プリントのΦ(𝜙)の解き方が前に習った微分方程式の解き方と違う

そうですね。揃えておきましょう。

 \displaystyle \frac{1}{\Phi(\phi)}\frac{{\rm d^2}\Phi}{{\rm d}\phi^2} = -m^2 … (6.14)

変形して

 \displaystyle\frac{{\rm d^2}\Phi}{{\rm d}\phi^2} + m^2 \Phi = 0
\Phi(\phi) = e^{\alpha \phi} として

\alpha^2 e^{\alpha \phi} +m^2 e^{\alpha \phi} = 0\\ \\ (\alpha^2+m^2) = 0 \\ \\ \alpha = \pm im

一般解は

\Phi(\phi) = c_1 \, e^{i m \phi} + c_2 \, e^{-i m \phi} ... (1)

境界条件  \Phi(\phi+2\pi) = \Phi(\phi) を満たすのは、m が 整数のとき。

m が 1 で c1 = 0 のときと、m が −1 で c2 = 0 のときは同じになるので、(1)式には項が 2 つあるが、1 つにまとめられる。

一般解は m を整数とした

\Phi_m(\phi) = A_m \, e^{i m \phi} \ \ \  (m = 0, \pm 1, \pm 2, \pm 3 ...) ...(2)

の重ね合わせ

\displaystyle \Phi(\phi) = \sum_m A_m \, e^{i m \phi} \ \ \  (m = 0, \pm 1, \pm 2, \pm 3 ...) ...(3)

になる。(2)式を基準振動とみて、その重ね合わせ(3)が一般解となっている。各基準振動について、𝜙 = 0 ~ 2π の範囲で \Phi^2 の積分 1)eim𝜙 は複素数なので、2 乗にするときは複素共役数をかける。 \int^{2\pi}_0 |A e^{im\phi}|^2 \, {\rm d}\phi = A^2 \int^{2\pi}_0 (e^{im\phi})(e^{-im\phi}) \, {\rm d}\phi = A^2\int^{2\pi}_0 1 \, {\rm d}\phi = A^2 [\phi]^{2\pi}_0 = 2\pi A^2 が 1 になるように Am を定めると 

\displaystyle \Phi_m(\phi) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}} \, e^{i m \phi} \ \ \  (m = 0, \pm 1, \pm 2, \pm 3 ...) ...(6.20)

が得られる。

実際の解は、(3)式のように「基準振動の重ね合わせ」なのです。これは量子数 m に限らず、nl でも同じです。ただ、対応する測定をすれば … 例えば n = 1 というように状態が定まります。パウリの排他原理もあり、水素原子の中に 量子数で表される複数の電子軌道があって電子はそのうちの「ひとつの軌道に存在する」と考えてしまいますが、正確には、(測定するまでは)複数の軌道を重ね合わせた状態にある、と考えるべきでしょう。

脚注   [ + ]

1. eim𝜙 は複素数なので、2 乗にするときは複素共役数をかける。 \int^{2\pi}_0 |A e^{im\phi}|^2 \, {\rm d}\phi = A^2 \int^{2\pi}_0 (e^{im\phi})(e^{-im\phi}) \, {\rm d}\phi = A^2\int^{2\pi}_0 1 \, {\rm d}\phi = A^2 [\phi]^{2\pi}_0 = 2\pi A^2