物質に対する仕事

仕事はエネルギーの一形態で(力×距離)の形に分解できるものを言います。「仕事」と「熱」はどちらもエネルギーの一形態で、単位は J (ジュール)です。「系が周囲に対し100 J の仕事をした」というように、「仕事」や「熱」は、エネルギーの移動を表しています。

圧縮仕事 w

圧力一定のとき(定圧過程)、

  \displaystyle w = - P_{\rm ex} \Delta V = -P_{\rm ex}(V_{\rm f}-V_{\rm i})  

温度一定のとき(等温過程)、

  \displaystyle w = - \int^{V_{\rm f}}_{V_{\rm i}}P_{\rm ex}\, {\rm d}V= - \int^{V_{\rm f}}_{V_{\rm i}}P {\rm d}V = - \int^{V_{\rm f}}_{V_{\rm i}}\frac{nRT}{V} {\rm d}V  

  \displaystyle w = -nRT \ln\frac{V_{\rm f}}{V_{\rm i}}  

w : 仕事 (J)
(理想気体、可逆過程(P = Pex))
P : 系の圧力 (Pa(パスカル) = N m−2)
Pex : 周囲の圧力 (Pa)
Vi : 初期状態の体積 (m3)
Vf : 最終状態の体積 (m3)
n : 物質量 (mol)
R : 気体定数 (8.314 J K−1 mol−1)
T : 温度 (K)

気体を圧縮するには外部から仕事をしてやる必要があります。

気体の体積が変わる場合 (圧力×体積) (=(力÷面積)×(面積×距離))だけエネルギーの移動が起こります。系の体積が減るとき(圧縮)は周囲から系へ、系の体積が増えるとき(膨張)は系から周囲へとエネルギーが移動します。

ここでの圧力は周囲の圧力 Pex です。体積に伴って圧力が変化することを考えに入れると

  \displaystyle w = - \int^{V_{\rm f}}_{V_{\rm i}}P_{\rm ex}\, {\rm d}V  

のような積分式で表されます。定圧過程、等温過程について書き直すと上の囲みの中の式が得られます。符号は系(ピストンの中の気体)がエネルギーを得るとき(圧縮されるとき) プラスになります。

表面張力(表面自由エネルギー)

  \Delta E = \gamma \Delta A  

γ : 表面張力 (J/m2 = N/m)
A : 表面積 (m2)

表面張力 γ は、新しい表面を 1 m2 作るのに必要なエネルギーに相当します。物質の「表面」は不安定であり、作り出すのにはエネルギーが必要です。(表面を作るには物質中の原子の結合を「切る」必要があり、このエネルギーが表面張力に相当します。)

よって液体のように流動性のある物質では、不安定な「表面」をできるだけ小さくしようとします。コップのふちを超えても水がこぼれないという有名な現象はこのために生じます。

表面張 は 力 という名前がついていますが、「表面積当たりのエネルギー」 (J/m2)です。ただし、表面張力を測定する際には「長さあたりに働く力」 (N/m)を測定します。

γ の単位としてCGS単位系 dyn(ダイン)/cm もよく使われます。1 dyn cm−1MKS単位系だと1 mN m−1 に相当します。
例: 水 72.8 mN / m, アセトン 23.3 mN / m