コンピュータで分子模型を描く

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授業の目標

エクセルを使って原子の座標を計算し、構造可視化ソフトVESTAを使って分子模型を描きます。

  1. 構造可視化ソフトVESTAを使い、分子模型が描けるようにする。
  2. エクセルなどを用いた 3 次元座標の取り扱いに慣れる。
  3. 分子や結晶の構造について 3 次元的に理解する。

3 次元グラフィックスについて

これから 4 回の授業では、分子構造を 3 次元的に理解するために、また空間情報の取り扱いに慣れるために、コンピュータ・グラフィックスを用いた分子描画について学びます。

コンピュータの画面(ディスプレイ)は 2 次元ですが、次のようにして 3 次元の構造を取り扱うことができます。

コンピュータ内の仮想空間に対象物(この授業では分子)を定義します。例えば 1 個の原子を、1 個の「球」で表現すると、その中心の 3 次元座標(x, y, z 座標)と半径、色で定義できます。
また、仮想空間内に対象物とは別に光源視点の位置を定義します。さらに対象物と視点の間に 2 次元の板(これがディスプレイとなる)を定義します。
光源から出たは、対象物によって散乱され、2 次元の板を通って視点に届きます。コンピュータによってこれを計算し、2 次元の板を通過する際の光の強さや色をディスプレイ上に表示すれば、私たちは3 次元の仮想空間を、ディスプレイという「窓」からのぞき見るようにして捉えることができます。

光の散乱の計算を厳密に行えば、対象物の光源の反対側を影にしたり、視点に近いものを大きく、遠いものを小さくしたりすることができます。また仮想空間の座標軸を回転させることで、対象物を自由に回転させることもできます。

対象物の定義を与えるとディスプレイ上にこのような画像を生成してくれるソフトウェアは、レンダリングプログラムまたはレイ・トレーシング(光追跡)プログラムと呼ばれます。今回は分子の定義(各原子の 3 次元座標)を与えると画像化してくれるソフトウェア、VESTA を利用して種々の分子構造を描きます。


構造可視化ソフト VESTA の起動

VESTA(Visualization for Electronic and STructural Analysis)は構造解析ソフトウェア VENUS の一部で、東北大の門馬綱一氏によって製作された構造可視化ソフトウェアです。
今回はこのソフトウェアを使って、種々の分子や固体の構造を立体的に表す手法を学びます。

インストールされた VESTA のフォルダ中の vesta.exe をダブルクリックすれば VESTAが起動します。

自分のPCにvestaをインストールする場合は、「自分のPCにVESTAをインストールする」を参照してください。
PC実習室のPCを使っている場合は 「PC実習室のPCでVESTAを起動」を参照してください。

個人用PCでVESTAを使用する際の注意

VESTAは非商用の用途には無料で配布されています。
VESTAは論文等の図 として使用する場合は論文中にソフトウェア名を示す(文献を引用する)ことになっています。将来、研究で使用する場合には注意してください。

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