松本キャンパスで出会える植 物。
           植物生態学ゼミで出会った、たくさんの植物から、私のお気に入りを紹介します。                                農学部 森林科学科 岩崎千鶴 

 
<アンズ> 左図
バラ科の植物で、落葉高木。樹高は5〜15mにもなります。
葉は、単葉で互生。葉の表面は無毛ですが、裏面の脈腋に毛が生えています。
鈍鋸歯で、葉の根元に黒い2つの点、”みつ腺”があります。
花期は3月〜4月。淡紅の花を咲かせます。
初夏にはウメによく似た実をつけます。

そしてもちろん、食べれます!
熟せば、生食もできますし、果実酒にしたり、ジャムにしたりと食べ方はいろいろ。
種子は杏仁(きょうにん)と呼ばれる、咳止めや風邪予防の生薬になり、字からわかるように、杏仁豆腐のあの独特な風味を出すときにも使われます。

英名はアプリコット
中国が原産の事から、別名で唐桃(カラモモ)とも呼ばれます。





左の写真が実です。
まだ全然熟しておらず、緑色で固いです・・・。

しかし、おいしそうに色づいているものを発見!
桃のような、なんとも美味しそうないい匂いがします。
表面にはやわらかい毛が生えていて、本当に桃のよう。


ガリッ!!!!!!!!


うわっ!すっぱ!!!!!

思わずちょっと齧ってみましたが、まだま だ熟しが足りなかったらしく、固いやら酸っぱいやら・・・。熟すにはもう少しかかるようです。
<マツバギク> 右図
ハナミズナ科の多年草の種のひとつ。
南アフリカが原産。
葉が肉厚で、マツの葉に似ているところから「マツ」、花の形がキクに似てい る事から「キク」、よって「マツバギク」という名前がついた。決して、キク科やマツ科ではありません。
紛らわしい名前ですね!

高温や乾燥に非常に強く、、大きい群落になるので、路地の花壇や石垣などに栽培され、野生化することもしばしば。








右図のように、群生します。
キャンパス内にあったマツバギクは、ピンクと紫の中間のような色をしていましたが、ピンクや白、黄色などのマツバギクもあります。

<ツタ> 左図
ブドウ科ツタ属の落葉つる性木本。
葉は単葉で互生しますが、若い時は3出複葉です。
葉の表と裏ともに葉脈上に毛が生えています。鋸歯はかなりするどいです。
緑色の花弁を持つ、小さい花をさかせ、紅葉もします。

つるには巻きひげがあり、先端に吸盤があります。
この吸盤でコンクリート等に張り付くのですが、かなり強力で、無理やり引き抜こうとすると、吸盤だけがぽつぽつと残ります。

左図の膨らんでいる部分が吸盤です。
(Wikipediaより転載)




なにより興奮するのが、左図、このの部分!
石壁の本当に小さな隙間から、何十本もの根が伸びているのです!
生物の力強さと、美しさを感じずにはいられません!



<エノコログサ> 右図
これはみなさんも本当によく見かけるのではないでしょうか。
別名「ネコジャラシ」。
イネ科エネコログサ属の1年生草木です。ブラシのように毛の長いふわふわの穂が特徴的ですね。

全世界の温帯に分布します。日本でも全土の日当たりのよい畑地、荒地に分布しています。



この穂が「犬の尾」に似ているとこから、「犬っころ草」と呼ばれるようになり、それがだんだんと変化して「エネコログサ」という呼称になったといわれてい ます。

そして、一般的に知られていませんが、食べれます!
エネコログサは栗の原種であるため、昔は食用とされていました。
穂や葉を軽くあぶって、醤油で味付けしたり、てんぷらにしたりして食べていたそうです。味はポップコーンに酷似しているとか・・・。
涎がでちゃいますね!





<アジサイ> 左図
梅雨と聞くと、この花をイメージします。
ユキノシタ科の落葉低木です。
葉は対生で、光沢をもち、葉脈がはっきりした卵形をしています。
鋸歯は重鋸歯です。
一般に花といわれている部分は装飾花で、おしべとめしべが退化していて(中性花)、花びらに見えるものは萼(がく)です。

花期は6月〜7月。梅雨ですね。




アジサイは土壌のpH(酸性度)によって花の色が変わります。
一般に「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になると言われていますが、これは土壌とアルミニウムイオン濃度が関係しているそうです。
詳しくはWikipediaさんに聞いてみてください。

キャンパス内にあるアジサイは左図のように青紫なので、土壌は酸性ということになります。


<サツキツツジ> 右図
ツツジ科。他のツツジに比べて、一か月ほど遅い、旧暦の5月(皐月)のころに一斉に咲きそろう事から、この名前がついたといわ れています。

ツツジ類としては、葉が固くて小さく、地に這う性質が強くみられます。

葉の裏には毛が生えており、蒸散を行う際に毛が空気の層を作って、蒸気を逃がしにくくしています。


合弁花で、めしべが1本、おしべが5本あります。


ツツジの特徴としては、花を上手に採ると花片の下から蜜を吸うことができることが広く知られています。私も、小学生の時はよくツツジを咥えておやつにして いました。
しかし、レンゲツツジには、致死性になりうる毒があるにも関わらず、庭木として利用されることもあるので事故を避けるために注意しなければならないそうで す。





<トウダイグサ> 左図
トウダイグサ科、トウダイグサ属の植物です。
漢字では「燈台草」と書きます。
字面通り、全体の形が油を入れた皿を置く昔の燈台の形ににている事から名づけられました。
日当たりのよい畑や道端などに生える、越年草です。

緑色なので、他の植物と一緒になっているとなかなか見つけづらいですが、変わった形なのでわかる人が見ればすぐわかります。

トウダイグサ属の特徴として、茎や葉を切ると白い乳液を出します。
それに触ると、肌がかぶれる事があるので、注意が必要です。

いかがでしたか?私が紹介した植物の中には、みなさんが普段見慣れているものがあったと思います。
けれど、名前を言えるものはいくつありましたか?

「雑草という名前の草は無い」
これは昭和天皇が残した言葉です。

すべての植物には、きちんと名前があります。特徴があります。
普段生活している中で、「あれ?この草なんだろう?この花なんだろう?」と、疑問に思ってみてください。調べてみてください。

植物と向き合ってみてください。毎日がちょっとずつ楽しくなりますよ!






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