ミツマタ 信州大学松本キャンパス生協前広場の花壇にて撮影 |
・ミツマタ ジンチョウゲ科ミツマタ属 単葉 落葉 互生 低木 まず、私が植物生態学ゼミで紹介した2種を紹介します。 初めに紹介した木はミツマタです。このミツマタは樹皮の繊維がとても強いため、和紙の原料となります。このミツマタで作られた和紙は身近な所でお札に 使われます。実際にこのミツマタを手でちぎろうとしてみると、木質の部分は比較的簡単に折ることができるのですが、樹皮の部分は全く歯が立たず、刃物でな いと切ることができません。この樹皮の部分を思いっきり引っ張ると、樹皮が取れ、中からきれいな白い木質の部分が出てきます。このきれいな木質の部分はフ ラワーアレンジメントに使われたりするらしいです。 |
ミツマタの名前の由来は、枝が全て3つに分かれており、三股になっていることからきています。右の写真
を見てもらえばわかると思います。葉だけではぱっとしないミツマタにとってこの枝のつき方がミツマタを特定する重要な特徴と言えます。 |
ミツマタの3つに分かれた枝 |
アセビ 信州大学松本キャンパス生協前広場の花壇にて撮影 |
・アセビ ツツジ科アセビ属 単葉 常緑 互生 低木 次に紹介した木はアセビです。このアセビは漢字で「馬酔木」と書きます。なぜ馬が酔う木という漢字がアセビに当てはめられたかというと、この木には毒 があり、この木を馬や鹿が食べると、毒で酔ったようになるためです。昔はアセビの毒を利用して、枝葉を煎じたものをうじ殺しや殺虫剤に使いました。ツツジ 科の植物は毒を持っているものが多いため、決して口にしないようにしましょう。 |
・リョウブ リョウブ科リョウブ属 単葉 落葉 互生 高木 ここからは私に馴染みのある樹木を紹介します。 リョウブは夏緑樹林帯の代表的な木です。リョウブの樹皮はまだらに剥がれ、剥がれたところはつるつるしています。新芽は山菜として天ぷらなどで食べる ことができます。葉は写真のように枝の先に集まってつきます。 |
リョウブ 信州大学松本キャンパスあづみホール周辺にて撮影 |
シナノキ 信州大学松本キャンパス内にて撮影 |
・シナノキ シナノキ科シナノキ属 単葉 落葉 互生 高木 シナノキは花が特徴的で、咲くと花序に黄緑色の葉のような総苞葉というものをつけます。総苞葉には果実を風によって運ぶ役割があります。花にはよい香り があり、はちみつがとれるそうです。このシナノキは昔、長野県で多く生産されたので、しなのの国と呼ばれるようになったそうです。 |
・カツラ カツラ科カツラ属 単葉 落葉 対生 高木 カツラは夏緑樹林帯の代表的な樹木で、白山というところではとても大きなものを見ることができます。このカツラが落葉すると、そのあたりは醤油せんべい のようないい匂いがします。写真のように、葉の形や葉が対生しているところで簡単に見分けることができます。 |
カツラ 信州大学松本キャンパス生協前広場にて撮影 |
コナラ 信州大学松本キャンパス医学部保健学科棟付近にて撮影 |
・コナラ ブナ科コナラ属 単葉 落葉 互生 高木 とてもベタな木です。コナラはいわゆるどんぐりの木です。どんぐりをつける木は他にミズナラやアラカシ、シラカシなどがあります。コナラのどんぐりの 傘は鱗状になっています。木材はしいたけの原木として多く利用されるほか、薪や炭に使われたりします。ミズナラとよく似ていますが、ミズナラは葉柄がほと んどなく、葉の細いところと太いところの幅の差が大きいところで見分けることができます。 |
・クヌギ ブナ科コナラ属 単葉 落葉 互生 高木 クヌギもどんぐりをつけます。クヌギのどんぐりはよくどんぐりごまにされるようなまん丸で大きいものです。このクヌギもしいたけ原木に使われますが、樹 皮がコナラよりも厚いため、なめこ栽培によく使われます。葉は次に紹介するクリと似ていて、なかなか見分けがつかないのですが、鋸歯の先に葉緑体がある方 がクリ、ない方がクヌギというふうに見分けたり、写真を見ればわかるように、葉のつき方がクリは枝に対して2方向に出ていますが、クヌギは枝に対してたく さんの方向から出るというところも見分ける特徴です。とても近い種にアベマキというものがありますが、アベマキは葉の裏に毛を密生させ、灰白色なのですぐ に区別することができます。 |
クヌギ 信州大学松本キャンパス医学部保健学科棟付近にて撮影 |
クリ 信州大学からこまくさ寮へ帰る途中の道にて撮影 |
・クリ ブナ科クリ属 単葉 落葉 互生 高木 クリの材は腐りにくく丈夫なため、電車の枕木に使われます。また、花には独特な匂いがあります。クヌギのところでも説明しましたが、葉はクヌギとよく似 ており、見分けるのが難しいのですが、クリには鋸歯の先に葉緑体があるのと、葉のつき方が枝に対して左右2方向に出るというのが見分けるポイントです。 |
