信州大学教育学部
丸山彩穂


キャンパス内の草木花

植物の生態を勉強してきて3か月。その中で、私が気に入った植 物を紹介します。

ザクロ (左:花 右:葉)

ザクロ科ザクロ属の落葉小高木。日当りのいい場所を好みます。
葉は対生で長楕円または倒卵状長楕円形。葉の先端部分は尖っています。滑らかでツヤがあり、無毛またはごく僅かに毛があります。
花は鮮紅色で、花弁・萼ともに6枚ずつあります。6〜7月が開花期です。
雄しべは大量にあり、中を覗くとちょっと気持ち悪いかもしれません(私は一瞬ぞ わっとしました)。
子房が下位にあり、受粉するとそこが大きく膨らんで、中に大量の実がなります。その様子から、豊穣や子宝に恵まれる吉木とされます。※ 一部の地域では凶事を招くとも言われます。
日本では現在、庭木や盆栽などの観賞用として栽培されることが多いです。
原産地は、小アジア〜アフガニスタン、ヒマラヤです。
中国では、古くから漢方や食用として用いられ、日本へは平安時代に渡来したとされています。

仏教でもザクロを持っている某神がいますが、昔は「某神が持っている=ザクロは人肉の味」という認識だったとかなんとか。
フゲンゾウ (左:花 右:断面図)

バラ科サクラ属の落葉高木。ヤエザクラとも言われます。
葉は重鋸歯で互生、形は楕円形です。
通常、バラ科の植物は花弁5枚・萼5枚ですが、フゲンゾウの場合は大輪で30〜40もの花弁をもっています。
開花期は4月下旬あたり。しかし雌しべは葉のようになっていて、到底受粉なんてできません。
“花を咲かせること”だけに命を懸けているような花です。

フゲンゾウを漢字で書くと“普賢象”となります。
葉化した2本の雌しべが、普賢菩薩の乗る象の牙に似ているから、この名がつけられたそうです。
実際に普賢菩薩の乗る象を検索してみてください。少しは頷けると思います(正直、何 故普賢菩薩でなくてはいけなかったのか、あまり理解できませんでした)。
室町時代には既にあったとされている、かなり歴史の古い植物です。
ハナミズキ (左:花と苞 右:幹)

ミズキ科ヤマボウシ属の落葉(小)高木。花が目立つためにハナミズキと呼ばれます。
が、花に見える白い部分は苞です。本物の花は中央の緑色の物体。小さいです。
因みに萼の色は、白や薄いピンクなどがあります。この写真では白ですね。
別名アメリカヤマボウシ。その名のとおり、原産地はアメリカです。日本の在来種であるヤマボウシににているために、この名前がついたのだそうです。
葉は対生で、葉の裏側の葉脈上には毛が生えています。また、葉脚は左右非対称の広い楔形です。
今日では、一般に街路樹や庭木に用いられています。

ヤマボウシとハナミズキの違いなのですが、まず樹皮が違います。樹皮が鱗状(写真参照)であればハナミズキ、斑模様であればヤマボウシです。
また、萼の形も微妙に違います。ハナミズキは丸っぽい形をしていますが、ヤマボウシは先が尖り、また大きさも小さめです。
アジサイ (左:全体 右:葉)

ユキノシタ科アジサイ属の植物。集合花。単鋸歯があります。
葉は対生ですが、下の葉に対して約90度ずれた形で、次の葉が出てきます。ジグザグジグザグ。
実は葉脈もジグザグ。互生のように、互い違いになっています。そして、平行脈であるのに葉の形に沿っているために、パッと見ただけでは平行脈とは分かりづ らいです。
花弁に見える部分は苞。花はその真ん中にあります。上記のハナミズキと同じ形態です。
苞は、植えられている土壌のPH濃度(酸性かアルカリ性か  主に原因はアルミニウム)によって、その色を変えます。酸性に近いほど青、アルカリ性に近いほど赤になります。
日本の土壌は大体酸性らしいので、恐らくですが青いアジサイが多いのでしょう。調べてみると面白いかもしれません。

アジサイは、日本原産のガクアジサイと、ガクアジサイを改良したセイヨウアジサイなど、種類は様々なようですが、今日最も多く植えられているのはセイヨウ アジサイです。
ナガハグサ (左:先端部 右:下部)

イネ科イチゴツナギ属の植物。イチゴツナギという植物に似ています。
ヨーロッパ原産で、日本には明治時代に、牧草として輸入されました。今では野生化し、完全に雑草です。花の時期は5〜7月。
葉は茎を取り巻くようにして生えます。風媒花で、6月辺りにイネ科の花粉症を持っている人が苦しむ原因をつくります。
因みに、ナガハグサとは言いますが、長いのは茎です。葉の写真を見ればわかると思いますが、葉はも のすごく小さく短いです。どこが「長葉草」だ。
イネ科の植物の特徴として、葉に葉舌というものがあります。ナガハグサは葉舌が短く、イチゴツナギは葉舌が長いです。また、イチゴツナギは茎がざらざらし ていますが、ナガハグサはつるつるしています。これも見分けるポイントです。

余談にはなりますが、ここまで比較してきたイチゴツナギの名前は、昔ヘビイチゴなどをくっつけて遊んでいたところから付けられたそうです。そのまんますぎ る。
オオイヌノフグリ (左) と タチイヌノフグリ (右)


最後に、似た植物を並べてみました。
どちらもオオバコ科の二年草。見た目もとてもよく似ていますが、オオイヌノフグリには花柄があり、タチイヌノフグリにはありません。また、オオイヌノフグ リは地面を這うように茎をのばしますが、タチイヌノフグリの茎は立ち上がります。
花の大きさは、オオイヌというくらいですので、オオイヌノフグリのほうが大きいです。タチイヌノフグリは花柄がない分、更に目立ちにくくなっています。ま た、花の時期もオオイヌノフグリの方が早いです。
葉なのですが、これは少しずつ違います。オオイヌノフグリは下部が対生、上部に行くと互生になり、形は卵状広楕円形で鋸歯を持ちます。タチイヌノフグリは 対生で大きな鋸歯を持ち、葉の形が下部では広卵形、上部に行くほど小さくなり、やがて苞になります。

違いもありますが、果実の形はどちらも同じ「犬のフグリ型」です。
また原産地も同じ、ユーラシア・アフリカです。

いかがでしたか?以上で紹介を終わります。


トップに戻る