解答
分子の運動エネルギーの平均値 は温度 T と次の関係にある。
また は
である。従って両式から
が得られる。根平均二乗速さ (演算順序に注意: 速さの 二乗の 平均の ルート) は
と T に対し1/2 乗の依存性を持っていることがわかる。
よって T が 2 倍になれば 根平均二乗速さは 倍になる。
グラフが27-2にあります。
平均速さと根平均二乗速さ
以下余談。
上で示したように、根平均二乗速さ (vrms とも書かれる)は
です。
これに対し、分子の平均速さ は
...(27.42)
で、両者とも T に対し1/2 乗の依存性を持っているものの、その値は少し異なります。
(urms の方が少し大きい。マクスウェル-ボルツマン分布の場合、)
これは具体的に計算してみると分かります。
今、分子が 3 つあって、速さが 1 m/s, 2 m/s, 3 m/s だとすると
v / m s−1 | v2 / m2 s−2 |
1 | 1 |
2 | 4 |
3 | 9 |
となり、
と計算されます。( ≠ vrms)
両者 ( と vrms)は全ての分子の速度が同じときに限り一致します。
(上の例だと、3 つの分子の速さが 3 つとも 2 m/s のとき。)
平均値の 2 乗 と 2 乗の平均値 は一致しないのです。
やりがちなのは、平均の速さが だからといって、平均の運動エネルギーを としてしまうこと。これは間違いです。
運動エネルギーは速さの 2 乗に依存するので、 2 乗してから 平均をとらないと値が異なってしまいます。