前期 植物生態学ゼミ

医学部医学科 小松大介

松本キャンパス内で見かけた草花を紹介します。



オオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科)
ヨーロッパ原産の植物。外来種として世界各地に帰化している。
早春にブルーのかわいらしい花を咲かせる。花は左右対称で、葉には鋸歯がある。
名前の由来は、果実の形が犬の陰嚢(ふぐり)に似ていることから。


ムラサキツメクサ(マメ科)
ヨーロッパ地方原産。アカツメクサとも呼ばれる。
シロツメクサとよく似た形の花や葉をつけるが、花が赤いことと、茎が高く伸びること、葉がややとがった形をしているのが特徴。
日本には牧草用、家畜肥料用に輸入され、今では各地に帰化している。

シロツメクサ(マメ科)
ヨーロッパ原産。いわゆる「クローバー」である。
アカツメクサと違い、花は白く、茎が地面を這うように伸び、葉は丸みを帯びた形をしている。
ちなみに「ツメクサ」の名前の由来は、ガラス器を船で運ぶ時に間に詰めて緩衝材にしたことから来ていて、漢字では「詰草」と書く。


マツバギク(ツルナ科)
南アフリカ原産。肉厚で棒状の特徴的な葉をつける。
高温、乾燥に非常に強く、路地の花壇や石垣で観賞用に栽培され、それが野生化したものがキャンパス周辺の至る所でみられる。
名前の由来は、葉が松の葉に、花が菊の花に似ていることからであるが、菊の仲間ではない。

エノコログサ(イネ科)
全世界の温帯に生育している一年草。日本でも各地の荒れ地で見かけることができる。
名前の由来は「犬っころ草」からであり、穂が子犬の尻尾に似ていることから。よく「猫じゃらし」と呼ばれる植物がこれである。
一般には食用ではないが、穂は軽くあぶったり、天ぷらにしたりすることで食べられる。また、オオエノコロ、キンエノコロといった類似の種も数多く存在す る。


ヒゲナガスズメノチャヒキ(イネ科)
原産はヨーロッパ地中海沿岸。各地の荒れ地などで見られる。
先端の穂は多数の花を含む小穂からできている。穂に長い毛があるのが特徴で、名前の由来である。
日本では割とよく見かけるタイプの雑草である。牧草として使われている場合も。ただし沖縄県には類似の種を含めほぼ全く見られない。

ムギクサ(イネ科)
ヨーロッパ原産。日本には明治初期から帰化している。
写真は穂だけであるが、イネ科特有の50cmほどの細長い茎と細い葉を持つ。写真のように穂はオオムギに非常によく似ていて、種類的にも近く、オオムギの 品種改良に利用されることもある。
オオムギとの違いは穂の柔らかさなど。ムギクサのほうがはるかに柔らかい。全国的にみられる雑草の一つである。


ツタ(ブドウ科)
北アメリカ原産。原産国には数多くのツタ植物があるが、日本で幅広くみられるのはツタのみである。
名前のように、壁や木などの表面をつたうようにツルを伸ばす。ツルの先は巻いたひげのようになっていて、そこにある吸盤で壁や木に貼り付くことができる。
樹液は日本で古来より甘味料として利用されてきた。

アジサイ(アジサイ科)
アジアや北アメリカに約40種が生育する。日本には10数種類が生育。
名前の由来は、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさあい」から。花には両性花と装飾花があり、両性花には生殖機能があるが、装飾花はおしべとめしべ が退化している。花のように見えている部分はほとんどが装飾花である。
生えている土壌のpHによって花の色が変化し、酸性だと青、アルカリ性だと赤っぽい花となる。


オオキンケイギク(キク科)
北アメリカ原産。日本では外来種として野外に定着し、在来種を脅かすとして問題となっている。
開花時期は5〜7月。コスモスに似たきれいな黄色の花を咲かせる。その見栄えや、冬の優れたグランドカバー効果のため多く植えられたが、あまりに強靭なた め在来種を駆逐する恐れがある。
現在では「特定外来生物」に指定され、栽培も禁止されている。

ハルジオン(キク科)
北アメリカ原産。大正時代中期に観賞用として日本に入ってきた。
茎は30〜80cmほどで、枝分かれせずまっすぐ伸び、先端でいくつかに枝分かれして、白くて細い花びらのヒマワリのような花をつける。
類似種にヒメジョオンがある。ハルジオンは花が一回り大きく、、茎の丈が低く、根元に葉がある。つぼみが下を向いているのも特徴。また、茎を折ってみる と、ヒメジョオンの茎には空洞がないが、ハルジオンの茎には真ん中に空洞がある。


カラスノエンドウ(マメ科)
原産は地中海地方。正式名称はヤハズエンドウ。
春には茎が1mを超えるほどになり、エンドウに似た赤紫色の花をつける。茎の先端は巻いたツルのようになっている。豆の部分は熟すと黒くなって、晴天の日 にはじけて種子を飛ばす。
類似の種にスズメノエンドウやカスマグサなどがある。カラスノエンドウは大きく少数の花をつけ、スズメノエンドウは小さく多数の花、カスマグサはその中間 である。(カラス、スズメの「間(ま)」というのが名前の由来。)

カタバミ(カタバミ科)
北アメリカ原産。日本全土に分布していて、葉の形からよくクローバーと間違えられる。
花は鮮やかな黄色で、5枚の花弁を円状につける。葉はハート形で、夜になると葉が中央で折れるように閉じる。これが葉が半分なくなったように見えることか ら「片喰」の名がついたといわれている。
葉や茎は噛むと酸っぱく、「酢漿草」という生薬にも利用されている。効能は消炎、解毒、下痢止めなど。

まとめ・感想

いかがだったでしょうか。自然がいっぱいの信州の松本キャンパスには本当にさまざまな植物があり、信州ってすごいなと改めて実感させられました。
ふだんこんなに植物と間近に接し、詳しく調べる機会はあまりないので、このゼミの活動は非常に興味深いものになったと思います。




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