農学部植物資源科学コース   茂木 環
樹木や草本まとめ
大学構内および周辺に生息する植物のうち、私が興味を 持ったものについて紹介します。
(プライバシー保護のため、写真に写った方の顔は隠しています。)
・樹木

@ コノテガシワとセンジュ

 左の木がコノテガシワ、右がセンジュです。
 ともにヒノキ科コノテガシワ属で、庭木としてセンジュの方がよく見かけます。
 コノテガシワは鱗状の葉が地面と水平に生えます。一方センジュはコノテガシワの品種改良によって生まれた種で、鱗状の葉が地面と垂直に伸びるのが特徴で す。
 手のような葉が並んでいる様が千手観音に見立てられて名前 がつきました。
A ベニカナメ(レッドロビン)

 バラ科カナメモチ属で互生鋸歯の葉をもつ常緑樹です。野生種のカナメモチを品種改良してできた種で、生け垣としてよく見かけます。特徴は枝の先にある芽 や葉が赤いこと。赤い部は今年成長した部分で、だんだんと緑色に変わってい きます。
 ちなみに樹木は一年で一節(1ファイトマー)ごとに伸び、その成長の跡は枝に残るので、枝を見ればだいたいの樹齢がわかります。
B トチノキ

 トチノキ科トチノキ属で互生重鋸歯の葉をつける落葉樹です。葉は掌状複葉で5〜7枚の小葉が集まっています。また、一番長い中央の小葉は長さが30cm 近くあります。
 絵本『モチモチの木』では豆太の好物になっているように、トチノキの実はとち餅として食用にされます。しかしトチの実にはサポニンという毒が含まれるた め、1ヶ月ほど水にさらして毒抜きをする必 要があります。
↑これが実です。
C ヒイラギ

 モクセイ科ヒイラギ属で対生の単葉をもつ常緑樹です。葉は歯牙のある姿(右側)がよく知られていますが、この葉は若い木や幹から生えた芽に見られるもの で、成長した木の葉はトゲがありません。
 ヒイラギは節分の時に鰯の頭を刺して玄関に飾ったりします。ちなみにクリスマスで飾るリースに使われているのはセイヨウヒイラギという別種です。
D モクレン

 モクレン科モクレン属で互生全縁の葉を持つ落葉樹です。
 葉は軽く波打ち、表面に光沢があります。花には濃い赤紫色の花弁が6枚、萼(がく)が3枚ついていて、遠くからでも見分けられるほど目立ちます。
 
E カエデ(イロハモミジ?)

 カエデはムクロジ科カエデ属の木の総称を指します。カエデは掌状の葉を持ち、風散布種子を持つ種類が多いです。きりもみ回転しながら落下することで滞空 時間を延ばし、風に吹かれてより遠くへ種子を飛ばします。また、風を受ける翼(よく)は軽く水に浮かぶので、水流に乗って散布することもあります。
 この写真の木の葉は5〜7つに分かれた掌状で重鋸歯を持つこと、種子の翼の形などからイロハモミジだと推測してます。
F ユリノキ

 モクレン科ユリノキ属の高木で、袢纏(はんてん)のような形の単葉を持ちます。枝の先に咲く白い花がチューリップに似ていることから英語では "tulip-tree"と言われることもあります。
G ツツジ

 ツツジ科ツツジ属の植物を総称してツツジと呼びます。合弁花類の代表例として例にされます。花が咲くのは4〜5月頃で、見頃を迎えると、木全体が花で覆 われます。
 左の写真の木は、葉の表面に細かな毛が生えており、花弁の色は白、薄桃色、濃いピンクなどがあります。また、萼の周辺を触ると粘着性のある液体が手につ きます。
 右の写真の木は花弁が赤色に近い紅色で、小振りです。

↑特徴から考えると左はミヤマキリシマ、右はヤマツツジだと思う・・・
H ドウダンツツジ

 ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉樹で、植え込みによく利用されます。花の形はツツジと全く異なり、白くて小さな筒状の花がまとまってつきます。
I エドヒガン

 サクラはバラ科スモモ属の落葉樹で、虫媒花です。
 この品種の特徴はは他の品種に比べて開花が少し早い点です。花は少し色が濃いピンク色で約1cmと小振りですが、葉より先に花を出し、枝先に固まって咲 くことで虫を呼んでいます。
 葉が出てくるのが遅いため、花は前年のうちに蓄えた養分を使って咲くようです。
J ヤマザクラ(?)

 ヤマザクラは、葉と花が同時に出てきます。葉によって花が隠されないように、一輪の大きさは約4cmもあります。
 葉が出てくる時期が早いため、光合成できる期間が長く、作った養分を結実に回したり、大輪の花を咲かせるエネルギーにできるのが強みです。
 主な品種には大島桜や霞桜などが挙げられます。
K ソメイヨシノ

 江戸時代に大島桜とエドヒガン系の桜の交配から生まれた品種です。それぞれの特徴を受け継いだ結果、「花が大きく、葉は花よりも後に出芽する」という性 質を持っています。
 現在では日本全国のお花見スポットに植わっているメジャーな品種です。しかしソメイヨシノは不稔で、種子を蒔いて増やすことはできず、大島桜の若木に接 ぎ木して増やされます。
 今や桜の代名詞と言えるほどメジャーな品種ですが、自然界ではあり得ない歪な品種でもあるのです。
L フゲンゾウ(八重桜の一種)

 ヤマザクラ系の品種で、花弁が幾重にも重なっている八重桜です。バラ科は通常花びらが5枚しかありません。八重桜も人工的に交配された品種です。
 フゲンゾウは雌しべが2対の葉になっている品種で、不稔です。中央の葉が普賢菩薩の乗る象の花に、周りの花弁が台座に見えることからこの名前がつきまし た。
・草本


@ ムラサキツメクサ

 マメ科シャジクソウ属の多年草で、複数の花がからなる赤紫色で球状の花序を持ちます。また、花のすぐ下に小葉が一対つきます。
 葉は小葉3つからなっていて、たいていは写真のようにV型の模様が入っています。
A シロツメクサ(クローバー)

 マメ科シャジクソウ属の多年草で、複数の花がからなる白い球状の花序を持ちます。小葉や花序は茎の先に一つ付き、この茎がランナーとなって生息域を拡大 させます。
 江戸時代にガラス製品を運ぶ際の緩衝材として詰めていたことから、ツメクサと呼ばれるようになりました。幸運の象徴といわれる四つ葉のクローバーは、こ の品種の四つ葉を指します。
B オッタチカタバミ

 カタバミ科カタバミ属の外来種で、花は黄色い合弁花、葉は三出複葉です。在来種のカタバミに比べ、茎が立つように伸びるのが特徴です。
 クローバーとよく間違われますが、葉の形や花の色全体的な大きさまで違うので、見分けるのは簡単です。
 ちなみに食べられます。天ぷらなどがおいしいとされています。








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