定数について

数学的に導かれる定数(円周率 : π = 3.14159265… , 自然対数の底 : e = 2.718281828…)の他にも、多くの定数が存在します。これらの数値は、私たちの宇宙の姿を決めていると言ってもよいかもしれません。ここでは特に化学に関係する定数について簡単に紹介しています。

アボガドロ定数 NA

Avogadro constant

NA 6.022 × 1023 mol−1

アボガドロ定数については化学科のみなさんには定義の説明を繰り返す必要はないでしょう。基本SI単位のひとつ、「物質量」の定義で登場します。

単位が mol−1 だということに注意がいるかもしれません。このような次元を持つのは NA が 1 mol あたりの分子の個数を表しているからです。3 mol の分子の個数 N を出すときは 3 × NA という計算をするわけですが、単位付きで考えると

N = n NA = (3 mol)(6.022 × 1023 mol−1)
= 18.066 × 1023

となります。(「個数」は単位なし(無次元))

ボルツマン定数 kB

Boltzmann constant

kB 1.381 × 10−23 J K−1

分子 1 個の(並進の)運動エネルギー \varepsilon_{\rm trans} の平均値 \langle \varepsilon_{\rm trans}\rangle は、温度(絶対温度)と比例関係にあります。

  \displaystyle \langle \varepsilon_{\rm trans}\rangle = \frac{3}{2}\,k_{\rm B}T  

このとき、比例定数として登場するのが kB ボルツマン定数です。ボルツマン定数は 「1 K あたりの エネルギー」の次元 J K−1 を持っています。

kB は、温度とエネルギーを関係づける定数であるといえます。

上式が示しているように、「気体分子は絶対温度に比例した運動エネルギー(熱エネルギー)を持つ」とまず理解するといいでしょう。夏の日(300 K)の空気の分子は 、冬(270 K)に比べ、約 1 割、大きな運動エネルギーを持っているのです。

気体定数 R

Molar gas constant

R 8.3145 J K−1 mol−1
8.3145 m3 Pa K−1 mol−1
0.083145 dm3 bar K−1 mol−1
83.145 cm3 bar K−1 mol−1
0.082058 dm3 atm K−1 mol−1
82.058 cm3 atm K−1 mol−1

ご存知のように、気体定数 R は 「気体の体積は絶対温度に比例する」(シャルルの法則)、「気体の体積は圧力に反比例する」(ボイルの法則)という 2 つの法則 1)厳密には、「気体の体積は物質量に比例する」も加えた 3 つですね。 から導かれる理想気体の状態方程式

  PV = nRT  

に登場する比例係数です。

R は状態方程式の係数という以上の意味を持っています。 R は前項のボルツマン定数と次の関係があります。

  R = k_{\rm B} N_{\rm A}  

kB をアボガドロ定数倍すると R になるのです (RNA で割ると kB になるといった方がいいかもしれませんが・・・)。前項で出てきた

  \displaystyle \langle \varepsilon_{\rm trans}\rangle = \frac{3}{2}\,k_{\rm B}T  

は、分子 1 個あたりの平均(並進)運動エネルギーでしたから、分子 1 mol あたりの平均(並進)運動エネルギー \bar{E}_{\rm k}

  \displaystyle \bar{E}_{\rm k} = \frac{3}{2}\,k_{\rm B} N_{\rm A} T = \frac{3}{2}\, R\,T  

となります。kB R に入れ替わっただけで式は同じ形ですね。
式の中に kB が出てきたら分子 1 個あたりの話を、R が出てきたら 分子 1 mol あたりの話をしていると考えてよいでしょう。

R は J K−1 mol−1 の次元を持っています。もう一度理想気体の状態方程式をよく見ると、右辺はエネルギーの次元になっていることがわかります。もちろん左辺も同じくエネルギーの次元を持っています。((N m−2)(m3) = N m = J)

なお、細かい話ではありますが R を J K−1 mol−1 単位で表した場合、有効数字を大きくとると

R = 8.314472 J K−1 mol−1

なので、有効数字 4 桁とする場合は

R = 8.314 J K−1 mol−1

になります。上記の表の有効数字 5 桁の値から 8.3145 → 8.315 とするのは、四捨五入を 2 回行うことに相当し、誤りです。

プランク定数 h

Planck constant

h 6.626 × 10−34 J s

プランク定数は、極微小の世界における波の粒子性に関する定数です。

電磁波は通常「波」としてとらえられますが、粒子としての性質も持っています。振動数 ν の電磁波は、1 粒あたり のエネルギーを持った粒としてふるまいます。

重力定数 G

gravitational constant

G 6.674 × 10-11 N m2 kg−2

質量を持った物体の間に働く力「重力」の大きさを示した定数です。「位置エネルギー」のページを参照してください。

標準重力加速度 gn

standard acceleration of gravity

gn 9.80665 m s−2

地球上で働く「重力」の大きさを示した定数です。「位置エネルギー」のページを参照してください。

地学の授業で習う通り、重力加速度は場所(特に緯度)によって変わります。上の値は平均として定義された値です。日本国内での重力加速度の変化は 1/800 程度(0.125 %)に収まるので、有効数字 3 桁までの使用では上の定義値を使ってほぼ問題ないでしょう。(島津製作所の電子天秤のページ)

脚注   [ + ]

1. 厳密には、「気体の体積は物質量に比例する」も加えた 3 つですね。