1-28 電位差とド・ブローイ波

解答

電位差と電荷をかけると、エネルギーになります。この場合だと、電荷を持っている α粒子 は、4 V の電位差によって加速され、運動エネルギーを得ます。 
電位は電荷に対する「高さ」のようなもので、4 V 分、エネルギー的に高い位置から低い位置へと「落下する」と問題では表現されています。(参考)
電位差(電圧)の単位、ボルトは V = J C−1 と書き換えられる、と考えてもいいですね。  よって α粒子のエネルギー(運動エネルギー) Ek

Ek = (4 V)(2 × 1.60 × 10−19 C) = (4 J C−1)(2 × 1.60 × 10−19 C)

= 1.28 × 10−18 J

と求まります。ここからド・ブローイ波長を求めるには、運動量 p を求める必要があります。

 E_{\rm k} = \frac{1}{2}mv^2 
 p = mv 

より

 \displaystyle E_{\rm k} = \frac{p^2}{2m} 
 \displaystyle p = \sqrt{2mE_{\rm k}} 

最後の式を使って p を求めます。エネルギー J (ジュール)は SI基本単位で表すと J = kg m2 s−2 となるので、これを使います。

 \displaystyle p = \sqrt{2(6.64 \times 10^{-27}\rm ~kg)(1.28 \times 10^{-18}\rm ~kg~m^2~s^{-2})}\\\\= 1.304 \times 10^{-22}\rm ~kg~m~s^{-1}

ド・ブローイの式に代入して波長を求めます。

 \displaystyle \lambda = \frac{h}{p} = \frac{6.626 \times 10^{-34} \rm ~kg~m^2~s^{-1}}{1.304 \times 10^{-22}\rm ~kg~m~s^{-1}}\\\\=5.08 \times 10^{-12}\rm ~m = 5.08~pm

上記のように、計算は「単位付き」で行うと良いでしょう。単位換算、n(ナノ) や p(ピコ) などの接頭語については、水3限「化学数学」で詳しく扱われる予定です。