。市街地や荒地、道端で普通に見られるようになっている。種子での繁殖力が強 く、都市や公園の緑化などに使用されることも多い。ユーラシア大陸を中心に世界に約500種が分布する。日本の高山帯にはビランジ (S.keiskei)、カムイビランジ(S.hidakaalpina)、南アルプス高山帯には、タカネビランジ
(S.keiskei var.akaishialpina)などが自生する。

オオキンケイギク (キク科) 多年生草本 北アメリカ原産
学名 Coreopsis lanceolata
茎は束生し、高さ30から70pになる。葉は対生、単葉で、長楕円形。根生葉は3〜5小葉に分裂し、葉柄が長い。初夏に黄色の花を咲かせる。鑑賞用に導入 され、グランドカバープラント、都市や公園、道路脇の緑化植物として利用されてきたが、繁殖力が強く、野生に逸出した個体により日本の生態系破壊の問題が 深刻化している。貧栄養地や荒地、河川敷などで群落を形成して生育しており、特に河川敷では在来の植物がオオキンケイギクに駆逐され、姿を消している。
そのため、現在では2004年に制定された「特定外来生物法」により、この植物の栽培や販売が禁止されている。北アメリカに約100種の野生種が分布す る。園芸品種も多く存在する。

ヘラオオバコ  (オオバコ科 オオバコ属) 1年生、または多年生草本 ヨーロッパ原産
学名 Plantago lanceolata
開花時は茎を多数生じ、高さ50p程になる。葉は根生し、単葉で長さ30p程になる広線形から倒ひ針形の葉を多数生じる。葉は全縁で波打ち、葉柄や葉身に 毛がある。市街地の道路や荒地に普通に見られる。葉がへらの様に幅広く、平たい事からこの名がついた。

キカラスウリ (ウリ科 カラスウリ属) つる性多年草 日本原産
学名 Trichosanthes kirilowii var.japonica
つる性で、葉は互生、単葉、6から10pの卵心形で3〜5浅裂する。葉の表面に短毛があり、濃緑色で光沢がある。カラスウリに似るが、花冠の裂片の先が広 い。カラスウリもキカラスウリも雌雄異株で、キカラスウリの開花期は7〜9月
である。

スイセンノウ (ナデシコ科 センノウ属) 2年生または多年生草本 南ヨーロッパ原産
学名 Lychnis coronaria
茎は直立して上部で分岐して、高さ60p程になる。全体に白色の綿毛がある。葉は対生、
単葉、全縁で長楕円形である。根生葉は有柄、茎生葉は無柄でともに全縁となる。夏から秋にかけて紅紫色の5弁花を咲かせる。園芸植物として導入されたが、 逸出したものが野生化している。日本にはフシグロセンノウ(L.miqueliana)、マツモトセンノウ(L.sieboldii)、オグラセンノウ (L.kuisiana)、エンビセンノウ(L.wilfordii)、センジュガンピ(L.gracillima)が分布しており、古くより茶花として 栽培されてきた。世界に約30種が分布する。



フランスギク  (キク科 キク属) 多年生草本  ヨーロッパ原産
学名 Chrysanthemum leucanthemum
茎は基部で分岐して直立し、高さ30から80pになる。葉は互生、単葉、へら形で鋸歯がある。根生曜葉があり、さじ形で長さ6から9p、鋸歯や粗い毛があ る。ロゼットを形成して越冬する。
開花期は6月。鑑賞用に栽培されていたものが各地で野生化している。園芸的に出回る「シャスターデージー」はこのフランスギクと日本に自生するハマギクの 交雑種である。

ギンパイソウ   (ナス科  アマモドキ属) 多年生草本  南アメリカ(アルゼンチン)原産
学名 Nierembergia repens
茎はほふく性で、高さは5p程。葉は互生、単葉で全縁。葉柄は長く、葉の形は楕円形〜へら形。花は白色で中心部は黄色で、開花期は初夏から夏にかけて。や や湿り気味の土質を好む。
園芸植物として栽培され、特に草丈が低いことからグランドカバープラントとして利用されている。
夏の園芸植物「ニーレンベルギア」の仲間である。


ビロードモウズイカ  (ゴマノハグサ科 モウズイカ属) 2年生または短命な多年生草本
地中海沿岸地域原産
学名 Vervascum thapsus
茎は分岐せずに直立して、高さ1〜2mになる。植物体全体に白色の綿毛がある。葉は互生、単葉で全縁。根生葉は長楕円形で30p以上になり、ロゼットを形 成する。茎生葉は無柄で基部は茎に流れる。乾燥に強い反面、多湿には弱い。
開花期は夏から秋で、黄色の花を密に穂状に咲かせる。花冠は5裂する。鑑賞用として導入されたが、種子を豊産するため各地で逸出して野生化している。河川 敷や道端、市街地の空き地などで普通に見られる。地中海沿岸から、西アジア、中央アジアにかけて250種を超える野生種が分布する。


ウラジロモミ  (マツ科 モミ属) 常緑高木 日本に自生
学名 Abies homolepis
常緑高木で、樹高は30〜40mになる。葉は線形で互生し、長さ1.5から2.5p、幅2〜3o若木の葉裏は2条の純白の気孔腺がり、葉の先端は若木で2 裂し鋭く尖るが、老木だと凹形か円形である。1年枝は淡黄褐色で毛がない。樹皮は灰褐色で、麟片状にはがれる。花は単性で雌雄同株。本州から四国の山地帯 上部に自生する。果球は円柱形で7〜12pの暗青紫色。円錐形の樹形が美しいことから、シンボルツリーとして公園や庭木に使われるが、大気汚染や高温に弱 い。日本にはウラジロモミの他に、モミ(A.firma)、シラビソ(A.veitchii)、オオシラビソ(A.mariesii)
が分布している。北半球の温帯から、寒帯に多くのモミ属が分布する。







































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