・シラカシ ブナ科コナラ属 単葉 常緑 互生 高木 シラカシは照葉樹林帯の代表的な樹種で、私の地元の岐阜県には多くあります。材はとても硬く、重いです。似たものにアラカシという木がありますが、アラ カシの葉はもう少し幅が大きい傾向にあります。この木もどんぐりをつけますが、コナラやミズナラと違って、どんぐりの傘は同心円を描いたおわんになってい ます。 |
シラカシ 護国神社境内にて撮影 |
ツブラジイ 岐阜県岐阜市金華山にて撮影 |
・ツブラジイ ブナ科シイノキ属 単葉 常緑 互生 高木 ツブラジイは照葉樹林帯の極相林を構成する木です。この写真は岐阜県岐阜市にある金華山というところで撮ったものです。この金華山はツブラジイの極相林 で、たくさんのツブラジイが自生しています。ツブラジイと似たものにスダジイというものがありますが、スダジイの方が葉やどんぐりが大きいです。このツブ ラジイのどんぐりは日本一美味しいどんぐりで、生でも美味しく食べることができます。私の認識では食感はどんぐりで、味はクリより甘味が少し劣るといった 感じです。また、スダジイも同じように美味しく、どんぐりも大きいので、食べるならスダジイをおすすめします。生で食べるよりも、少し炒ってから食べると 美味しいです。 |
・ケヤキ ニレ科ケヤキ属 単葉 落葉 互生 高木 ケヤキは街路樹によく使われる木です。信州大学にも多く植えてあり、とても身近な木です。ケヤキは高校時代に一番最初に紹介してもらった木で、個人的に とても好きな木です。ケヤキの材はとても良質なので、表札に使われたりします。 |
ケヤキ 信州大学松本キャンパス北門付近にて撮影 |
ケヤキの大木と私 長野県茅野市諏訪大社上社前宮にて撮影 |
また、左の写真のようにとても大きくなります。 この写真は信州大学のオープンキャンパスに行った時に寄った長野県茅野市にある諏訪大社上社前宮で撮ったものです。ちなみにケヤキに背を向けて大の字に なっているのは私です。 |
・ミズメ カバノキ科カバノキ属 単葉 落葉 互生 高木 ミズメの葉は、写真のように短枝には2枚が対生状につくのが特徴です。ミズメといえば、サロンパスの匂いがすることで有名です。ミズメの枝をかじってみ ると、サロンパス独特のあの匂いが口に広がります。この匂いの成分はサリチル酸メチルというもので、山で疲れた時はこのミズメの枝を噛めば疲れがとれるか もしれません。 |
ミズメ 信州大学松本キャンパス全学教育機構付近にて撮影 |
シラカンバ 群馬サイクルスポーツセンターにて撮影 |
・シラカンバ カバノキ科カバノキ属 単葉 落葉 互生 高木 シラカンバはシラカバとも呼ばれ、陽性が強いため冷温帯樹林の先駆種的な存在です。写真のように樹皮が白いのが特徴的で、森の中に生えていると、目立っ て見えます。また、このシラカンバは長野県の県木となっており、多く見ることができます。亜高山帯や亜寒帯ではダケカンバというシラカンバに似たものが生 えていますが、こちらの樹皮は白色ではなく肌色っぽいため、すぐに見分けることができます。 |
・クロモジ クスノキ科クロモジ属 単葉 落葉 互生 低木 クロモジの材は高級な爪楊枝に使われます。なぜかというと、クロモジには良い香りがあるためです。枝を噛むとさわやかな良い香りが口に広がります。クロ モジの樹皮は黒色をしていますが、若い樹皮は写真のような緑色をしています。シロモジという木もあり、そちらも同じクスノキ科です。しかし、匂いはクロモ ジよりもだいぶ劣るため、あまり利用されません。葉はシロモジの方は分裂葉で大体3つに分かれるため、簡単に見分けることができます。 |
クロモジ 信州大学松本キャンパス医学部保健学科棟付近にて撮影 |
サンショウ 信州大学松本キャンパス医学部保健学科棟付近にて撮影 |
・サンショウ ミカン科サンショウ属 奇数羽状複葉 落葉 互生 低木 サンショウはうなぎの蒲焼の臭味消しや七味唐辛子として利用されます。似たものにイヌザンショウという種がありますが、サンショウの針は対生するのに対 し、イヌザンショウの針は互生することや、イヌザンショウにはサンショウのような香りがないことで見分けることができます。 |
・ソヨゴ モチノキ科モチノキ属 単葉 常緑 互生 高木 ソヨゴには傷をつけると、その部分が黒く変色するという性質があり、火であぶると写真下のように丸く黒い輪のようなものが出てきます。この火にあぶった 時に出てくる丸 く黒い輪のようなものを死環といいます。これはモチノキ科の特徴で、この死環は植物を同定する上で重要な指標となります。ソヨゴは葉縁が波打っているのが 特徴で、慣れれば簡単に見分けられるようになります。 |
