解答
解であることを示す
左辺に直接代入すると
ここで を代入すると
となり、左辺 = 右辺 となるので、(2)式は(1)式の解である。
E を示す
(2)式
…(2)が境界条件 ψ(θ) = ψ(θ + 2π) を満たすのは、 n が整数の時である。
を E について解くと
…(3)が得られる。
Aを求める
θ の取りうる範囲 0 ≤ θ ≤ 2π の存在確率が 1 であるから
全ての n において
これが 1 なので 1)A の符号が − のものも解なのだが、位相がずれるだけで実質同じ関数となるので、A は通常 + のものだけをとる。 、
ベンゼンとの関連
教科書 p.89 で一次元の箱の中の粒子に似た状態として、ブタジエン中の π 電子が挙げられている。同様に、今回扱った円運動に似た系として、ベンゼンの π 電子を 考えることができる。
ベンゼンの 6 個の π 電子 は (3)式のエネルギー準位のうち、最もエネルギーの低い n = 0 の準位に 2 個、次にエネルギーの低い n = ±1 の準位に 各 2 個、収容されるだろう。
電子系の第一励起状態は n = 2 または −2 の準位へ 1 電子が励起された状態であり、n = ±1 から n = ±2 の状態への遷移を引き起こすエネルギーは
となる。慣性モーメント I = mr2 の質量として 電子質量、 r として ベンゼンの C-C 結合距離を使うと、
ΔE = 9.38 × 10−19 J
λ = (hc/ΔE) = 212 nm
が得られる。
シュレーディンガー方程式自体の導出
円周上を運動する粒子のシュレーディンガー方程式の導出については問題 5-30 を参照してください。
脚注
↑1 | A の符号が − のものも解なのだが、位相がずれるだけで実質同じ関数となるので、A は通常 + のものだけをとる。 |