乗 鞍岳、上高地の植 物                                  理 学部理学科
  物質循環学コース
15S6018G 行木結希乃



 7月4日から5日にかけて、私の所属する物質循環学コースで乗鞍岳と上高地に行く機会があり、おもに標高1500メートル 以上に生息する植物を観察できたので、紹介していきます。



Ⅰ、乗鞍岳の植物
  (1) ハイマツ 
  Pinus pumila (Pallas) Regel   (マツ科)
                 

   常 緑低木樹。主幹は地を這い通常1~2m。直径5~20㎝。葉は針状で 細長く、長さ3~5㎝。長枝上の短枝はらせん状互生し、基部には赤 褐色の鱗片葉があ り、短枝には5本の葉が束生する。一年枝には赤 褐色の毛があり、花は6~7月。雄花は新枝 の基部多数側生し、雌花は頂生する。球果は長さ3~5㎝で、卵形~長楕形、翌年の9月ごろ熟 し、種子は三角状倒卵形で翼がない。北海道、中部以北の本州の高山 帯に分布している。
   

 (2) コマクサ

 Dicentra peregina (ケシ科)

      高山帯の砂礫地に生える多年草。根生葉は長さ2~6㎜、幅約1㎜の裂片に多数細裂し、長い柄がある。両面とも青白色で毛はない。7~8月、高さ5~10㎝ の花茎の先に、紫紅色を帯びて長さ約2㎝ある平たい形をした花が5~6個総状につく。花は下向きで花弁は4個、外側の2個は基部がふくらみ、先は反り返 る。内側の2個は基部で合着し、 花外に突き出る。がく片は2個。「高山植物の女王」ともよばれている。つぼみを横から見ると、馬の横顔のように見えることから、コマクサと名付けら れた。信州大学の学章にも採用されている。北海道、中部以北の本州に分布する。北海道大雪山系では、天然記念物のウスバキチョウの幼虫 の食草となってい る。花言葉は、「高嶺の花」、「誇り」、である。                                                                                                                                                                                                                                                                           
                                                              
(1) ハ イマツ           (2)コマクサ

    haimatsu                                                       
Ⅱ、上高地の植物


  (1)ニッコウキスゲ

  Hemerocallis middendorfii (ユリ科)

  高 山帯~亜高山帯~山 地の湿地に生える多年草で、高さ50~80㎝。赤褐色で紡錘形の根が多数ある。葉は根生し、下部が抱き合って左右2列になる。長さ60~70㎝、幅 1.5~2㎝6~8月、花茎の先に黄橙色で漏斗状の直径7~8㎝のがく片6個ある花が2~6個、互いに接近してつく。1日花で朝に開き、夕方しぼむ。花 の下部は長さ1~2㎝の筒。おしべ6個でめしべは4個。北海道、中部以北の本州に分布する。花言葉は、「日々あらたに」である。





  (2)ケショウヤナギ     
 
  Chosenia arbutifolia (Pallas) Skvortsov (ヤナギ科)

  落葉高木。樹高は20~30m、胸高直径は80~100㎝になる。葉は単葉で互生する。葉身は倒皮
針 形または長楕円状皮 針形で、長さ4~7.5㎝、幅は0.9~2㎝。葉柄は0.4~0.8㎝。基 部に托葉はない葉 の表面は濃緑色、裏面は淡白緑色。葉縁は細かい鋸歯があり、葉先は鋭頭または鋭尖頭となる。花は4月下旬~5月。若い枝は冬~春に紅色を帯びた粉白になる北 海道と本州(長野県上高地から梓川下流)の山地帯の川沿いに分布する。








(1)ニッコウキスゲ                  (2)ケショウヤ ナギ


    nikkoukisuge1nikkoukisuge2kesyoyanagi                                                                                                                                      

       


  (3)シラカバ   
 Betula platyphylla Sukatchev var. japonica (Miq) Hara (カバノキ科) 

 落葉高木。樹高は20~25m、胸高直径は40~50㎝になる。葉は単葉で長枝に互生し、短枝に2枚を束生する。葉身は卵 状菱形または三角状広卵形で長さ5~7㎝、幅は4~6㎝。葉柄は1~3.5㎝。葉の表面は濃緑色で無毛。裏面は灰緑色で毛は脈腋にまとまっている。葉緑は 不整の重鋸歯があり、葉先は鋭尖頭となる。葉脚は切形か浅い心形。側脈は6~8対。花は4~5月。北海道、本州(中部以北)の山地帯の陽地に生える。





   (4)ダケカンバ

 Betula ermanii Cham (カバノキ科)

 落葉高木。樹高は15~20m、胸高直径は40~50㎝になる。
葉 は単葉で長枝に互生し、短枝に2枚を束生する。葉 身は三角状卵形で長さ5~10㎝、幅は3~7㎝。葉柄は 1~3㎝。葉の表面は濃緑色で毛は葉脈上にわずかにあるがほぼ無毛。裏 面は淡緑色で、毛は葉脈上にあるが脈腋にまとまる。葉縁は不整の重鋸歯があり、葉脚は浅い心形。側脈は7~12対。花は5~6月。北海道、本州(中部以 北)、四国の亜高山帯に分布する。  




(3)シラカバ(写真左) (4)ダケカンバ(写真右)



sirakabadakekannba




   (5)カラマツ

  Larix kaempferi (Lamb.) Carrie're (マツ科)

  落葉高木。樹高は20~30m。胸高直径は50~100㎝。葉は長枝ではらせん状に互生し、短枝に20~40本の葉が束生する。葉は線形で、長さ 2~4㎝、幅は1~2㎝、長枝の葉は長く、短枝の葉は短い。横断面は扁形で一年枝は無毛。花は4~5月。雄花は葉をつけない短枝に頂生、円形~広卵型、長 さ4~6㎜。雌花は紅紫色で、10月頃に熟す。球果は球形~楕円形で、長さ2~3㎝。本州の宮城県から静岡県北部の、亜高山帯の沢筋に多くみられる。ま た、日本の針葉樹のなかで唯一の落葉針葉樹である。中国の唐絵に出てくるマツとにていることから、「唐松」とも書く。秋の落葉前の黄葉、春先の新緑の薄緑 が美しく、詩情に富んでいて詩や歌によく歌われている。





 (6)カラマツソウ
 
  Thalictrum aquilegifolium var. intermedium (キンポウゲ科)

  多年草。山地の草原や疎林中、また、高山帯にも生える。長い茎の先に、白く細い線形の小花をつける。直立し、分枝する。花弁はなく、がく片も早くに落 下する。花のように見えるのは雄しべの花糸である。花糸は先が棍棒のように肥大している。高さ約90㎝。葉は3回3出羽状複葉で互生。茎の下方の葉は有 柄、上方では無柄。小葉は広卵型で先端が丸く、3、4裂する。鋸歯はない。全体に無毛で緑白色。「唐松草」と書き、カラマツの葉のような花を咲かせること からその名前がついた。北海道から九州まで広く分布する。花言葉は、「献身」、「大胆」。



(5)カラマツ     (6)カラマツソウ
karamatsukaramatsusou