3-11 位置の平均値

解答

粒子の位置 x が 0 ≤ x ≤ a に制限された 1 次元の箱の中の粒子 1)2 次元や 3 次元の箱を考えてもよいが、x の積分だけを考えるので、結局 x の関数について考えることになる。の波動関数は n を量子数として

\displaystyle \psi_n(x) = \sqrt{\frac{2}{a}}\sin\left(\frac{n \pi x}{a}\right) …(3.27)

である。位置の平均を求めるためには、位置の演算子 \hat{X} = x を用いて

\displaystyle \langle x \rangle = \int \psi^* \, x \, \psi \, {\rm d}x

という計算を行えばよい。ψ は 実数なので、ψ* = ψ、よって

\displaystyle \langle x \rangle = \int^a_0  x \, \psi^2 \, {\rm d}x\\ \\ = \frac{2}{a}\int^a_0 x \sin^2\left(\frac{n \pi x}{a}\right)\, {\rm d}x

この x sin2(αx) の積分は簡単そうだが解くのが難しい 2)2倍角の公式を使って sin2(x)を cos 2x の形にしたのち部分積分を行う。 

ここでは公式を使おう。(教科書 p.75, ただし 教科書にミスプリあり)

\displaystyle \int x\sin^2 \alpha x \, {\rm d}x = \frac{x^2} {4} +\frac{1}{8\alpha^2} - \frac{x \sin{ 2\alpha x}}{4 \alpha} - \frac{\cos{2 \alpha x}}{8 \alpha^2}

積分のイメージを捉えるために関数を図示しておくと 下図のようになる。
赤が x sin2(αx)、青がその積分である。

x sin(ax) (→ 赤) と その積分 (→ 青), a = π 。赤の最初のピークが x = 0.5 よりも右に寄っていることに注意。

α = ( / a) として x = a として公式を適用すると、

\displaystyle \int^a_0 x \sin^2\left(\frac{n \pi x}{a}\right)\, {\rm d}x = \frac{a^2}{4}

となるので、全ての n について

\displaystyle \langle x \rangle = \frac{2}{a}\int^a_0 x \sin^2\left(\frac{n \pi x}{a}\right)\, {\rm d}x\\ \\ = \frac{2}{a}\frac{a^2}{4} = \frac{a}{2}

となる。箱の中の粒子のすべての状態は ψn の重ね合わせで書かれるので、
箱の中の粒子のすべての状態で、位置の平均値は a/2 である。

粒子は x = 0 と x = a にある壁以外は何も感じないので、対称性から \langle x \ranglea/2 となるのが妥当であると考えられる。(教科書 p.94)

脚注   [ + ]

1. 2 次元や 3 次元の箱を考えてもよいが、x の積分だけを考えるので、結局 x の関数について考えることになる。
2. 2倍角の公式を使って sin2(x)を cos 2x の形にしたのち部分積分を行う。