ソヨゴ 護国神社境内にて撮影 |
ソヨゴの死環
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黒い部分が死環と呼ばれるものです。この死環の写真を撮るために近くの100円ショップでライターを
買ってきました。もちろん、火であぶるのは周りが安全な場所で行いました。 |
・モチノキ モチノキ科モチノキ属 単葉 常緑 互生 高木 モチノキもソヨゴと同じモチノキ科なので、写真でわかるように火であぶったところに死環が出ています。モチノキという名前は、樹皮から鳥もちがとれるこ とからきたと言われています。写真にある緑色の果実は11〜12月に赤く熟し、鳥によって種子が散布されます。 |
モチノキの死環 信州大学松本キャンパス西門付近にて撮影 |
トチノキ 護国神社境内にて撮影 |
・トチノキ トチノキ科トチノキ属 掌状複葉 落葉 対生 高木 トチノキはとちの実で有名です。とちの実を使ったものとして、とち餅、とちの実せんべいなどがあります。小葉は写真でわかるようにとても大きくなりま す。トチノキはとても大きくなり、日本一のものでは直径が13mというものがあるそうです。葉は同じように大きくなるホオノキに似ますが、トチノキには鋸 歯があり、ホオノキには鋸歯がないところや、ホオノキの葉の裏は白いところなどで見分けることができます。 |
・ホオノキ モクレン科モクレン属 単葉 落葉 互生 高木 ホオノキは葉がとても大きいです。私の地元の岐阜県ではこの葉の大きさと香りを利用して、朴葉寿司や朴葉味噌というものを作ります。トチノキと似ていま すが、こちらには鋸歯がなく、葉の裏が白いため、慣れれば簡単に見分けることができます。 |
ホオノキ こまくさ寮付近にて撮影 |
アオキ 護国神社境内にて撮影 |
・アオキ ミズキ科アオキ属 単葉 常緑 対生 低木 アオキは陰性の強い樹種で、私の地元では林冠が閉鎖されたような真っ暗なスギヒノキの下層にたくさん自生しています。アオキは陰性が強いため直射日光に 弱く、直接日光に当たる場所では葉が黄色くなってしまいます。園芸品種には写真のように黄色い模様があるものなどもあります。2cmくらいの 真っ赤な果実がつき、とても美しいです。 |
・ノウゼンカズラ ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属 奇数羽状複葉 落葉 対生 つる性 ノウゼンカズラはとても花が綺麗です。私の実家の庭に昔からあり、私にとっては非常に馴染みのある木です。私の知り合いのしいたけを栽培している名人の 家では、樹高が20mくらいあるスギにつたっててっぺんまで届いているものがあります。花の咲いている時期は7〜8月です。よく庭などに植えられているの で、是非花の咲いている時期に見てみてください。 |
ノウゼンカズラ 信州大学からこまくさ寮へ帰る途中の道にて撮影 |
カラマツ 信州大学南箕輪キャンパス内にて撮影 |
・カラマツ マツ科カラマツ属 針葉 落葉 高木 カラマツは落葉する針葉樹です。落葉する針葉樹というのはあまり多くなく、珍しいです。落葉する針葉樹はカラマツの他に、メタセコイアやイチョウといっ たものがあります。この木はとても陽性の強い木で、日差しが強く土が乾きやすいような土地がニッチです。この写真は信州大学の農学部のキャンパスである南 箕輪キャンパスで撮影したものです。 |
・スギ スギ科スギ属 針葉 常緑 高木 私の地元ではこのスギの人工林が多くあります。花粉症の原因であるスギ花粉は、私のところでは春になるとすぐ近くで飛んでおり、花粉症の私にとってはと ても辛いです。しかし、信州はあまりスギがないので、今年の春はあまりひどくありませんでした。この写真のスギは約100年生です。高校時代はよく演習林 へ行き、スギ人工林の調査や間伐を 行っていました。様々な思い出のある木です。 |
スギ 岐阜県本巣市にて撮影 |
コウヤマキ 護国神社境内にて撮影 |
・コウヤマキ コウヤマキ科コウヤマキ属 針葉 常緑 高木 コウヤマキは木曽五木の中の一つとして有名です。木曽五木とは江戸時代に木曽谷で伐採が禁止された木で、ヒノキ、アスナロ、ネズコ、サワラ、コウヤマキ の5つをさします。コウヤマキという名前は高野山に多く生えていたからと言われています。葉が特徴的で、見分けるのは簡単です。材には甘い香りがあり、高 校時代に先生がもらってきたコウヤマキのかんなくずの匂いを嗅がせてもらったことを思い出します。 |