農学部森林科学科 日高芙美です。
信大(松本キャンパス)周辺の植物を紹介します。





フゲンソウ(バラ目バラ科サクラ属)
学名:Cerasus×lannesiana Carriere,1872`Alborosea'
花は重弁であり、大輪の花を咲かす。4月の下旬に最盛期を迎える。花は初めは薄紅色をしており、徐々に白くなっていく。
最盛期を過ぎると次第に花の中心部が赤く染まる。
雄しべが花の中央から2本出ており、細い葉のように葉化している。この雄しべが普賢菩薩の乗る普賢象の鼻に似ていること
からこの名前がつけられた。桜より咲き始めが2週間ほど遅い。野生の山桜に対して人里の桜ということから「里桜」とも呼ばれる。
また花の形から「牡丹桜」とも呼ばれる。




ミツマタ(フトモモ目ジンジョウゲ科ミツマタ属)
学名:Edgeworthia chrysantha Lindl.1846
落葉低木であり、中国中南部、ヒマラヤ地方原産。皮は和紙の原料として用いられる。低木で
枝が3本ずつに分かれているため「ミツマタ」と呼ばれる。植えてから伐採まで3年ほどかかる。
ジンジョウゲと同じように花には花弁がなく、花弁に見えるのは萼片である。
花は良い香りがし、黄色い色をし密集しているが、よく見ると4枚の萼片を持つ花の集まりである。
葉は細長い楕円形で互生である。葉の表面は鮮やかな緑色で裏面には毛が密集している。


アセビ(ツツジ目ツツジ科アセビ属)
学名:Pieris japonica
常緑低木で日本に自生し観賞用に植栽される。馬酔木の名は馬が葉を食べれば毒(アセボチンという有毒成分)にあたり、
酔ったようにふらつくようになる木ということに由来している。樹高は通常3m程度に収まるが
山地に自生していて年を経たものは6mもの高さに達するものもある。
葉は濃いグリーンで光沢があり、春につぼ型の花を房状にたくさんつけ、満開になると花穂が
樹を覆うように咲く。新芽は柔らかな光沢のある赤色で、葉は互生単葉鋸歯で、かつては煮出して殺虫剤としても利用されてきた。
アセビの仲間は世界に約10種が分布しており、外国産種も数種栽培されている。


ユキヤナギ(バラ目バラ科シモツケ亜目シモツケ属)
学名:Spiraea thunbergii
落葉低木で別名にコゴメバナ、コゴメヤナギなどがある。丈夫で適応力が強く病害虫が少ない。枝が弓状に湾曲して真っ白い花を咲かせる
ため、ユキヤナギと呼ばれる。ヤナギのように枝が垂れているというだけでヤナギの仲間ではない。
花は4月頃が見頃で葉が出る直前〜同時期に咲く。大きさは7〜8mm程で小さく、色は純白で枝を埋めるほどたくさんの花をつける。
花後に若い枝が出てきて秋頃まで枝分かれしながら伸びていき、その枝に翌年花が咲く。晩秋には葉が黄色〜赤に色づいて落葉する。
つぼみがピンク色の「フジノツボミ」という品種もある。






アメリカヤマボウシ(キク類ミズキ目ミズキ科ミズキ属)
学名:Cornus florida L.
葉は単葉で対生。落葉高木で葉は枝先に集まってつく。
葉身は楕円形または卵円形(卵状楕円形〜卵円形)で縁は全縁で少し波打つ。
葉の裏面は粉白色で葉脈上に毛がある。葉先がとんがり、葉脚は左右不同の広い楔形である。
別名ハナミズキで、ミズキの仲間で花が目立つことに由来している。葉が展開する前か同時に開花する。
花の色がピンク、白、赤の品種がある。花弁に見えるのは総苞片で、先がへこむのが特徴。本当の花は
総苞片の中心に小さな花が20個ほど集まって咲く。9〜10月には真っ赤な果実がつく。
樹皮は長方形の深い割れ目が入り、カチノキと似ている。











カタバミ(カタバミ目カタバミ科カタバミ属)
学名:Oxalis corniculate L.
高さ10〜30センチの多年草で世界の温帯から熱帯に広く分布する雑草。和名は傍喰(かたばみ)
で、葉の一端がかじられたようであるからと言われているが明らかではない。茎は地を這って広がり、
長い柄の先にハート形の3個の小葉をつける。小葉は昼に開き、夜に閉じる。春から秋にかけて、葉の
脇から花茎を伸ばし、先に1〜8個の花を散形につける。
花のあと花柄は下を向き、その先に円柱型の遡果が上向きにつき、遡果は熟すと5裂し、多数の
種子をはじき飛ばす(自動散布種子)。


















アカツメクサ(マメ類マメ目マメ科シャジクソウ属)
学名:Trifolium pratense L.
多年草で茎や葉には薄い毛が生えている。葉の中央には白いV字型をした斑紋がある。
葉はほとんどが3枚だが、稀に4枚のものもある。デンマークでは国花になっている。
日本へは牧草として明治時代初期に渡来した。別名ムラサキツメクサという。
シロツメクサとの最大の違いは、シロツメクサは花の塊の下に長い柄があるのに対し、
アカツメクサは花の塊のすぐ下に葉がある。


ヘラオオバコ(シソ類シソ目オオバコ科)
学名:Plantago lanceolata L.
ヨーロッパ原産の雑草で、日本では帰化植物である。多年草の草本で地下に深い根茎がある。葉は細長く
長さ20cmほどになる。春から夏にかけて高さ30cmほどの花茎を出し、下部から上部へと順に開花する。
5月前後から花が咲き始め、花粉症の一つの原因と考えられる。花の中にまず雌しべが現れて雌しべが萎
えた頃に雄しべが現れ花粉を作る雌雄異熟の植物である。



















ビワ(バラ目バラ科ナシ亜科ビワ 属)
学名:Eriobotrya japonica L.
常緑高木で中国南西部原産。葉は互生で20cm前後の長楕円形で厚くて堅く、表面の葉脈ごとに波打つ。縁には
波状の鋸歯がある。花芽は主に春枝の先端につく。花期は11〜2月で白い地味な花をつける。花弁は5枚。
葯には毛が生えている。自家受粉が可能である。













ユリノキ(モクレン目モクレン科ユリノキ亜科ユリノキ属)
学名:Liriodendron tulipifera L.
落葉高木で葉の形が半纏に似ていることからハンテンボク、花が蓮の花を思わせることからレンゲボク、
花がチューリップに似ていることからチューリップツリーとも呼ばれる。背丈は15m以上になり、5月頃に
お椀のような大きな黄色い花が咲く。花は高い枝の上の茂った葉の間に咲くため目立たない。花弁は
6枚で基部に橙赤色の斑紋がある。
樹皮は若木では平滑だが、のちに不規則な裂け目ができて灰黒褐色になる。
葉は互生で、葉身は6〜15cm。主脈の先端が裂片の凹部になるのが特徴的である。












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