... (2.4)
から
... (2.5)
の変形のところで、両辺を T(t) X(x) で割っています。
X(x) は x = 0 のところで 0, すなわち X(0) = 0 ですから、0 で割っていることになります。そうすると、(2.5)式は x = 0 のところでは ∞ となり、破綻している(式が成り立たない)のではないか、という指摘ですね。
(2.5)式の左辺
... (2.5-l)
についてみると、たしかに x = 0 のところで X(0) = 0 となり、分母が 0 になっています。しかし、後で示すように も x = 0 のとき 0 なので、0/0 (0分の0) になっています。
0/0 というのも扱いがよくわからないので、数式で見てみましょう。
(まだやっていませんが) X(x) の解は、のちのち
と求まります。
これの 2階微分を求めると
となります。
x = 0 のときは、 X(x) も も 0 ですね。
x = 0 を代入する前に、数式のまま (2.5-l)に代入してみます。
以上のように、うまい具合に 0 になる数式( sin部分 )同士が約分され、式全体は ∞ や 0 ではなく、ある定数 となりました。
以上のように、「0 で割る」ように見えても、そのとたんに数式が破綻するわけではないのです。具体的には
で関数 f(x) も g(x) も x → +0 のとき 1) x → +0 は、「x がプラス側から 0 に近づくときに」、という意味です。 に 0 に収束する際、f の方が g より収束が早ければ、∞ にはなりません。例えば、x2/x や 4x/x は、見方によっては 0 で割っている(0/0になっている) のですが、 x → 0 でも ∞ には なりません。
脚注
↑1 | x → +0 は、「x がプラス側から 0 に近づくときに」、という意味です。 |