解答 (あらまし)
正直なところ、座標変換はかなり面倒です。
3 次元空間での位置は 3 つのパラメータ で表すことができます。
従って、直交座標 (x, y, z) で表すこともできますし、極座標系 (r, θ, 𝜙) で表すこともできます。
直交座標系で表されていた波動関数 ψ(x, y, z) も、極座標系 ψ(r, θ, 𝜙) で表せます。
(水素原子等では、ポテンシャルが原子核からの距離 r で決まるので、ψ(r, θ, 𝜙) で表した方が簡単)
ここで、「やっかいな」問題があります。
直交座標系では、微分や積分は
とシンプルに行けるのですが、極座標系では
と、「マジか!?」といいたくなるようなややこしい形となります。
dθ とか の単純な積とか和にならず、その前に「係数」がつくのです。
ここでは、いくらか簡単な 2 次元の極座標系について、「係数」の算出方法を学びます。
解答 (1階微分の変換)
直交座標系の微分 を 極座標系の微分 に変換するには、偏微分の連鎖規則
… (2) … (3)を使います。
(2) 式の方でいうと、 がそのまま残り、 の部分が「係数」になります。
では、(2) 式の方の「係数」、 を求めていきます。
r と x、あるいは θ と x の関係は (1)式
… (1)に書かれているので、ここから r や θ を x で微分します。
…(5)上式のように、x で微分した後(合成関数の微分を利用)、
(1) 式を利用して x と y を r と θ に置き換えます。
アークタンジェントの微分 と より
… (6)となります。
同様に、(3)式に含まれる は
…(7) …(8)となります。
r が一定の条件
ここで、r は一定値に固定されているので、(2)式, (3)式に含まれる は省いてよいことになります。
よって (2), (3), (6), (8)式より、(4)式が導かれます。
… (4)