農学部農学生命科学科植物資源コース
                                           熊谷友香
                                                                            信州大学構内の花の紹介といくつかの樹木の見方




桜は、葉をつける期間が品種によって異なる。葉を付ける期間が長いものは光合成を長い期間できるので、大きい実を付けることができる。しかし、葉と同時に 花を付けるので、虫が花を見つけにくい。そのため、大きい花をつける。そして、それはヤマザクラ系の品種で、信州大学にはサトザクラがある(左上)。ま た、花が散ってから葉をつけるものは昨年のエネルギーで花をつけるため、小さな花をつける。そして虫に見つかりやすいように枝先に固まって花をつける。信 州大学では開花の早いエドヒガンがある(右上)。桜はバラ科なので基本的に花びらが5枚である。しかし、八重桜という多くの花びらをつける人口品種が存在 する(右下)。

チューリップ
ユリ科。単子葉で平行脈を持つ。花びらは6枚で、外花被片が3枚で内花被片が3枚である。
外花被片はほんとうは額で、進化してできたものである。内花被片がほんとうの花びらである。

セイヨウタンポポ。キク科。ヨーロッパ原産の多年草。花びらのように見える一つ一つがそれぞれ小さな花である集合花である。日本のタンポポとの見分け方 は、総苞外片の違いである。総苞外片とは、花の基部にあるつぼみをつつんで花を支えている部分のことである。総苞外片が直立しているのが日本のタンポポ で、反り返るのがセイヨウタンポポである。右の写真はセイヨウタンポポで、総苞外片が反り返っている。



ハルジオンとヒメジョオン。キク科。ハルジオンは北アメリカ原産の多年草。互生単葉鋸歯。葉が茎を抱き、茎の中は空洞でパイプ状になっている。花期は 5〜7月。ヒメジョオンは北アメリカ原産の1〜2年草。葉が茎を抱かず、茎の中は随が詰まっている。また、花期は6〜10月。

ナギナタガヤ。イネ科。別名ネズミノシッポ。地中海沿岸原産の1〜2年草。花が一方向に並んでいるため、薙刀のようになっている。

アヤメ。アヤメ科。葉のつきかたが文目模様になっているから、外花被片に網状の模様があるから、など、名前の由来にはいくつかの説がある。似たものにカキ ツバタとノハナショウブがある。しかし、2つとも外花被片に模様はない。2つを見分けるのは葉で、葉の中心に太い筋が通っているのがノハナショウブであ る。

ヘラオオバコ。葉の形からつけられた名前。ヨーロッパ原産の1年草で江戸時代末期に渡来した。葉の断面は四角。葉はヘラ状で、平行脈を持つ。葉の間から花 茎を伸ばし、小さな花を穂状につける。下の方から花を咲かせる。

シナノキ。シナノキ科。落葉高木樹。葉は単葉互生で、不揃いの鋭い鋸歯をもつ。何年かに一度、黄色い花をつける。その年を豊作年という。毎年実をつけてい ると膨大なエネルギーが必要とされる。そして、捕食者に食い尽くされてしまう可能性もある。そのため、実をつけるのを何年かに一度にし、また周囲のシナノ キと豊作年を同調させることで、食い尽くされるのを防いでいる。どのようにして同調させているのか、詳しくはまだ不明である。また、風散布種子で、おおよ そ実20個に対して翼1つである。


カエデ。風散布種子。ピンクのところが翼になっていて、基部に実がついている。翼が回転しながらゆっくり落ち、その落ちている間に風が吹くと遠くへ飛ばさ れる仕組みになっている。

アツバキミガヨラン。前はユリ科であったが、最近キジカクシ科になった。キジカクシ科はアスパラガスの仲間である。アツバキミガヨランの茎もアスパラガス に似ている、花びらは6枚で、内花被片が3枚、外花被片が3枚になっている。リュウゼツラン亜科で、あたたかい海岸沿いに生息していることが多い。

ザクロ。落葉小高木。トルコのイスタンブールから来た。葉は単葉で長枝に対生し、短枝に束生する。

アカマツ(左)とクロマツ(右)
アカマツは、幹肌が剥けると赤くなる。また、葉はクロマツに比べてやわらかく、触ってもさほど痛くない。クロマツは幹肌が剥けても黒い。そして葉が鋭く、 触ると痛い。



梢端枯損。
光が十分にあたる枝に葉がなく、枯れてしまっていること。5段階で判断される。原因としては、根に何らかの異常が発生していると考えられる。例として、信 州大学の図書館前の樹では、図書館の工事の際に、根を切断してしまい、梢端枯損が起こっている。切断された根の先につながっている枝が死んでおり、根が枝 につながっていることをパイプモデルという。


















































































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