16-16 実在気体の圧力

解答

ファン・デル・ワールス方程式

  \displaystyle \left( P + \frac{a}{\bar{V}^2} \right)(\bar{V}-b) = R T   ... (16.5)

P について解き、数値を代入する

  \displaystyle P =  \frac{R T}{\bar{V}-b} - \frac{a}{\bar{V}^2}  
  \displaystyle P =  \frac{(0.083144 \rm\ dm^3\ bar\ K^{-1}\ mol^{-1}) (400.0 \rm\ K)}{(83.26 \rm \ cm^3\ mol^{-1})-(0.065144 \rm\ dm^3\ mol^{-1})} - \frac{5.5818 \rm\ dm^6\ bar\ mol^{-2}}{(83.26 \rm\ cm^3\ mol^{-1})^2}  
  \displaystyle P =  \frac{(0.083144 \rm\ dm^3\ bar\ K^{-1}\ mol^{-1}) (400.0 \rm\ K)}{(0.08326 \rm \ dm^3\ mol^{-1})-(0.065144 \rm\ dm^3\ mol^{-1})} - \frac{5.5818 \rm\ dm^6\ bar\ mol^{-2}}{(0.08326 \rm\ dm^3\ mol^{-1})^2}  
  P = (1835.8 \rm\ bar) - (805.2 \rm\ bar) = 1031 \rm\ bar  

単位換算に注意すること。

ファン・デル・ワールス方程式は PT を求めるのは簡単ですが、\bar{V} = (V /n) について解こうと すると 3 次式になってしまうので大変です。
(問題 16-14 など)

ちなみにこの問題について、理想気体の式を用いると P = 399.4 bar となり、実験値にほぼ一致します。この温度、圧力はたまたま理想気体の式と一致する点だったのだと考えられます。教科書 p. 675 の 図 16.3 を見てください。CH4 のグラフは 低圧では Z < 1 (密)で、高圧では Z > 1 (疎) となっていますが、その途中に Z = 1 となっている圧力があり、この圧力では理想気体の式が精度よく成り立っているように見えてしまいます。

ファン・デル・ワールス方程式の ab は、臨界圧力や臨界温度との対応から求めているので、(教科書 p.684、質問と回答参照)、臨界点近傍での実在気体の振る舞いをよく表しています。この問題の圧力と温度は相図上の臨界点から遠いところにあり、ファン・デル・ワールス方程式は実在気体の振る舞いを十分に表せていない、と言えるでしょう。